1つのコンテンツを最大限活用する!フローメディアとストックメディアの活用術

Content is king(コンテンツは王様である)
ビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)
—このフレーズはビル・ゲイツが1996年に発表したエッセイで述べた言葉です。この通り、高品質なコンテンツを作成することはインターネットで注目を集めていく上で非常に重要です。
この言葉が発せられてから時が経ち、世の中はコンテンツで溢れかえっています。
今や単に良質なコンテンツを作るだけでは、情報の洪水の中で埋もれてしまうリスクがあります。
重要なのは、ユーザーにどう露出し、いかにエンゲージメントを獲得するかということです。
そのためには、各メディアの特徴やユーザーのニーズに合わせてコンテンツを最適化し、様々なプラットフォームで適切に露出させることがポイントとなります。
本記事では、実践的な例を交えながら、フローメディアとストックメディアの特性を理解し、それぞれのプラットフォームに最適化したコンテンツ戦略について解説します。
1つのコンテンツを多角的に展開した例
例1:ECサイトの売上ランキングを多メディアで展開
自社のECサイトで月間売上ランキングを作成したとします。
このコンテンツは以下のように展開できます。
- ブログ記事:詳細な売上ランキングと各商品のレビュー
- Instagram LIVE:トップ3商品の使用デモと視聴者との質疑応答
- ウェブサイト:「最新ランキング」というバナーを設置し、常に最新情報にアクセスできるようにする
- X:「今月の1位は何だと思いますか?」と予想を募るツイート
- Instagramストーリー:「1位の商品はどれ?」というクイズ形式のアンケート、正解者には抽選で1位商品をプレゼントするキャンペーン
いずれの接触ポイントからもECサイトにリンクをはることで商品購入を誘導することが可能ですが、商品購入のみならず、リピート購入の促進やコミュニティーを形成することでファンを増やしていくことも可能です。
- 商品購入への誘導:商品詳細ページへリンク、ランキングページ限定のクーポンを発行など
- リピート購入の促進:メルマガ登録、次回ランキング先行案内など
- コミュニティ参加呼びかけ:次回ランキングの投票システムやUGC蓄積など
例2:BtoBビジネスのお役立ちコンテンツの展開
業界トレンドレポートを作成した場合のコンテンツ展開例は以下の通りです。
- ブログ記事:詳細な分析レポートを掲載
- LinkedIn:キーポイントを抜粋した投稿、専門家としての見解を追加
- インフォグラフィック:データを視覚化してPinterestやXで共有
- YouTube:レポートの要点解説動画
- TikTok/YouTubeショート:重要ポイントを60秒にまとめた動画
- ダウンロード資料:詳細データを含むPDF版をリード獲得用に活用
- ウェビナー:レポートの解説セミナーを開催し、録画をアーカイブ化
いずれの接触ポイントにおいても、ダウンロードフォームやメルマガフォーム、ウェブナー参加登録などにより、リーー度を獲得すること画可能です。
また、コンテンツ閲覧者向けの個別相談枠を提供したり、定期レポートのサブスク、ステップメールによる顧客関係の構築などが可能になります。
このように、一つのコンテンツを起点として様々なメディアに最適化して展開したあと、出口戦略までしっかりおこなうことが重要です。
それでは、このような展開の基盤となるフローメディアとストックメディアについて詳しく見ていきましょう。
フローメディアとストックメディアの違い
フローメディアとは
フローメディアは、情報が流れるように次々と更新され、一過性の注目を集めるメディアです。
タイムラインを流れていく情報であり、即時性が高く、トレンドに敏感な特徴があります。
SNSのタイムラインやニュースフィードがこれに該当します。
ストックメディアとは
ストックメディアは、長期間にわたって価値を持ち続け、蓄積されていく情報を提供するメディアです。
検索によって発見される情報であり、SEO効果が高く、長期的なアクセスが期待できます。
ブログ、ウェブサイト、電子書籍などがこれに当たります。
ユーザー視点でのメディア選択
ユーザーの情報接触パターンから見ると、メディア選択は以下のように整理できます。
- ユーザーが探しに行く情報はストックメディアとして配置すると効果的です。
ただし、探しやすいUI設計が必須条件となります。 - ユーザーが受け身で受け取る情報はフローメディアでの発信が適しています。
わかりやすいように、飲食店を例にとって、各メディアに適したコンテンツを表にまとめました。
コンテンツ種類 | フローメディア | ストックメディア |
---|---|---|
店舗基本情報(場所、営業時間、連絡先) | × | ○ |
メニュー | × | ○ |
予約方法 | × | ○ |
期間限定メニュー | ○ | ○ |
