最近、うちのホームページを見てもらっても問い合わせが全然増えないんだよね。デザインもそんなに悪くないと思うし、更新もしてるのに…。もっと成果を上げるにはどうすればいいんだろう?
社長、それは“サイト改善”を本格的に考えるタイミングかもしれませんね。ホームページって、ただ作って運営するだけでは成果が出にくいんです。定期的にデータを見て、ユーザーがどう感じているのかを理解しながら、少しずつ改良していくことが必要なんです。
なるほど。データとか、難しそうだね…。ウチみたいな小さな会社でもできるのかな?
もちろんです!改善っていうと大がかりなリニューアルを思い浮かべるかもしれませんが、小さな変更を少しずつ進めていくだけでも、大きな成果に繋がりますよ。この記事では、初心者でも取り組みやすい“サイト改善”の考え方や成功事例を具体的にお伝えします。一緒にステップを見ていきましょう!
自社のWebサイトをもっと有効活用して、売上や問い合わせ数を伸ばしたい。
そう願う中小企業の経営者やWeb担当者は多いはずです。
ところが、いざサイトを使って集客や販促をしようと思っても、何から取りかかればいいのかわからない、という声も少なくありません。
この悩みを解決するポイントとなるのが、「サイト改善」です。
本記事では、サイト改善に取り組む際の基本的な考え方から、実際に成果を上げた事例、そして改善を進める上での具体的なステップを順を追って解説していきます。
「サイト改善」は、決して大がかりなリニューアルだけを指すものではありません。
小さな変更や更新を積み重ねていくだけでも、思わぬ成果につながる可能性があります。
ぜひ最後まで読んでいただき、今後の取り組みに役立ててください。
サイト改善とは
サイト改善の定義
サイト改善とは、Webサイトの目的や目標をより達成しやすくするために、デザイン・コンテンツ・ユーザー導線・表示速度など、サイト全体を継続的に見直して最適化する活動を指します。
「売上を増やしたい」
「問い合わせをもっと獲得したい」
「ブランディングを確立したい」
など、企業によってサイトの目的はさまざまです。その目的を達成するために、現状を把握し、問題点を洗い出し、計画的に改善を行うプロセスがサイト改善の基本と言えます。
なぜサイト改善が必要なのか
- ユーザーのニーズに合わせるため
時代やユーザーの行動様式は常に変化しています。
以前はPCからのアクセスが主流だったのが、現在ではスマートフォンが圧倒的に増えました。
その変化に合わせてサイトも進化させなければ、ユーザーにとって使いづらいサイトになってしまいます。 - 検索エンジンからの評価を高めるため
Googleなどの検索エンジンは、ユーザーにとって有益な情報や使いやすいサイトを上位に表示しようとします。
デザインが崩れている、内容が古い、ページの読み込みが遅いといった問題があれば、検索順位も下がりやすくなります。 - 競合他社との差別化を図るため
同じような商品やサービスを提供していても、サイトの見せ方や情報の提示方法でユーザーの反応は大きく変わります。
ライバル企業との差を埋め、さらに一歩先に進むためにも、サイト改善は欠かせない取り組みと言えます。
サイト改善の考え方
目的を明確にする
まずは、自社サイトの明確なゴールを設定しましょう。たとえば、以下のような目標を立てるケースがあります。
- 問い合わせ数を月10件から月20件に増やす
- ECサイトの月売上を20%アップさせる
- 採用サイトの応募数を1.5倍にする
サイト改善は「どんな成果を目指しているか」によって最適なアプローチや施策が変わります。数字を使って具体的に目標を決めることで、改善の結果がわかりやすくなり、チーム内での共有やモチベーションアップにもつながるでしょう。
PDCAサイクルを回す
サイト改善は、一度やったら終わりというものではなく、継続的に回していくプロセスが大切です。
その際に有効なのが「PDCAサイクル」です。
- Plan(計画):目的に合わせて何をどのように改善するかを計画
- Do(実行):実際にサイトを修正・改良
- Check(検証):アクセス解析や問い合わせ数などのデータを見て効果を測定
- Act(改善):結果を踏まえて新たな課題を発見し、次の計画を立てる
この一連の流れを繰り返すことで、サイトは少しずつ良くなっていきます。
大きくリニューアルする前に、小さな改善を積み重ねてデータを検証するのがポイントです。
ユーザー視点を最優先に
サイト改善というと、見た目のデザインやSEOのテクニックばかりに注目しがちですが、最も重要なのはユーザーの視点です。
「ユーザーがどんな情報を求めているのか」「どんな手順で商品を購入するのか」「どうすれば問い合わせしやすくなるのか」など、ユーザー行動を具体的にイメージすることが成功のカギとなります。
ユーザー視点を取り入れるための方法
- アクセス解析ツールで離脱率が高いページやクリック率が低い要素を探す
- ヒートマップツールでユーザーがどこを見ているか、どこをクリックしているかを分析
- アンケートや顧客インタビューで直接意見を聞く
こうした情報をもとに、改善すべきポイントをリストアップすると、より実践的なサイト改善が行えます。
サイト改善のステップと主要ポイント
ここでは、サイト改善を進めるうえで押さえておきたいステップを時系列で紹介します。
中小企業のWeb担当者や経営者の方がすぐに取り組める内容を中心にまとめました。
ステップ1.現状分析
- アクセス解析
- Googleアナリティクス(GA4)やサーチコンソールを利用し、現在のPV数、エンゲージメント率、平均滞在時間、ランディングページ、離脱ページ、検索クエリなどを確認。
- どのページがよく見られているのか、ユーザーがどの経路で来ているのかを把握し、サイト全体の弱点や強みを見極める。
- ヒートマップ
- クリック率やスクロール率など、ユーザーが実際にサイトをどのように利用しているかを「可視化」するツール。GA4ではわからないことを知る。
- 意外な場所でユーザーが離脱しているケースがあるので、デザインの改善や配置変更などのヒントになる。
- サイト速度の計測
- PageSpeed Insightsなどを使い、読み込み速度やモバイルでの表示速度をチェック。
- 表示が遅いページは離脱率が高くなる傾向があるため、画像やスクリプトの最適化を優先的に検討。
- ユーザーインタビュー・アンケート
- 既存顧客やサイト訪問者から直接意見を聞くことで、データだけではわからない不満や疑問を拾い上げる。
- 「サイト内で情報を探しにくい」「フォームの入力項目が多すぎる」など、潜在的な問題点が見つかることも多い。
ステップ2.改善計画の策定
- 優先順位の設定
- すべての問題を一度に解決しようとすると混乱しやすいため、影響度が高い部分から着手する。
- たとえば、問い合わせフォームの改善が問い合わせ数に直結しそうなら、最優先で改修する。
- 改善施策の具体化
- 「問い合わせフォームの入力項目を減らす」「導線となるボタンをわかりやすい色に変える」など、具体的なタスクに落とし込む。
- 開発担当者やデザイナーとも連携し、どう実装するかをすり合わせる。
- KPIの設定
- 改善の成果を測るため、問い合わせ件数・キーイベントレート(コンバージョン率)・クリック率などのKPIを明確にし、Before/Afterを比較できるようにする。
ステップ3.実装・テスト
- 小さな変更から始める
- 大規模リニューアルはリスクが高いため、まずはトップページや重要なランディングページなど、影響が大きいページから部分的に取り組む。
- 変更を加えたら、アクセス解析やヒートマップの結果をこまめにチェック。
- A/Bテストの活用
- たとえばボタンの色や配置を変えてCVRの変化を比較する、コピー(文章)の表現を少し変えてクリック率が上がるか調べるなど、小さな実験を繰り返す。
- 結果が良ければ新しいデザインやコピーを採用し、あまり変化がなければ他の案を試すという形で、効率的に改善を進める。
- ツールを使わずとも改修した結果をみて良くなっていれば採用、悪くなっていれば戻すという方法でも良い。
ステップ4.効果検証・次の施策へ
- データの分析
- 「問い合わせ数がどれだけ増えたか」「離脱率は改善したか」など、KPIに対してどのような変化があったかを定期的にモニタリング。
- わかりにくい数値の動きがあれば、関係するページや施策を再点検する。
- PDCAサイクルを回す
- 思ったほど効果が出ない場合もあるため、原因を探って別の施策を試す。
- 効果が出た場合は、関連する他のページにも同様の改善を適用するなど、横展開を行う。
具体的なサイト改善の事例
ここでは、実際の中小企業がサイト改善を行ったことで成果を上げた事例をいくつか紹介します。
自社サイトの状況と照らし合わせながらヒントを得てみてください。
事例1.問い合わせフォームの改善でCVRが2倍になった工務店
背景
地方で住宅のリフォームを手掛ける工務店A社は、ホームページからの問い合わせが月に2〜3件しかありませんでした。
アクセス数自体はある程度あったのに、フォームまでたどり着いても途中で離脱するケースが多かったのです。
改善内容
- 入力項目を大幅に削減:名前・連絡先・問い合わせ内容の3項目に絞り、できるだけストレスを感じさせないように
- フォームへの誘導ボタンを目立たせる:ページ上部と下部、2か所に問い合わせボタンを設置し、色もコーポレートカラーのオレンジに変更
- 完了ページにお得な情報を案内:問い合わせ後は割引クーポンや施工事例のダウンロード案内を表示し、ユーザーの満足度を高める
成果
フォームの改善後、問い合わせ数が月平均5〜6件にアップし、コンバージョン率(CVR)はおよそ2倍に。
問い合わせ後のフォロー体制も見直した結果、成約率も向上し、売上にも好影響が出ました。
事例2.ECサイトでの商品説明を強化して売上20%アップ
背景
生活雑貨を扱うECサイトB社では、ページビューはあるものの「商品をカゴに入れずに離脱する」ユーザーが多いという課題を抱えていました。特に新規ユーザーの購入率が低く、広告費をかけても売上につながらず、悩んでいました。
