ストーリーテリングの基本構造について教えてください
どのように物語を形作るかという上で、まずは基本構造が重要になります。よく登場する要素として「ヒーロー(主人公)」「課題(コンフリクト)」「解決(リソリューション)」について解説します
ヒーロー(主人公)
ストーリーテリングのヒーローとは
物語の中心となる存在、ストーリーを引っ張っていくキャラクターのこと。必ずしも「正義の味方」である必要はなく視点が向けられる人物(または主体)を指します。場合によっては「顧客」「製品」「創業者」「会社全体」などがヒーローとなることもあります。
ストーリーテリング上の役割とポイント
共感ポイントを作る
ヒーローの背景や悩み、価値観をリアルに描くことで、読み手が自分のことのように感情移入しやすくなる。
変化・成長を見せる
物語の始めと終わりでヒーローがどう変わるのかが、ストーリーテリングの軸となる。
弱みを示す勇気
完璧なヒーローは感情移入しづらいため、欠点や苦手分野を正直に描くことで人間味を高める。
ブランディングにおいて、ヒーローをどのように設定例
ヒーローを顧客にする
ブランドストーリーでは「主人公=顧客」として、顧客の課題(コンフリクト)をブランド(製品・サービス)が解決(リソリューション)するストーリーがよく使われます。
ヒーローを創業者や企業にする
「創業者の苦労話や使命感」を核にした物語はブランドの世界観を強く印象づけます。その場合は、「顧客を救うための行動」が課題解決につながる流れを描きます。
課題(コンフリクト)
ストーリーテリングの課題とは
ヒーローが直面する問題や障害、困難のこと。物語に必ずと言っていいほど登場し、「登場人物が抱えるジレンマ」「外部からのプレッシャー」「社会的・環境的な問題」など多種多様です。
ストーリーテリング上の役割とポイント
ストーリーに緊張感や動機を与える
コンフリクトがあるからこそ、ヒーローが行動を起こす理由が生まれ、読み手は次の展開に引き込まれる。
メインの課題とサブ課題
メインの大きな課題だけでなく、細かなサブ課題を配置することでストーリーに厚みを持たせることができる。
価値観やメッセージを強調する機会
“なぜこの課題を解決しようとするのか”というヒーローの思いが、物語全体のメッセージやブランドの価値を象徴する。
解決(リソリューション)
ストーリーテリング上の解決とは
課題(コンフリクト)に対する答えや打開策。その結果、物語のクライマックスが訪れ、ストーリーが終結または新たな始まりへ向かいます。
ストーリーテリング上の役割とポイント
カタルシスの提供
読み手はヒーローの頑張りや苦労が報われる瞬間に強い感情的満足を得る。
説得力のあるプロセス
解決策が唐突すぎたり、無理やり感があったりすると読者が白けてしまう。ストーリーを通じて納得感のある過程を描くことが重要。
ブランドやメッセージの“勝ちパターン”
ビジネスやブランディングの文脈では、「解決=自社の製品やサービス、あるいは理念がもたらす恩恵」であることが多い。読者が「なるほど」と共感できる形で提示すると効果的。
ストーリー全体の流れ(例)
ストーリーテリングの構成としては、以下のような流れがよく使われます。
- 序章(導入)
- 舞台設定(時代・場所・社会状況・主人公の現状など)
- ヒーロー(主人公)の紹介
- きっかけ(問題提起)
- ヒーローが抱える課題や突発的な事件
- コンフリクトの発生
- 展開(葛藤と試行錯誤)
- ヒーローが課題解決に向けて行動を起こす
- 失敗や挫折、学びや仲間の助けなどが描かれる
- クライマックス(解決策の実行)
- 最大の障害に立ち向かう
- 努力の結果、問題解決へとつながる
- 結末(リソリューションの後)
- 課題解決後の変化や成長
- 今後への示唆(次のステップや継続性)
※日本の伝統的な「起承転結」や、西洋の「三幕構成」「フライタークのピラミッド」など、さまざまな理論がありますが、本質は「主人公」「課題」「解決」を軸に物語が展開することです。
ビジネスやブランドでは、世界観と価値観を示す
単なる成功物語ではなく、何を大切にしているのか、社会や顧客にどう貢献しようとしているのかなどをストーリー内に含めると、共感や支持が得やすくなります。
まとめ
ストーリーテリングの核となる要素は「主人公(ヒーロー)」「課題(コンフリクト)」「解決(リソリューション)」です。この3つをしっかりと物語の軸に据え、起承転結や三幕構成などのフレームワークを使って展開すれば、読み手の感情を動かし、共感や応援を得ることができます。
- ヒーロー:読者が感情移入できる主人公を設定する
- コンフリクト:ヒーローが乗り越えたい課題や困難を示す
- リソリューション:課題解決のプロセスと結果を描き、カタルシスを与える
これをビジネスやブランドの文脈に当てはめると、顧客へのメッセージを強く伝えられるだけでなく、長期的にファンとのつながりを深めることにもつながります。
繰り返しになりますが、単なる成功物語で終わらせないのがポイントです。
是非ブランディングにストーリーテリングを活かしてみてください。
関連記事: