最近、スマホからの離脱率が高くなってきているんです。
原因はサイトの表示速度かもしれないと思うのですが..
表示速度の問題は、ビジネスに大きな影響を与えかねない深刻な課題ですね。具体的な対策方法をご説明していきましょう。
なぜ今、表示速度の改善が重要なのか
スマートフォンの普及により、モバイルファーストな時代となった今、サイトの表示速度は企業の競争力を左右する重要な要素となっています。
Googleの調査によると、表示速度が1秒遅くなるごとにコンバージョン率が7%低下するという衝撃的なデータが報告されています。
さらに重要なのは、表示速度の遅さがユーザー体験全体に与える悪影響です。
ユーザーの73%が表示の遅いサイトに不満を感じており、そのうち61%が二度とそのサイトを訪れないと回答しています。
影響領域 | 具体的な影響 | 想定される損失 |
---|---|---|
売上への直接影響 | ・コンバージョン率7%低下(1秒遅延につき) ・カート放棄率25%増加 ・ページあたりの閲覧数11%減少 | 年間売上の5-15%相当 |
ブランド価値 | ・再訪問率の低下(61%が再訪問せず) ・SNSでの否定的な評価拡散 ・競合サイトへの流出 | 顧客生涯価値の20-30%低下 |
SEO評価 | ・コアウェブバイタルスコアの低下 ・クローラビリティの低下 ・モバイルフレンドリー評価の低下 | 自然検索流入の15-25%減少 |
画像最適化:見た目も速度も妥協しない!
画像は、ウェブサイトの「見た目」を良くする上で欠かせない要素ですが、ファイルサイズが大きいと表示速度を大きく低下させる原因になります。
そこで、以下の3つの対策を組み合わせて、画像を最適化しましょう。
改善項目 | 実装方法 | 期待される効果 | 実装の難易度 |
---|---|---|---|
WebP形式への変換 | 画像編集ソフトやオンラインツールを利用して、JPEGやPNG形式の画像をWebP形式に変換します。 | ファイルサイズを40~60%削減。画質を維持しながら軽量化。 | 中 |
適切な圧縮処理 | 画像編集ソフトで圧縮率を調整し、画像の用途に応じて最適な圧縮レベルを設定します。可逆圧縮(ロゴなど)と非可逆圧縮(写真など)を使い分けます。 | ファイルサイズをさらに削減。表示速度を改善。 | 中 |
遅延読み込みの実装(Lazy Load) | HTMLにloading=”lazy”属性を追加するか、JavaScriptライブラリを使用します。画面外の画像は、スクロールしたタイミングで読み込むようにします。 | 初期表示速度を30~50%高速化。ページ全体の読み込み時間を短縮。 | 中 |
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・ウェブページ高速化と遅延読み込みは同じこと?! 〜ウェブページの読み込み順序を最適化して、ユーザー体験とビジネス成果を両立しよう〜
実装のポイント
実装のポイント
WebP形式
WebPとは、Googleが開発した新しい画像フォーマットで、JPEGやPNGといった従来の画像形式よりも、ファイルサイズが小さく、画質が良いという特徴があります。
ロゴやアイコンなどには可逆圧縮、写真などには非可逆圧縮を使い分けられます。
すべてのブラウザがWebPに対応しているわけではないため、代替画像(JPEG/PNG)を用意しておくと安心です。<picture>タグを利用すると、ブラウザに合わせて最適な画像を出し分けることができます。
圧縮処理
画像圧縮率が高すぎると画質が劣化してしまうため、注意が必要です。
実際に画像をブラウザで確認しながら、適切な圧縮率を見つけましょう。
遅延読み込み
JavaScriptライブラリを使用する場合は、ページ内のすべての画像に適用されるよう、正しく設定しましょう。
注意点
画像が多すぎる場合、最適化しても限界があります。必要最低限の画像に絞り込むことも検討しましょう。
画像のファイル名も、分かりやすく設定しておくと、管理しやすくなります。
JavaScript最適化:コードもスリムに、動きはスムーズに!