改善内容
- 商品写真のクオリティ向上:プロのカメラマンを手配し、商品の使用イメージがわかる写真を複数掲載
- 商品詳細ページを充実:特徴や素材、使い方のコツなどを箇条書きでわかりやすく説明。併せて、サイズ比較表やレビューも見やすく配置
- 購入プロセスを短縮:必要以上の情報は取らずに余計なリンクボタンなども削除、決済画面への導線をシンプル化
成果
改善後に行ったアクセス解析では、商品詳細ページからカートに進む率が大幅にアップし、売上は約20%増加しました。特にスマートフォンからの購入が伸びたことで、モバイルに最適化した施策の効果が大きいことが証明されました。
事例3.採用サイトの魅力を引き出して応募数1.5倍に
背景
地方に拠点を置くIT企業C社は、新卒・中途を問わず人材確保に苦戦していました。採用ページは形だけ用意されていたものの、会社の雰囲気や働き方の情報がほとんど掲載されておらず、求職者の興味を引くような内容ではなかったのです。
改善内容
- 社員インタビューを追加:実際に働く社員の声や、仕事を通じて成長したエピソードなどを写真付きで掲載
- オフィスツアー動画を制作:社内環境や設備を動画で紹介し、遠方の求職者にも会社の雰囲気が伝わるように
- 応募フローを簡略化:エントリーフォームへのリンクをわかりやすい位置に配置し、入力項目も最小限に
成果
サイトをリニューアルしてから約3か月後、応募数が1.5倍に増加。面接時点でのミスマッチも減り、採用効率が上がったといいます。応募者からは「サイトを見て会社のイメージが具体的にわかった」という声が多く寄せられました。
中小企業がサイト改善に取り組む際の注意点
5-1. リソースを見極める
中小企業の場合、Web担当者が1人しかいなかったり、社長自身が兼任していたりと、リソースが限られています。
すべてを一度にやろうとせずに、優先度の高い項目から少しずつ進めることが重要です。
外部の制作会社やコンサルタントをうまく活用する選択肢も検討してみると良いでしょう。
5-2. 小さな成功体験を積み重ねる
いきなり大規模なリニューアルを行うと、時間もコストも膨大にかかり、結果が失敗した場合のリスクも大きいです。まずは小さな改善策で良いので、PDCAサイクルを回しながら「手応えのある成果」を積み重ねることを意識しましょう。
成功体験が増えると、さらにサイトを良くしたいという意欲が高まり、スムーズに次の施策へ移れます。
5-3. 最新情報を常にチェックする
Web技術やユーザーのトレンド、検索アルゴリズムは日々変化します。
せっかく改善しても、数年経てば情報が古くなってしまうこともしばしばです。定期的に以下の点を見直し、最新の状況に合わせてアップデートしましょう。
- 商品・サービス情報の更新:価格改定や新商品の追加、品質向上のための変更点をこまめに反映
- スタッフ紹介や事例ページ:新しい事例や人材の情報を追加することで、サイトを“生きた情報源”に
- SEOの最新動向:Googleのアルゴリズム変更や、新しい検索キーワードの増加などをキャッチアップ
サイト改善を成功させるためのポイントまとめ
- 目的の明確化
サイト改善のゴールを数字で定義し、チーム内で共有。
問い合わせ数や売上、応募数など、どの部分を伸ばすのかをはっきりさせる。 - ユーザー目線で考える
デザインや文章、導線づくりは「ユーザーが使いやすい・わかりやすい」ことを最優先に。
アンケートやアクセス解析を活用して、データから問題点を探る。 - PDCAサイクルを継続する
一度改善して終わりではなく、常にデータをもとに検証と修正を繰り返すことで、サイトは着実に成長していく。 - 小さな成功体験を大切に
全面リニューアルの前に、問い合わせフォームや商品ページなど、効果が見えやすい部分で小さな改善を繰り返す。その成功事例を社内に共有すると、プロジェクトの推進力が増す。 - 定期的な情報更新
サイトは最新情報を載せる“企業の顔”でもある。メンテナンスやアップデートを怠ると、せっかくの改善効果も目減りしてしまうため注意が必要。
最後に:一歩ずつ着実に前進しよう
サイト改善は、「専門知識がないと難しそう」「大変そう」というイメージを持たれがちです。
しかし、実は小さな一歩の積み重ねが最も効果的な方法です。
たとえば、よくある質問(FAQ)を整理してユーザーの疑問を解消したり、問い合わせボタンを目立つ位置に設置するだけでも、大きな変化が生まれることがあります。
また、社内だけで対応しきれない部分は、思い切って外部のプロに相談するのも一つの手段です。
予算をかける部分と自社内で取り組む部分をうまく切り分けることで、限られたリソースを有効活用しやすくなるでしょう。
「サイトは作って終わりではなく、常に育てるもの」と意識して、PDCAサイクルを回しながら、少しずつ前進していきましょう。そうした継続的な努力こそが、大きな成果につながる近道です。
サイトを育てる楽しさと手応えを感じられれば、あなたの企業のWeb戦略は格段にパワーアップするでしょう。