今日のおすすめ料理 | ○ | × |
混雑状況 | ○ | × |
スタッフ紹介 | ○ | ○ |
料理の作り方紹介 | ○ | ○ |
クーポン・割引情報 | ○ | △ |
お客様の声・レビュー | ○ | ○ |
では、次に、主要メディアの特性と最適化戦略を見ていきましょう。
主要なフローメディアの利用者層と好まれるコンテンツ
X
- 主な利用者層: 20代〜40代、情報感度が高い層
- ユーザーが好むコンテンツ: 速報性の高い情報、簡潔な洞察、対話性のあるコンテンツ
- 主な利用者層: 10代〜30代、特に女性ユーザーが多い
- ユーザーが好むコンテンツ: 強いビジュアルインパクトを持つコンテンツ(洗練された写真、デザイン性の高いインフォグラフィック、感情を動かす映像など)
YouTube
- 主な利用者層: 幅広い年齢層(10代〜50代)
- ユーザーが好むコンテンツ: 教育的コンテンツ、エンターテイメント、ハウツー、製品レビュー
- 主な利用者層: 30代〜50代以上、BtoBビジネス従事者や経営者の利用が多い
- ユーザーが好むコンテンツ: 業界情報、専門的知見、コミュニティベースの交流
- 主な利用者層: 30代〜50代のビジネスパーソン、意思決定者
- ユーザーが好むコンテンツ: 業界インサイト、キャリア関連情報、ビジネストレンド
TikTok
- 主な利用者層: 10代〜20代が中心ですが、幅広い世代に拡大中
- ユーザーが好むコンテンツ: エンターテイメント性の高い短尺動画、トレンド、創造的表現
以上のようにメディアごとにユーザー層や好まれるコンテンツが異なります。
次に、ストックメディアの活用戦略について見ていきましょう。
主要なストックメディアの利用者層と好まれるコンテンツ
自社ブログ・ウェブサイト
- 特徴: SEO効果、長期的価値、詳細情報
- 好まれるコンテンツの条件
- キーワード分析に基づいたコンテンツ設計
- 検索意図に合った記事構成
- 内部リンクの最適化
- 定期的な更新によるコンテンツの鮮度維持
セミナー・ウェビナー
- 特徴: リアルタイム質疑応答、専門知識の深い共有
- 好まれるコンテンツの条件
- フローメディアでの事前告知と集客
- 録画のアーカイブ化によるストックコンテンツ化
- セッション内容の文字起こしをブログ記事に活用
- 参加者の質問から新たなコンテンツアイデアの発掘
ダウンロード資料(ホワイトペーパー、E-book)
- 特徴: リード獲得、専門性アピール
- 好まれるコンテンツの条件
- SNSでのティーザー公開でリード獲得
- 複数ブログ記事の集大成としての提供
- 業界データの視覚化と解説
- 定期的な更新版リリースによる再アプローチ
Podcast
- 特徴: 通勤時等の隙間時間消費、ながら聴取
- 好まれるコンテンツの条件
- 定期配信によるリスナー習慣化
- 音声コンテンツの文字起こしでSEO効果を得る
- ゲスト回での相互集客
- ハイライト動画のSNS展開
ストックメディアは長期的な価値を持つコンテンツを蓄積していく場所です。これらを効果的に活用するためには、フローメディアとの連携も重要となります。次に、コンテンツの効果的な連動展開戦略について見ていきましょう。
コンテンツの効果的な連動展開戦略
1. コンテンツハブ&スポーク方式
中心となる大きなコンテンツ(ハブ)から、小さなコンテンツ(スポーク)へと展開する方法です。
- 詳細な調査レポート(ハブ)を作成
- その内容を5つのブログ記事(スポーク)に分割
- 各ブログ記事から3-5つのSNS投稿(スポーク)を作成
- SNS投稿からのフィードバックを集め、次のレポート(新しいハブ)に反映
2. コンテンツリサイクル方式
既存のコンテンツを新しい形式に変換して価値を高める方法です。
- ブログ記事をインフォグラフィックに変換してPinterestやInstagramで共有
- セミナー録画から短尺クリップを作成してTikTokやYouTubeショートで公開
- 顧客の声をケーススタディに発展させる
- 過去のメルマガコンテンツをまとめてE-bookに再構成
これらの戦略はいずれも、一度作成したコンテンツの価値を最大化するために重要です。
まとめ
「Content is king(コンテンツは王様だ)」というビル・ゲイツの言葉は適格に未来を言い当てていましたが、今となっては、業界でもよく言われる「Content distribution is queen(コンテンツの配信が女王)」が重要です。
いかに優れたコンテンツも、適切なメディアで適切なタイミングで配信されなければ、その価値を十分に発揮することはできませんからね。
フローメディアとストックメディアを効果的に組み合わせ、コンテンツを連動展開させることで、マーケティング効果を最大化する戦略をたてられるといいですね。

ぜひ今あるコンテンツという資産を有効活用してくださいね。
疑問や具体的アドバイスが必要な場合は、ぜひお気軽にお問い合わせくださいね。