歯山 太郎(理事長)
前回、ユーザーインタビューで“なぜを3回”深掘りする話を聞いたけど、医院全体の傾向を数値化するには、患者アンケートもやりたいんだ。歯科医院が患者アンケートをする際は、実際どんな手順で行えばいいの?
井水 朋子(コンサル)
ユーザーインタビューは少人数の深い本音向き。アンケートは多人数から定量データを得て、医院の課題や満足度を統計的に把握するのに向いてます。今回は作り方から分析・活用まで詳しくお話しします!
歯谷 歯奈子(院長)
ぜひ知りたいです!患者の声を幅広く集めれば、PDCAサイクルの改善策にも活かせそうね。
患者アンケートのメリット
- 定量データで医院の強み・課題が可視化
- 「待ち時間長いと感じている患者が○%」「説明が分かりづらいと思う患者が○%」など
- 大人数からのフィードバック
- N=1でも意味はあるが、アンケートならN=20、50…など多彩な意見をまとめて把握
- 施策やサービスの効果測定
- 施策前後で満足度がどう変わったか、リピート意向がどれだけ増えたか検証
歯科医院のアンケートはリピーターや新患など、セグメント別に集計すると改善策をより的確に打てます。
患者アンケートで歯科医院の課題を明確化!メリットと活用方法
こんな歯科医院におすすめ
- 院内の全体満足度や不満点を一度に把握したい
- 自費診療(インプラント・矯正・ホワイトニング)などの興味度を定量的に知り、集患戦略を立てたい
- SWOT分析や3C分析の裏付けをとりたい(実際の患者ニーズはどこ?)
土日診療でビジネス層が多いクリニックなんだけど、本当にビジネスパーソンの満足度が高いのか定量化したい。あと、インプラントは興味ある人が何%くらいいるのか知りたい。
患者アンケート設計のコツ!質問項目と配布テクニックを徹底解説
質問項目の具体例と深掘り
- 目的を明確に
- 「どの診療科が人気か?」「どんな不満が多いか?」「自費診療への興味度は?」など
- 質問リスト例
- Q1: 当院を知ったきっかけは?
- 選択肢例:Web検索(可能なら“検索キーワード”記入欄)、SNS、口コミ、通りがかり、他院紹介 etc.
- Q2: 診療内容の説明は十分でしたか?
- 5段階評価 or 10段階、続けて「特に良かった点・改善してほしい点」を自由記述
- Q3: 待ち時間は気になりますか?
- はい/いいえ or 5段階評価、具体的コメント欄を設ける
- Q4: 今後受けたい治療(複数選択可)
- 矯正、インプラント、ホワイトニング、口腔外科治療 etc.
- Q5: 当院を友人・家族に勧める可能性は?
- NPS(ネットプロモータースコア)的に0~10段階で回答→ 理由をコメント
- Q1: 当院を知ったきっかけは?
- 誘導的表現を避ける
- 「当院の神対応に満足ですか?」のような聞き方はNG
- 適度に中立な質問文に
補足質問に「なぜ」をいれて具体的なキーワードや悩みを拾う欄を作りましょう。回答率を下げないようサクッと終わる設問数に留めつつ、自由記述欄もひとつは用意するといいですね。」
アンケート回答者&人数
- リピーターや口コミ投稿者:意見が活発、院への愛着あり
- 新患:初印象や他院との比較ポイントを聞ける
- 複数属性(年齢・治療内容)をバランスよく
- 最低でも20~50件は欲しい。多いほど情報の信頼度が高まります。
アンケートの配布&回収テクニック
- 院内で紙アンケート
- 診療後、受付で手渡し→ その場で回収BOXへ
- インセンティブ:歯ブラシセット、フロス、マウスウォッシュ etc.
