検索流入激減で売上に影響が。まず着手すべき緊急対応と中長期施策

相談者「検索流入が先月と比べて30%も減ってしまい、このままでは売上への影響も避けられない状況です。どう対応すればよいでしょうか。」

回答者「それは深刻な状況ですね。検索からの流入減少は、特に新規顧客の獲得に大きく影響します。まずは冷静に状況を分析し、すぐにできる対応から始めましょう。」

相談者「そうですね。でも、どこから手をつければいいのか分からなくて…」

回答者「ご心配はよく分かります。検索流入の減少には、いくつかの典型的なパターンがあります。まずは原因を特定し、優先順位をつけて対応することが重要です。今回は、すぐにできる原因分析の方法から、緊急対応策、そして中長期的な改善施策まで、具体的に説明していきます。」

目次

いま起きている検索流入減少の真因を特定する

自然検索からの流入が減少するパターンと原因

自然検索(オーガニックサーチ)とは、検索広告ではない通常の検索結果からの流入のことを指します。

検索順位の変動に起因する減少は、特定のキーワードでの検索結果表示順位が下がることで起きます。

CTR(クリック率)とは、検索結果に表示された回数のうち、実際にクリックされた割合を示す指標です。

多くの場合、Googleのコアアルゴリズムアップデート(検索順位を決定する主要な計算方法の更新)や、競合サイトの順位向上が原因です。

SERPs(検索結果ページ)での表示順位が下がると、クリック率は大きく減少します。

関連記事:Googleアルゴリズムの変遷をざっくり見てみる

検索需要自体の減少による影響は、季節変動や市場トレンドの変化により発生します。

特定のキーワードの検索ボリューム(そのキーワードが検索される頻度)が減ることで、自社だけでなく業界全体で同様の傾向が見られます。

技術的な問題による減少は、クローラビリティ(検索エンジンがサイトを巡回・理解できる度合い)に影響が出ている場合に発生します。

サイトの構造変更やサーバーの不具合により、Googleボット(検索エンジンの巡回プログラム)によるクロールに支障が出ていることがあります。

関連記事:初めての技術的SEO入門

データで見る影響範囲の特定方法

現状を正確に把握するために、複数の分析ツールを活用します。

Google Search Console(Googleが提供する無料の検索パフォーマンス分析ツール)で検索クエリレポートを確認します。

過去3ヶ月分のデータを週次で比較し、どのキーワードで順位やインプレッション(検索結果での表示回数)が減少しているかを特定します。

関連記事:Search Consoleデータの読み方と活用方法

次に、Google Analytics(アクセス解析ツール)で流入ページの分析を行います。

ページごとのコンバージョン率(目標達成率)や直帰率(1ページだけ見て離脱する割合)の変化も、問題の性質を理解する重要な指標となります。

関連記事:アクセス解析で見るべき重要指標|集客とCVの改善に効く数値

競合サイトとの比較で見えてくる状況

自社の状況を正確に判断するには、競合との比較が欠かせません。

主要なキーワードでSERPsを確認し、競合サイトの動きを分析します。

競合が上位表示を獲得している場合、そのページのコアウェブバイタル(表示速度や操作性などの技術指標)を調べます。

コンテンツの質、情報の新しさ、ページの構造など、具体的な差異を把握することで、改善のヒントが得られます。

関連記事:コアウェブバイタルを理解しSEO対策に生かす方法

すぐに取り組むべき緊急対応策

コア商品・サービスページの緊急点検と改善

緊急対策として、以下の点を重点的に確認します:

  • クローラビリティの状態確認
  • ページ表示速度の測定
  • インデックス状況の確認

メタタイトル(検索結果に表示されるページタイトル)とメタディスクリプション(検索結果に表示される説明文)の最適化を進めます。

本文の第一段落における重要キーワードの使用状況を見直し、ユーザー目線での情報の分かりやすさを確認します。

特に、CTA(コンバージョンを促す導線)の配置や表現は慎重に見直します。

関連記事:SEO効果を高めるページ構成|検索流入を増やしCVRを伸ばす5つのステップ

既存顧客への代替的なアプローチ方法

検索流入の減少を補うため、既存顧客とのコミュニケーションを強化します。

メールマーケティング(メールマガジンなどによる情報発信)やSNSでの情報発信を活性化し、リピート購入を促進します。

既存顧客からの紹介促進策として、アンバサダープログラム(顧客推奨制度)の導入を検討します。

適切なインセンティブ設計により、クチコミでの新規顧客獲得を図ります。

関連記事:顧客ロイヤリティを高めるLTV戦略(準備中)

