歯科医院の3C分析とは?~患者・競合・自院を多角的に見て“差別化戦略”を生み出す方法~

歯科医院の3C分析とは?~患者・競合・自院を多角的に見て“差別化戦略”を生み出す方法~
理事長 歯山

歯山 太郎(理事長)
「SWOT分析をやってみて院内の強み・弱みは分かったけど、患者ニーズ競合動向がまだ曖昧なんだよね。次は3C分析がいいって聞いたんだけど…。」

院長 歯谷

歯谷 歯奈子(院長)
「そうそう、3C分析はCustomer(患者)/Competitor(競合)/Company(自院)を多角的にマーケティング視点で見る手法ですよね? 私も「どんな患者さんが来てるか」や、「競合医院と比べて何が違うか」をもっとクリアにしたいですね。」

ウェブマーケター

井水 朋子(コンサル)
「ええ、3C分析をしっかり行うことで、差別化するべきポイントが明確になります。特に都内のような激戦区では、患者層の特性や競合の強みを把握しないと戦い方が見えてきません。さっそく進めましょう!」


目次

3C分析とは

3C分析の基本

        ┌────────────────────┐
│ Customer(患者) │
│ ・ニーズ/属性 │
│ ・アンケート/インタビュー │
└────────────────────┘
↓ 相互
┌────────────────────┐
│ Competitor(競合) │
│ ・他院の強み/弱み │
│ ・市場調査/口コミ │
└────────────────────┘
↓ 相互
┌────────────────────┐
│ Company(自院) │
│ ・内部資源/強み弱み │
│ ・SWOT/財務分析 │
└────────────────────┘
歯科医院の3C分析を図解で示すフレームワーク

3C分析は、(1)患者ニーズを知り、(2)競合との差別化を探り、(3)自院の強み・弱みを把握して、最終的に“ターゲット設定”や“診療メニュー”の方向性を固めるのが目的です。


3. Customer(患者)分析 ─ ニーズや属性を正確につかむ

どんな歯科医院がやるといい?

  • 新患が増えず、原因が曖昧な医院
  • ターゲット層が広すぎて広告戦略がうまく刺さらない医院
  • ファミリー層・ビジネスパーソン・高齢者など、特定層を本格的に獲得したい医院

経営資源をかける意義(活かし方)

  • 正確な患者属性(年齢、来院理由、保険/自費比率)を掴み、費用対効果の高い広告や診療メニューを設定
  • アンケートやインタビューで発掘したニーズを基に、自由診療(矯正、審美など)の導入夜間診療検討など具体策を検討

Customer分析の具体的手法(深掘り)

  1. アンケート(紙/Web)
    • 質問項目例:「通院目的は?」「今後受けたい治療は?」「通院の不満点は?」など
    • ツール:Googleフォーム、紙アンケート用紙を受付で配布
  2. ユーザーインタビュー
    • 質問例:「なぜこの医院を選んだ?」「治療に対する希望や不安は?」
    • ヒアリングのコツ:オープン質問で深堀り → 「具体的にどんな治療体験を望む?」など
  3. ペルソナ設定
    • ビジネスパーソン向け・ファミリー層向けなど仮想の患者像を作り、広告やサービスを最適化

歯谷
「私たちの医院は乗り換え駅チカ&昼休みなしだから、オフィスワーカーが多いはず。アンケートで、どんな悩みや希望があるか深く知りたいな。」


Competitor(競合)分析 ─ 競合医院の強み・弱みを知る

どんな歯科医院がやるといい?

  • 周辺に大型チェーンや専門クリニックが存在し、差別化に苦戦している医院
  • 広告費をかけても“どこも同じ”と見られている可能性がある医院
  • 新規開業・分院展開を検討中で、周囲の医院動向をチェックしたい場合

経営資源をかける意義(分析結果の活かし方)

  • 競合Webサイト・口コミ・SNSを調べ、価格帯診療時間の差を確認
  • 診療体験(覆面調査)でスタッフ対応や待ち時間を見極め → 自院のサービス改善
  • チェーン系が強い広告訴求を行うなら、専門医在籍きめ細やかな個別対応を武器に別路線を打ち出すなど“差別化戦略”を確立

Competitor分析の具体的手法(深掘り)

  1. Webリサーチ
    • サイト構成(診療科目、価格表、スタッフ紹介)、SNS投稿頻度、口コミサイト評価
    • 比較表を作ると、違いが一目瞭然
  2. 現地調査・覆面来院
    • 実際に来院して「受付対応」「待ち時間」「カウンセリングの質」など体感
    • 事例:競合医院で認定医が週2日しかいない → 自院は常駐専門医でアピール可
  3. 口コミ分析
    • Googleマップ、SNS、歯科専門口コミサイト
    • ポジティブ評価ポイントとネガティブ評価ポイントをまとめ、自院の強化・改善に活かす
ウェブマーケター

競合の取り組みを知ると、自院が「本当に強みとする部分」がどれだけ希少か再確認できます。
場合によっては料金や診療時間の見直しなどが必要になります。


Company(自院)分析 ─ 内部資源・強み弱みを改めて棚卸し

どんな歯科医院がやるといい?