- Webアンケート(Googleフォームなど)
- メールやLINEでリンク送付、院内QRコード掲示
- 自宅で回答できるため、時間を気にしなくていい
- インセンティブの具体例
- 全員:歯科グッズ、ホワイトニングor他自費診療の割引券
- 抽選:高価ケアグッズなど
歯磨き粉やフロスは患者さんも嬉しそうね。抽選よりも『全員に○○』のほうが、当院には合いそうですね。
患者アンケートの結果を分析・活用!集計方法と具体的な施策立案
集計方法と視覚化
- Excel / Googleスプレッドシート
- 質問ごとに集計(Yes/No、5段階評価など)
- 自動グラフ化で可視化→円グラフ・棒グラフ
- Googleフォーム連携
- 回答結果をリアルタイム反映、簡単にグラフ化
図解イメージ
[Q2:診療説明は十分? 5段階評価]
5... 30%
4... 40%
3... 15%
2... 10%
1... 5%
集計グラフ例
PDCAサイクルへの反映
- 例1:受付の満足度3以下が25%超→ 接客研修or説明資料の刷新
- 例2:インプラントに興味ありが50%以上→ 専用ページ拡充、院内掲示追加、無料説明会開催
- 例3:待ち時間が長いが40%→ 予約システム見直し、オペ室増設を検討
コンテンツマーケティング・ブランディング事例
- 「患者アンケート結果:○%が『専門医の説明』を評価→ 当院の専門性PRに活かす」
- アンケート内容をFAQページに反映→ “最も不安なポイントTop3”にQ&A形式で回答
- SNS投稿で「アンケート回答ご協力ありがとうございました。結果を踏まえ○○を導入します」と告知→ 透明性&患者参加感
満足度が4.2に上がった」とか数値を見ると、スタッフもやりがい感じるし、患者さんも「自分の声が医院に届いた」って思うよね。
アンケート結果の活用例
矯正歯科・事例
- 紙アンケートを診療後に渡し、2週間で50通回収
- 分析結果:ホワイトニングや部分矯正を「気になっているが詳細がWebに無い」と多くの人が回答
- 施策:該当コンテンツを新設、ビフォーアフター写真を増やす
インプラント医院・事例
- Webアンケートを既存患者100名に配信→ 60名回答
- 7割が「保証内容・術後ケアの説明をもっと知りたい」
- 施策:保証プラン詳細&患者の声ページを作成、SNS告知
ユーザーインタビューとの違い
- 患者アンケート:多数の意見を短時間で収集→ 定量データ
- ユーザーインタビュー:少人数から深い“なぜ”を引き出す→ 定性情報
- 併用効果:アンケートで得られた大まかな課題を、インタビューで詳細に掘り下げる→ 課題の根本解決策が明確になる
アンケートで「30%が説明不足を感じた」→ インタビューでなぜそう思ったのか?を深掘り→ コンテンツ&院内改善をするなど、両方を定期的に行ない、実際のビジネスプロセス改善に役立てることが重要です。
まとめ:患者アンケートで歯科医院の声をデータ化し、経営を強化
本記事の要点
- 患者アンケートの目的・メリット
- 大人数から定量データを集め、院内課題や満足度を数値化
- 質問項目・配布テクニックの具体化
- 目的を絞った質問、選択式+自由記述のバランス、紙orWeb配布、インセンティブ設定
- 分析・活用事例
- ExcelやGoogleフォームで集計→ グラフ化→ PDCAサイクルで施策へ
- サイト改善、SNS発信、院内接遇強化 etc.
- ユーザーインタビューとの違い
- アンケートは“広く数値化”、インタビューは“深く本音を探る” → 併用が理想
これならスタッフもどこを改善すべきか分かりやすいし、夜間対応や専門医の魅力を数値で示せるから、院内で説明しやすいかも。早速作ってみよう!
土日診療で忙しくて患者さんに声かけにくいけど、インセンティブを付けて回答してもらおうかしら。特典として歯ブラシセットとか割引券とかね。
ぜひ! 数十件以上集まると十分活用できますし、後で“なぜ”を掘り下げたい部分はユーザーインタビューを追加すれば完璧です。がんばりましょう!
これからアンケートを始める方の「次の一手」
- STEP1:アンケート目的の明確化
- 「待ち時間改善を知りたい」「インプラント・矯正の興味度を測りたい」「説明不足の有無」など
- STEP2:質問リスト作成
- ○/× や5段階評価の例、自由記述欄の設置、誘導的表現を避ける
- テンプレート例:makefileCopy
Q1:当院を知ったきっかけ(検索キーワード記入欄もアリ) Q2:説明の分かりやすさ(1-5段階評価)→ 具体的に不満があれば記述 Q3:インプラント/矯正など興味ある治療(複数選択) Q4:待ち時間への印象(1-5段階) Q5:自由記述(その他要望)
- STEP3:配布・回収方法&インセンティブ
- 院内紙アンケート:診療後に「歯磨き粉サンプル」プレゼント
- Webアンケート:LINEやメールで送付→抽選でホワイトニング割引券
- STEP4:集計・分析・施策
- Googleスプレッドシートで回答を集計→ グラフ表示
- PDCAサイクル:数値を見て具体策(待合室拡張・説明用動画作成 etc.)
- STEP5:公表&院内共有
- 「○%の患者が~と回答。今後こう改善します」をWebやSNSで報告→ 透明性&参加意識UP
参考ページ
・歯科医院の現状分析の基本はこちら
・自院の強み・弱みを把握!歯科医院のSWOT分析はこちら
・患者ニーズ&競合を知る!歯科医院の3C分析はこちら
・本音を深掘り!歯科医院のユーザーインタビューはこちら
関連リンク
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- 【実践編】歯科医院の集患戦略を成功させる!PDCAサイクル徹底解説
- 【お悩み解決編】歯科医院の集患に関するよくある質問