社長(相談者):
うちの会社、ウェブサイトをもっと活用したいんだけど、どこから手を付ければいいのかイマイチ分からなくてね。
ウェブマーケター井水:
そういうときは、まず社長ご自身や、営業の最前線にいる方々へのヒアリングが大切です。ウェブ戦略の方向性は、社内でどれだけ自社の強みや顧客ニーズを共有できるかにかかっていますよ。
なぜ社長(とトップ営業パーソン)へのヒアリングが重要なのか?
中小製造業において、社長は会社のビジョン、経営戦略、顧客ニーズ、競合情報などを最も深く理解している存在です。
特に、社長自身が営業を兼務している場合、現場での「生の声」を日々耳にしているので、ウェブ戦略を考えるうえで欠かせない情報源になります。
さらに、もしトップ営業パーソンがいるなら、社長とは異なる視点で顧客ニーズや営業現場の課題を把握している可能性があります。
社長とトップ営業パーソンへのヒアリングは、ウェブ戦略の全体像や優先度を決めるための土台となるのです。
この記事を読むメリット:
・社長やトップ営業から効果的に情報を引き出す質問リストが分かる
・ヒアリングの具体的な手順を理解し、スムーズに実施できる
・得られた情報をウェブ戦略にどう活かすか、そのヒントをつかめる
社内ヒアリング成功のための3つのステップ
ヒアリングで成果を上げるには、準備・実施・結果の整理という3ステップをしっかり踏むことが大切です。以下では、それぞれのステップを詳しく解説します。
ステップ1:準備
- ヒアリングの目的を明確にする
まずは、今回のヒアリングで何を得たいのかをはっきりさせましょう。例:
・自社理解(強みや弱み、製品の優位性、経営資源など)
・顧客理解(ターゲット顧客のニーズ、課題、購買行動など)
・競合理解(競合他社の戦略、強み・弱み)
ウェブサイト制作やリニューアルのために、どの情報が最重要かを考えてみてください。 - 質問リストを作成する
目的に合わせて、どんな質問をするかを事前に決めておきましょう。
あくまでリストはガイドラインなので、状況に応じて柔軟に変更してください。 - ヒアリング対象者に事前共有
社長や営業パーソンに「こういう目的で質問します」と伝えておくと、考える時間が生まれ、より深い回答を引き出せます。 - スケジュールと場所を調整
集中して話せる時間(15~30分程度)と場所を確保しましょう。
喫茶店などリラックスできる場所もおすすめです。 - 準備するもの
質問リスト、メモ帳、筆記用具、レコーダー(録音アプリ)など。
録音する際は必ず相手の許可を得ましょう。
ステップ2:実施
- アイスブレイク
いきなり本題に入ると相手が構えてしまうことがあります。雑談を交えつつ、リラックスした雰囲気を作りましょう。 - 質問の順番
オープンな質問(自由回答)から入り、徐々に具体的なクローズド質問に移ると、スムーズに深堀りできます。 - 傾聴
回答を最後までしっかり聞き、途中で遮らないことが大切。メモを取りながら、相手が話し終わるのを待ちましょう。 - 深掘り
回答が抽象的なときは「なぜそう思うのか?」「具体的にどんな場面?」などのフォロー質問を投げかけます。
トヨタ式「なぜなぜ分析」で、本質的な課題が見えることも。 - 時間管理
時間を超過しすぎないように注意。30分ほどで要点をまとめるのが理想です。
ステップ3:結果の整理・分析
- ヒアリング内容をまとめる
メモや録音を見直し、回答の要点やキーワードを抽出します。 - 分析
得られた情報を、SWOT分析やペルソナ作成などのフレームワークに当てはめましょう。
さらに、3C分析で自社の強みを発見!を活用して競合状況も整理します。 - 社内で共有
ヒアリング結果を資料にまとめ、経営者や関連する人と情報を共有し、共通認識を持つことが大切です。
【社長・トップ営業向け】ヒアリング質問リスト(目的別)
下記の表は、ヒアリング時に役立つ質問例を目的別にまとめたものです。
あくまでも参考リストなので、自社の状況に合わせてカスタマイズしてください。
目的 | 質問例 |
---|---|
自社理解 | ・今までで一番印象に残っている取引(成功事例)は? ・その取引が始まったきっかけは?(紹介、展示会、ウェブサイト、飛び込みなど) ・その取引先は、自社のことを何屋だと思っていた? ・これは自社の価値(強み)だと思う? ・逆に、一番悔しかった失注事例は?原因は? ・今後、どんな分野に注力したい? |
顧客理解 | ・ターゲット顧客はどのような企業(または人)? ・顧客からよく聞かれる質問・要望は? ・顧客が自社を選ぶ理由、決め手は何だと思う? ・顧客満足度を上げるために必要な要素は? ・顧客が困っていること、求めているものは? |
競合理解 | ・競合だと認識している会社は? ・競合と比べて、自社の優位性・劣位性は? ・競合がどんなウェブサイトを作り、何をアピールしているか? ・競合の製品・サービス、売り文句は?どこが参考になる? |
ウェブサイト | ・ウェブサイトに期待する役割は? ・どんな情報を載せれば、新規顧客が問い合わせをくれそう? ・なぜそう思う?具体的な根拠は? ・サイト内で特に強調したい製品・サービスは? ・今のウェブサイトに足りないと思うことは? |
ヒアリングのコツ:
・「強み」や「弱み」といった抽象ワードを直接使わず、エピソードや事例から自然に引き出す
・回答を深掘りする際は「なぜ?」を繰り返し、具体的な根拠を引き出す
・社長とトップ営業パーソンの回答に相違があれば、それこそが重要な発見
ヒアリング結果の活用方法
ヒアリングを通じて得られた情報は、以下のように様々なウェブ戦略に活用できます。
- ウェブサイトのコンテンツ作成:成功事例、顧客ニーズ、競合との比較ポイントを具体的に盛り込む
- SEO対策:顧客が検索しそうなキーワードを洗い出し、コンテンツへ反映(1-1. 3C分析で自社の強みを発見!も参考に)
- 広告戦略:狙いたいターゲット層や訴求ポイントを明確にし、効果的な広告文やLP(ランディングページ)を作る
- ペルソナ作成:顧客の具体的なイメージを描き、より刺さるメッセージを練る(6-2. 製造業のためのペルソナ設計ガイド参照)
より詳しい活用方法やヒアリング結果の分析手順については、ヒアリング結果をウェブ戦略に活かす方法で詳しく解説します。ぜひあわせてご覧ください。
まとめ:社長とトップ営業パーソンとの対話から、ウェブ戦略の成功が始まる
社長(兼営業責任者)やトップ営業パーソンへのヒアリングは、製造業のウェブ戦略を成功させる上で最重要ともいえるステップです。
しっかりと準備し、適切な質問を行い、得られた情報を整理・分析すれば、自社の強みや顧客のニーズを的確に捉えたウェブ施策を打ち出せるようになります。
「社内ヒアリングの実施について、さらに詳しく知りたい」「具体的な支援を受けたい」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。
ヒアリングこそが、ウェブ戦略成功への出発点です。次のステップ(製造業のための顧客ヒアリング実践ガイド)も、あわせてチェックしてみてください。