製造業のための顧客ヒアリング実践ガイド

製造業のための顧客ヒアリング実践ガイド
ウェブマーケター

先日お話しした社内ヒアリングに続いて、今度は実際にお客様の声を集める番ですよ。

相談者

うちはBtoBだし、直接顧客に聞く機会があまりないんだけど、どうすればいいかな?

本記事では、顧客へのヒアリングがなぜ重要なのか、またヒアリングを行うときの具体的な手順を紹介します。
※本ページの読者は、年商3億円以下の製造業を想定しています。

目次

なぜ顧客ヒアリングが重要なのか? ── 顧客の声はウェブ戦略の羅針盤

どんなに素晴らしいホームページを作ったとしても、相手に届かなければ、意味がありません。
そこで、相手を知るためには、顧客ヒアリングです。

存顧客や見込み顧客から話を聞くことで、顧客が求める価値や新たなニーズ、さらには競合他社と比較した際の評価など、重要な情報を得られます。
顧客の声は、ウェブ戦略の方向性を定める羅針盤になってくれるのです。

顧客ヒアリング成功のための3つのステップ

顧客ヒアリングを効果的に行うには、準備・実施・結果の整理の3ステップが重要です。ここではそのポイントを簡単にご紹介します。

STEP
準備
  1. ヒアリングの方法を選ぶ
    既存顧客への電話インタビュー、対面インタビュー、メールアンケート、見込み顧客へのウェブアンケートなど、業界や取引形態に合った方法を検討しましょう。
  2. 7Pの質問リストを用意する
    後述する7Pフレームワークを活用することで、多角的に顧客の声を引き出せます。
  3. スケジュールとアポ取り
    顧客の都合を尊重しつつ、なるべく集中できる時間帯を選びましょう。録音する場合は必ず了承を得ること。
STEP
実施
  1. アイスブレイク
    いきなり本題に入らず、雑談などでリラックスした空気を作りましょう。
  2. 傾聴と深掘り
    回答が抽象的なら、「どうして?」を繰り返して具体的な理由や背景を探ります。
  3. 肯定的に受け止める
    否定的な意見も含め、顧客の声を素直に受け止めましょう。改善のヒントが隠れているかもしれません。
  4. 時間配分
    長すぎると顧客に負担をかけるので、事前に話した時間内で完結するよう心がけます。
STEP
結果の整理・分析
  1. 回答内容を要約
    7Pの要素ごとに回答を分類すると、整理しやすくなります。
  2. キーワードを抽出
    顧客が何を重視しているか、どんな悩みがあるか、頻出ワードやフレーズをチェック。
  3. 社内共有とウェブ戦略への反映
    得られた情報をもとに、ウェブサイトの改善点や訴求すべき強みを洗い出し、具体的な施策につなげましょう。

【既存顧客向け】ヒアリング質問リスト

7P、つまり、Product(製品)Price(価格)Promotion(販促)Place(流通)Process(過程)Physical Evidence(物的証拠)People(人)の要素を多角的に捉えてヒアリングを進めましょう。

ヒアリングする際は、トヨタ式のなぜなぜ分析を行なうようにして、本質に迫ります。

7Pの要素質問例(「どうして?」を添えて深掘り)
Product(製品)・弊社のものづくりのどこに価値を感じていますか?
・実際にお取引して、満足な点と不満な点は?→どうして?
・「もっとこうしてほしい」と思う改善点は?→どうして?
Price(価格)・弊社の価格設定について、どう感じていますか?高い?妥当?安い? どうして?
・価格に見合う価値があると思いますか?→どうして?
Promotion(販促)・弊社を最初にどこで知りましたか?→どうしてそこから情報を得ようと思った?
・ウェブサイトやカタログなどの情報発信で、役に立っているものはありますか?→どうして?
・改善してほしい情報発信の方法はありますか?→どうして?
Place(流通)・弊社の製品・サービスを導入するとき、購入までの流れで良いと思う点は?→どうして?
・不便を感じる点はありましたか?→どうして?
Process(過程)・問い合わせから納品までのプロセスに満足していますか?→どうして?
・競合他社と比べてスムーズだと思う点、逆に面倒だと思う点は?→どうして?
Physical Evidence(物的証拠)・弊社のウェブサイトやパンフレットなど、信頼できると感じる点は?→どうして?
・不安に感じる情報や不足している情報はありますか?→どうして?
・実績や事例で参考になったものは?→どうして?
People(人)・担当営業やサポートの対応で、良い点・不満な点はありましたか?→どうして?
・他社と比べて弊社の「人」に関する印象はどうですか?→どうして?
ウェブサイト評価・弊社ウェブサイトを利用したことはありますか?→どうして?
・いつ・どんな目的で見ましたか?→どうして?
・役に立った情報、改善してほしい点はありますか?→どうして?
・競合サイトで参考にしているところは?→どうして?

