SWOT分析の手順
SWOT分析を始めよう
歯山 太郎(理事長)
前回の現状分析記事をふまえ、うちの医院でも具体的に手を動かそうと思ってるんだ。まずはSWOT分析から始めたいんだけど、どうすればいいの?
井水 朋子(コンサル)
SWOT分析とは、S(自院の強み)/W(自院の弱み)/O(外部環境の好機)/T(外部環境の脅威)の4項目を整理して、自院の経営状況を俯瞰する手法です。
まずは院内スタッフから情報を集めてみるのが一番ですよ。
SWOT分析の手順
- 情報収集
- 売上や患者層のデータ、スタッフの意見、患者アンケート結果など
- S/W(内部要因)とO/T(外部要因)に分けてリスト化
- Strengths:自院の強み
- Weaknesses:自院の弱み
- Opportunities:外部環境の好機
- Threats:外部環境の脅威
- 分析結果をクロスして戦略策定
- 「S×O」:積極的に生かす戦略
- 「W×T」:早急に対策が必要な組み合わせ
- 「S×T」「W×O」も検討
井水
「早速、スタッフに声をかけて、SWOT表を作ってみましょう。あとで私もコメントさせていただきますね!」
関連リンク
・歯科医院の現状分析とは?
・【実践編】歯科医院の集患戦略を成功させる!目標設定・計画立案・PDCAサイクル
スタッフと話し合ったSWOT分析結果 ─ 歯山医院の場合
歯山理事長がスタッフ会議で集めたSWOT表
みんな、お疲れさま。
早速だけど、うちの医院の強味や弱み、周囲の環境の機会や脅威を出し合ってみたよ!
分類 | 内容 |
---|---|
Strengths (強み) | – 乗り換え駅から徒歩3分の好立地 – 口腔外科・矯正の専門医/認定医がいる – 昼休みなし&土日診療でビジネスパーソンが通いやすい – インプラントや親知らず抜歯など幅広く対応可 |
Weaknesses (弱み) | – スタッフ不足(衛生士が少なく、忙しいときに対応が追いつかない) – 院内スペースが狭い(待合室の混雑、器具や設備の置き場が限られる) – 夜間診療はしていない |
Opportunities (機会) | – 駅周辺に新しい商業施設がオープンし、若いビジネスパーソンの流入が増加傾向 – 近隣に大型オフィスが開設予定で昼休み需要が高まる – 自由診療(矯正・審美)に対する関心が年々増えている |
Threats (脅威) | – 徒歩5分圏内に全国チェーン系の大型歯科医院が新規オープン予定(広告費潤沢) – 衛生士やアシスタントの人材不足、採用難 – 地価やテナント料の上昇で、 医院の移転コストが高まる |
歯谷 歯奈子(院長)
わー、意外とWeaknessesやThreatsが多いのね。日曜診療で忙しくなるのは良いけど、スタッフが疲れきってるのも課題…。
まさにそうなんだよね。昼休みなしが強みでもあり、人材不足が重なると弱みにもなる…。専門医がいるのは評価されてるけど、大きい歯科医院が近くに来るのは厄介だな。
SWOT分析で出した内容を磨く
市場・業界ならではの視点
- 専門医が在籍 → 実力が親知らずの抜歯など口腔外科対応を前面に打ち出す
- 矯正認定医 → ビジネス層や若年層向けに「見えにくい装置」など最新技術を訴求
- 昼休み&土日診療 → ビジネス層・学生向けの訴求
実際、専門医がいるってのは業界的にもアピールポイントになる。矯正や口腔外科に強い歯科医院は数が限られているし、患者さんにも分かりやすい強みだよね。そこをもっと前面に押し出そうと思うんだ。
S×O、W×Tを掛け合わせた視点
強みを活かす施策と弱みを補う施策、両方を同時に進めるのがおすすめです。
特にスタッフ不足は長期的に解決しないと、チェーン系との競争に負けやすいので要注意ですね。
- Weaknesses (弱み)+Threats (脅威)への対策
- 「スタッフ不足」+「大型チェーンとの競合」 → 人事制度の見直しや給与改善、Web予約システムの導入で効率UP
- Strengths+Opportunitiesを組み合わせて集患拡大
- 乗り換え駅3分+昼休みなし+口腔外科/矯正 → 忙しいビジネスパーソン向けの歯科医院として差別化
- リピート率向上策
- スタッフ教育で**“専門的な説明力”**を磨き、患者満足度を高める
- 院内空間が狭い弱点は、オンライン予約や患者さんの来院時間を調整し、待合室混雑を減らす
SWOT分析のやり方とアクションプラン
「SWOT表」作成後の流れ
- クロスSWOT(組み合わせ)
- S×O:積極活用したい部分 → “昼休み診療×駅ビジネス層”を全面PR
- W×T:緊急対策 → “スタッフ不足×競合登場”への採用強化や業務効率化
- 施策優先順位を決める
- すぐ着手すべき施策(W×Tへの対応)
- 中長期的に伸ばす施策(S×Oでキャンペーンや設備投資)
- PDCAサイクルを回す
- 効果を測定しながら、SWOT表を定期的に更新
ビジネスパーソン向けの広告打ち出し、やってみたいわ。チェーンとの比較優位を作れそう!
いいですね。ウェブ戦略や地域密着施策も活かせますので、過去記事もぜひ参考にしてください!
関連リンク
・【オンライン集患編】歯科医院の集患を加速させるウェブ戦略
・【オフライン集患編】地域密着型の集患戦略で歯科医院の集患を加速!
まとめ ─ SWOT分析で“戦う方向”を決め、実行に移そう
- SWOT分析の進め方(手順)
- 情報収集→S/WとO/Tリスト化→クロスSWOTで戦略立案
- 歯山医院の具体事例(口腔外科・矯正専門医在籍、駅チカ、昼休みなし・土日診療など)
- Strong/Weakポイントがはっきりし、Opportunity/Threatへの対応策が浮き彫りに
- 院長・スタッフ・コンサルそれぞれの視点
- “歯科業界の専門性”と“全体的マーケティング視点”を組み合わせることで最適解へ
実際やってみると、弱みや脅威が見えるのは怖いけど…そこに対応策を考えられるのがいいね。
対策が必要なポイントが明確になるのがSWOT分析のメリットです。忙しい先生でも、一度サクッとやってみる価値はありますよ!
早速、この結果をもとにスタッフミーティングで施策を決めましょう。例えば“ビジネス層向けランチタイムキャンペーン”とか。PDCAを回しながら、チェーンに負けない医院づくりを目指します!
行動してみよう
- まずはSWOT表を作ってみる
- 強み・弱み(内部)、機会・脅威(外部)をスタッフとブレスト
- 結果をクロスして施策をリストアップ
- すぐ着手すべき“W×T”や、大きく伸ばせる“S×O”に注目
- 他の分析手法も併用