選ばれる理由がなければ、どんなに優れた技術力も埋もれてしまう
製造業の現場では、技術力の高さこそが最大の売り、と考えがちです。
しかし、技術力を誇る会社は他にもたくさんありますし、ただ「すごい技術を持っています」と言うだけでは、潜在顧客にとって「私たちはどんなことをしてもらえるか?」が曖昧なまま。
つまり、技術力をどう顧客の課題解決やメリット提供につなげるか、その「選ばれる理由」を明確にしなければ、どんなに優れた技術も埋もれてしまうのです。
本記事では、その「選ばれる理由」の見つけ方・作り方を解説します。
自社の強みをもう一度洗い出して、ウェブ上で効果的に発信するヒントをつかんでください。
選ばれる理由はインタビューで見つける!
「選ばれる理由」を探るうえで、もっとも効果的なアプローチがインタビューです。
社内(特に社長やトップ営業パーソン)や、実際の顧客へ直接話を聞くことで、自社の強みや顧客ニーズがどこにあるのかを再発見できます。
詳しくは、以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
これらのヒアリングを通じて、下記のような情報を集めると「選ばれる理由」を固める土台となります。
- なぜ顧客は自社を選んでくれたのか?
- 自社が解決できる顧客課題は何か?
- 競合他社と比べたときの優位点、逆に劣る点は?
- 社長や社員が大切にしている価値観や想いは?
「選ばれる理由」を見つけるためのインタビューのポイント
社内インタビュー(特に社長インタビュー)
社長は長年の経験から、会社の歴史や顧客ニーズ、競合状況をよく知っています。
- 過去の成功事例:どんな顧客のどんな課題をどう解決したのか?
- 顧客からよく言われる嬉しい言葉:技術力以外にどんな点を評価されているか?
- 競合他社との違い:価格、対応力、納期、技術面など、どこで差をつけているか?
- 社長の想いやこだわり:会社のビジョンや方針は?それは顧客にメリットを与えているか?
顧客インタビュー
既存顧客に直接話を聞くと、自社が本当に評価されているポイントが浮き彫りになります。
- 選定理由:「どうしてうちを選んだのか?」「他社ではなく弊社を決めた決め手は?」
- 満足度と改善要望:「どこに満足しているか?」「何を改善してほしいか?」
- 他社との比較:「競合と比べて、良い点・悪い点は?」
顧客の生の声は、自分たちが思っていた強みとは別の、新たな魅力を教えてくれることも少なくありません。
インタビューの注意点
- オープンな質問:自由に回答してもらえるよう、Yes/Noで終わらない質問を意識する
- 「なぜ?」を繰り返す:表層的な回答だけでなく、根本的な理由を引き出す
- 先入観を持たずに聞く:期待する答えを誘導しない
「選ばれる理由」を言語化する
インタビューで得た情報を整理したら、次は言語化の作業です。
技術力や価格、対応力など、強みをただ羅列するのではなく、顧客にとってのメリットを絡めてまとめるのがポイント。
例:「当社は〇〇技術を用いて△△材の切削加工を短納期で提供。高精度とスピードを両立し、製品開発のリードタイムを最大30%短縮します。」
このように、「(技術)で(顧客の課題)を解決し、(具体的メリット)を実現する」といったフレーズを作ると、顧客が「自分ごと」として理解しやすくなります。
中小製造業の「選ばれる理由」の具体例
実際に「選ばれる理由」をどのように表現しているのか、いくつかの例を挙げてみましょう。
例1:短納期対応力
「1個から大量生産まで、小ロット多品種でも柔軟に対応。試作から量産への切り替えリードタイムを半分以下に削減します。」
理由:顧客は開発スピードを求めているので、「短納期」+「試作〜量産の効率化」を強みとして提示。
例2:技術コンサルティング力
「お客様の要望をヒアリングし、最適な加工方法や材料選定を無料でアドバイス。
図面段階から改善提案し、コストダウンと品質向上を実現します。」
理由:ただの受託加工業者ではなく、開発パートナー的な立ち位置をアピールし、差別化。
まとめ:「選ばれる理由」を明確にし、ウェブで発信しよう
いくら技術力が高くても、それをウェブ上で「選ばれる理由」として伝えられなければ、顧客の目に留まらず、チャンスを逃してしまいます。
インタビューを通じて自社の強みや顧客の本音を洗い出し、顧客が欲しい成果やメリットにフォーカスして言語化することが大切です。
次のステップ:
1. 社内・顧客インタビューの準備をして、自社の強みや魅力を再確認する
2. 「選ばれる理由」を「(技術)×(顧客の課題)=(顧客メリット)」の形でまとめる
3. ウェブサイトのトップページや製品・サービス紹介ページに反映する
今後は、製造業のための「選ばれる理由」を伝えるコンテンツ作成術(準備中)にて、実際に作るコンテンツの構成や見せ方を紹介する予定です。
ぜひ、自社独自の「選ばれる理由」をしっかり固めて、ウェブでアピールしてみてください。
「まずは、社長や顧客へのインタビューをスタートし、自分たちが本当は何を評価されているのか、改めて探ってみましょう。発見した“選ばれる理由”が、きっとビジネス成長の原動力になります。」