JavaScriptは、ウェブサイトに動きやインタラクションを与えるための重要な要素ですが、コードが複雑だったり、不要なスクリプトが多いと、表示速度を遅くする原因になります。
以下の対策で、JavaScriptを最適化しましょう。
改善項目 | 実装方法 | 期待される効果 | 実装の難易度 |
---|---|---|---|
コード圧縮(minify) | JavaScriptの圧縮ツール(terser、Webpack、Parcelなど)を使用して、コードを縮小化します。 | JavaScriptの実行時間を30~40%短縮。ファイルサイズを縮小。 | 高 |
不要なスクリプトの削除 | 使用していないJavaScriptコードを削除します。プラグインやライブラリの見直しも行いましょう。 | ファイルサイズを縮小。パフォーマンスを改善。 | 中 |
非同期読み込みの採用 | JavaScriptの読み込みにasyncまたはdefer属性を付与し、ページのレンダリングをブロックしないようにします。 | ページのインタラクション遅延を解消。初回表示速度の改善。 | 中 |
実装のポイント
実装のポイント
コード圧縮
コード圧縮ツールを使用する際には、元のコードをバックアップしておくことをおすすめします。
不要なスクリプトの削除
どのスクリプトが不要かを判断するのは難しい場合があります。Webサイトの分析ツールや、JavaScriptのエラーコンソールなどを参考に、慎重に判断しましょう。
非同期読み込み
async属性とdefer属性は、スクリプトの実行タイミングが異なります。Webサイトの状況に合わせて、適切に使い分けましょう。
注意点
JavaScriptの最適化は、専門的な知識が必要になる場合があります。必要に応じて、エンジニアに相談しましょう。
コードを編集する際は、必ずバックアップを取り、変更内容を記録するようにしましょう。
サーバー設定最適化:縁の下の力持ちを強化!
サーバーは、ウェブサイトの情報をユーザーに届けるための重要な基盤です。
サーバーの設定が最適化されていないと、表示速度が遅くなるだけでなく、サーバーに負荷がかかりすぎて、サイト全体がダウンしてしまう可能性もあります。
サーバー設定を最適化項目は次の通りです。
改善項目 | 実装方法 | 期待される効果 | 実装の難易度 |
---|---|---|---|
ブラウザキャッシュの設定 | サーバー側で、ブラウザにファイルをキャッシュさせる設定を行います。 | 同じファイルを何度も読み込む必要がなくなり、表示速度を改善。 | 中 |
Gzip圧縮の有効化 | サーバー側でGzip圧縮を有効化します。テキストファイル(HTML, CSS, JavaScriptなど)を圧縮することで、ファイルサイズを削減し、転送時間を短縮します。 | テキストファイルのサイズを大幅に削減。帯域使用量を60~80%削減。 | 中 |
CDNの活用 | CDN(コンテンツ配信ネットワーク)サービスを利用して、Webサイトのコンテンツをユーザーに近いサーバーから配信するようにします。 | TTFB(Time To First Byte)を50~70%改善。表示速度を大幅に向上。 | 中 |
実装のポイント
- 実装のポイント
- ブラウザキャッシュ: ブラウザキャッシュの設定は、サーバーの設定ファイル(.htaccessなど)で行うことができます。
- Gzip圧縮: 多くのサーバーで、Gzip圧縮を有効化する設定が用意されています。
- CDN: CDNサービスは、様々なものが提供されています。自社のウェブサイトの規模や予算に合わせて、最適なサービスを選びましょう。
- 注意点
- サーバーの設定変更は、Webサイトに影響を与える可能性があるため、慎重に行う必要があります。
- 設定変更後には、必ず動作確認を行いましょう。
- CDNを利用する場合は、サービス側の設定も行う必要があります。
効果測定のためのKPI設定
表示速度の改善効果を正確に測定するには、適切なKPIの設定が不可欠です。
指標カテゴリ | 測定項目 | 推奨ツール | 目標値 |
---|---|---|---|
技術指標 | ・First Contentful Paint (FCP) ・Largest Contentful Paint (LCP) ・Time to Interactive (TTI) | ・Google Lighthouse ・WebPageTest ・Chrome DevTools | FCP: 1.8秒以下 LCP: 2.5秒以下 TTI: 3.8秒以下 |
ユーザー行動 | ・直帰率 ・平均滞在時間 ・ページ/セッション | ・Google Analytics 4 ・Adobe Analytics | 直帰率: 40%以下 滞在時間: 2分以上 ページ/セッション: 3以上 |
ビジネス指標 | ・コンバージョン率 ・顧客満足度 ・再訪問率 | ・CRMツール ・顧客アンケート | CV率: 業界平均+20% 満足度: 85%以上 再訪問率: 40%以上 |
まとめ:表示速度改善がもたらす総合的な効果
表示速度の改善は、短期的なコスト増加を伴いますが、以下のような総合的な効果が期待できます。
効果分野 | 短期的効果 | 中長期的効果 |
---|---|---|
売上 | ・コンバージョン率向上 ・カート放棄率改善 | ・年間売上増加 ・顧客生涯価値向上 |
ユーザー体験 | ・直帰率改善 ・セッション時間増加 | ・ブランドロイヤリティ向上 ・リピート率増加 |
運用効率 | ・サーバー負荷軽減 ・運用工数削減 | ・インフラコスト削減 ・広告効果向上 |
これらの改善効果を最大化するためには、定期的な計測と改善のサイクルを確立することが重要です。
また、ユーザーからのフィードバックを積極的に収集し、実際のユーザー体験に基づいた改善を継続的に行うことで、より大きな効果を得ることができます。