  • スタッフ構成や設備投資を見直したいが、どこに重点を置くべきか迷う医院
  • 強みを活かしきれていないと感じる医院
  • “昼休み&土日診療”などの強みをもっとPRしたい医院

経営資源をかける意義(分析結果の活かし方)

  • 自院内で「得意な診療科目の収益率」「スタッフの資格やスキル」「患者一人あたりの治療単価」などを把握 → 広告費やスタッフ教育に投資すべき優先領域が判明
  • SWOT分析とも連動して、「強み×機会」のシナジーを狙う

Company分析の具体的手法(深掘り)

  1. スタッフへのインタビュー
    • 「患者対応で困っていることは?」「自院の魅力は?」などをヒアリング
    • 気づき:専門医がいるのにPR不足、院内教育の機会が少ない 等
  2. 財務データ・予約データ分析
    • 診療科目別売上や、時間帯別の来院数などを集計 → どこに注力すると効果的か
  3. マインドマップや**KPT(Keep/Problem/Try)**ミーティング
    • スタッフ全員でブレスト → 「運営面での問題点やチャレンジ事項」をまとめる

歯山
「今までは口腔外科の専門医がいるって言うだけで満足しちゃってたけど、実際に患者がどれだけ認知してるか、スタッフはどう感じてるか、ちゃんと把握しないとね。」


3C分析を実践!データ収集から戦略立案までのステップ

STEP1:データ収集

  • Patient(Customer):アンケート(Googleフォーム/紙)やユーザーインタビュー
  • Competitor:Webサイト比較表、口コミ調査、現地訪問
  • Company:スタッフヒアリング、財務データ、院内観察
┌───────────────┐
│ 3C分析チェックリスト例 │
├───────────────┤
│ ①患者層:年齢/職業/要望 │
│ ②競合:診療時間/価格/評判 │
│ ③自院:専門医/売上科目構成 │
└───────────────┘
(alt="3C分析チェックリストの図解イメージ")

STEP2:分析結果を可視化

  • 図解や比較表を用いて「競合 vs 自院」「ビジネス層 vs ファミリー層 vs 高齢者層」の差をまとめる
  • 差別化のカギ(例:昼休み診療、専門医の常駐、矯正技術、設備投資など)を浮き彫りに

STEP3:戦略立案(差別化・ターゲット設定)

  • ビジネス層向け施策:ホワイトニングや矯正の短期集中パッケージ、SNS広告
  • ファミリー層向け施策:キッズスペース整備、土日ファミリー向けキャンペーン
  • 高齢者向け施策:訪問診療/入れ歯相談会など
院長 歯谷

なるほど!うちはビジネス層向けが主だったけど、3Cで見たら「ファミリー層も意外と需要がある」ってデータ出たら、キッズスペース導入を検討する価値もあるわね。

ウェブマーケター

その通り。3C分析で『想定外の可能性』が発見されることも多いんです。


3C分析の例

ビジネス層向け歯科医院の例

  • Customer:20~40代会社員/昼休み&土日に集中来院/矯正・審美に興味
  • Competitor:駅前大型チェーン/夜間診療あり/広告力強
  • Company:専門医在籍・昼休み診療対応・スマホ予約で短時間対応
    戦略:SNS広告(インスタ中心)、ランチタイム矯正相談会、スピーディ対応、隙間時間で通えるように、予約時に所要時間を明確にする、待ち時間の短縮化

ファミリー層向け歯科医院の例

  • Customer:小児やママ層/土日診療ニーズ高/キッズスペース重視
  • Competitor:近隣に子供向け専門クリニックあり
  • Company:院内バリアフリー、子供慣れしたスタッフ在籍
    戦略:キッズイベント開催、親子向け予防プログラム、SNSで子どもの治療事例発信

高齢者向け歯科医院の例

  • Customer:60代以上/通院困難な人も多い/義歯や訪問診療需要
  • Competitor:訪問歯科専門の業者が地域にある
  • Company:口腔外科の専門医×訪問診療チーム構築
    戦略:地域包括ケアとの連携、老人ホームや介護施設への定期訪問、送り迎え支援

歯科医院の3C分析で「誰に・何を・どう提供するか」を決める

  1. 3C分析の3要素
    • Patient(Customer):アンケートやインタビューでニーズ把握
    • Competitor(競合):Web調査、口コミ、訪問で強み・弱みを把握
    • Company(自院):スタッフ・財務分析で内部資源を再確認
  2. どんな歯科医院がやると効果的?
    • ターゲット層が不明確、競合との差別化に苦戦 → 競争激しい都内で特に必須
  3. 投資する意義(経営資源をかける理由)
    • 適切な患者層を狙い、自由診療などを拡大できる → 収益改善
    • むやみに広告費や設備投資をかけず、メリハリのある戦略を打てる
理事長 歯山

SWOTで自院の強みは分かったけど、この3Cで“ビジネス層向け施策”をより具体化できそう。昼休みや土日診療を前面に押し出して、矯正やホワイトニングの訴求を強化するとか。

院長 歯谷

競合医院がやっていない専門医による口腔外科対応や、仕事帰りの短時間治療を打ち出すのもアリね。スタッフ不足の面もあるから、予約システムやオペレーションを再考する必要もあるけど…。

ウェブマーケター

そこはPDCAサイクルで少しずつ調整しましょう。
まずは3C分析で方向性を定めることが大事です!


これから3C分析を始める人のための「次の一手」

  1. STEP1:データ収集
    • アンケート・インタビュー、競合HP比較表、財務データの取りまとめ
    • ツール例:Googleフォーム、Excel比較表、チェックリストなど
  2. STEP2:3C分析フレームに沿って可視化
    • 患者層のニーズ・特徴、競合の強み・弱み、自院の内部リソースを一覧に
    • 図解・表で表すと分かりやすい
  3. STEP3:戦略立案&施策実行
    • 誰に(ターゲット層)、何を(診療メニュー)、どうやって(広告・SNS・地域イベント)提供するか
    • 改善点が多い場合は優先順位をつけ、PDCAを回す

関連リンク
歯科医院のSWOT分析とは?(自院強み・弱み整理に便利)
歯科医院のユーザーインタビューとは?(Customer分析強化に)
歯科医院の患者アンケートとは?(定量データ収集に最適)


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