一時的な補完施策の検討

自然検索からの流入が回復するまでの橋渡しとして、リスティング広告(検索連動型広告)の活用を検討します。

PPC広告(クリック課金型広告)は、即効性が高く、効果測定が容易という特徴があります。

特に重要なキーワードについては、自然検索での順位が回復するまでの一時的な対策として有効です。

ただし、広告費用対効果(ROAS:広告費用に対する売上の比率)を慎重に監視し、必要に応じて予算配分を調整します。

関連記事:SEOとリスティング広告の違いを徹底解説~コンバージョンを最大化する戦略と予算配分~

中長期的な回復に向けた施策立案

コンテンツの質的向上と構造的改善

長期的な改善のためには、サイト全体のコンテンツ品質向上が不可欠です。

E-E-A-T(経験性、専門性、信頼性、権威性)を意識したコンテンツ制作を進めます。

コア商品・サービスページの大幅リニューアルでは、ユーザーインテント(検索意図)に合致した情報提供を重視します。

サイトアーキテクチャ(サイト構造)の最適化により、クローラビリティとユーザビリティを向上させます。

関連記事:E-E-A-Tの基本と実践方法|信頼されるコンテンツで検索順位を向上させるコツ

データに基づく改善サイクルの構築

施策実行時は、以下の点に注意が必要です:

  • KPI(重要業績評価指標)の設定
  • 実験計画の立案方法
  • 効果測定の基準設定

ヒートマップ分析(ユーザーの行動を視覚化したデータ)を活用し、UX(ユーザー体験)の改善点を特定します。

CVR(コンバージョン率)の向上に向けて、A/Bテスト(2つのバージョンを比較検証する実験)を実施します。

関連記事:データドリブンなサイト改善の進め方

検索以外の集客チャネル強化

オムニチャネル戦略(複数の販売チャネルを統合的に活用する戦略)の構築を進めます。

SNSマーケティングの強化やメールマーケティングの精緻化を行い、集客チャネルの分散化を図ります。

オウンドメディア(自社で運営する情報発信メディア)の育成も、長期的な集客基盤として重要です。

関連記事:デジタルマーケティングチャネルの最適な組み合わせ方(準備中)

経営層への報告と社内説得のポイント

SEOは「無料」ではない事実を伝える

検索エンジンの利用自体は確かに無料です。

しかし、検索結果という「土俵」では、すべての企業が自由競争を行っています。

競合各社は既にSEO専門家の知見を取り入れ、本格的な予算を投じています。

検索順位の獲得に向けて、コンテンツ制作やサイト改善に継続的な投資を行っているのです。

数値で示す現状と将来リスク

現在の流入減少が売上に与える影響を、ROI(投資対効果)の観点から具体的に示します。

例えば、検索流入が30%減少した場合の機会損失を、顧客単価(LTV:顧客生涯価値)から算出します。

さらに重要なのは、対策を講じない場合の将来リスクです。

競合が継続的にSEO投資を行う中で、自社が対策を怠れば、市場シェアの低下は避けられません。

関連記事:SEOの投資対効果を経営層に説明する方法

投資対効果の具体的な説明方法

SEO対策への投資を、他のマーケティング施策と比較して説明します。

リスティング広告では継続的な広告費が必要ですが、SEO対策は一度順位を獲得すれば、比較的低コストで効果を維持できます。

また、SEO対策の一環として作成する質の高いコンテンツは、営業活動での活用や顧客教育にも利用できます。

つまり、SEO対策は単なる検索順位対策ではなく、ビジネス全体の基盤強化につながる投資なのです。

関連記事:SEOとリスティング広告の違いを徹底解説~コンバージョンを最大化する戦略と予算配分~

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この記事を書いた人

ウェブディレクター、コンテンツマーケターとして15年以上にわたり300社以上の企業のサイト制作や改善に従事。
店舗集客やBtoBビジネスを中心に、ウェブサイトのみならずSNS、広告を活用した成果向上を支援しています。

2006年にウェブ業界でキャリアをスタートし、2011年に独立。現在は株式会社S-FACTORY代表として、少数精鋭のクライアントと深く関わりながら、戦略設計や運用代行、コンサルティングを提供しています。

特にコンテンツマーケティングや広告運用を得意とし、製造業や医療分野での実績が豊富。複雑な専門知識をわかりやすく伝えるスキルと、データに基づいた戦略立案で、顧客の課題解決と目標達成を実現します。

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