【見込み顧客向け】ヒアリング質問リスト(7Pフレームワーク活用)

見込み顧客はまだ自社を深く知らない可能性が高いので、「説明を加えながら質問する」ことがポイントです。
「どうして?」を繰り返し使い、相手の潜在的なニーズや課題を深く引き出してください。

7Pの要素質問例(「どうして?」を添えて深掘り)
Product(製品)・今、どのような製品・サービスを探していますか?→どうして?
・弊社の製品・サービスについて、どんな印象を持っていますか?→どうして?
Price(価格)・製品・サービスの予算はどのくらいですか?→どうして?
・コスト対効果をどのように判断していますか?→どうして?
Promotion(販促)・弊社をどこで知りましたか?→どうして?
・情報発信(ウェブサイト、メール、カタログなど)で、特に興味をひかれたものは?→どうして?
Place(流通)・製品・サービスを購入・導入する際、どんな流れを希望しますか?→どうして?
・取引までのプロセスで重視するポイントは何ですか?→どうして?
Process(過程)・問い合わせから納品まで、どういったフローが理想ですか?→どうして?
・対応スピードで重視する点は何ですか?どうして?
Physical Evidence(物的証拠)・製品・サービスを選ぶとき、参考にする情報(実績、事例、お客様の声など)は何ですか?→どうして?
・信用に足る証拠として、どんな資料やデータがあると安心ですか?→どうして?
People(人)・営業担当やサポート担当に、どんな対応を期待しますか?→どうして?
・コミュニケーションで大事にしてほしいことは?→どうして?
ウェブサイト評価・弊社ウェブサイトを訪れたことはありますか?→どうして?
・どんな情報を探していましたか?見つかった?→どうして?
・全体的な印象や改善点を教えてください。→どうして?

直接ヒアリングが難しい場合の代替案

「顧客との接点が少なくて、直接ヒアリングが厳しい…」という場合もあります。
そんなときに活用できる、間接的な情報収集の方法はこちらです。

  • 既存営業担当や代理店経由での情報:問い合わせ対応や納品時のやりとりで得られた顧客の声を収集
  • 展示会やイベント:ブースに来た方への簡易アンケートや名刺交換後のフォローアップ
  • 競合他社のウェブサイト、口コミサイト:ユーザーの不満や要望、評価ポイントをリサーチ
  • 業界紙や専門メディア:今どんな技術やソリューションが注目されているか、市場動向をチェック

これらの間接的な情報源からも、顧客が求めるものや業界全体の流れを把握できるはずです。


ヒアリング結果の活用方法

顧客ヒアリングで得られた情報は、ウェブサイトのコンテンツ開発やSEOキーワード選定、広告戦略、ペルソナ作成など、多岐にわたって活用できます。
より具体的な活用方法や、ヒアリング結果を分析してウェブ戦略に落とし込む手順はヒアリング結果をウェブ戦略に活かす方法にて詳しく解説するので、ぜひあわせてご覧ください。


まとめ:顧客の声に耳を傾け、ウェブ戦略を成功に導く

製造業のウェブ戦略で成功したいなら、顧客の生の声を取り入れることが欠かせません。
7Pフレームワークを使った質問リストを活用し、「どうして?」を繰り返すことで、顧客が本当に求める価値や課題が見えてきます。
顧客の声を踏まえてウェブサイトの方向性やコンテンツを最適化すれば、問い合わせ数や成約率の向上が期待できるでしょう。

1. ヒアリングの方法を決め、7Pの質問リストを準備する
2. 既存顧客または見込み顧客に時間をもらい、丁寧に話を聞く
3. 「どうして?」を使って回答を深掘りし、本音や背景を引き出す
4. ヒアリング結果を社内で共有し、ウェブ戦略に反映する

ウェブマーケター

「顧客ヒアリングの具体的なやり方がもっと知りたい」「間接ヒアリングの方法を深掘りしたい」といった疑問があれば、お気軽にご相談ください。

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