BtoBマーケティングの新常識:コンテンツ企画に遊び心は必要か

BtoBマーケティングの新常識:コンテンツ企画に遊び心は必要か

「BtoBは真面目に、硬派に」—これが長らくBtoBマーケティングの不文律とされていたのではないでしょうか。
特に日本のビジネス環境では、堅実さを示す青いロゴマークが多く採用され、堅実なトーンを選ぶ企業が多く見られます。

しかし、情報があふれる現代において、ターゲットの心に響くコンテンツを生み出すためには、逆方向にはみ出るのも方法の一つです。

ウェブマーケター

本記事では、私がコンサルタントとしてクライアント企業に提案している「BtoBコンテンツへの遊び心の取り入れ方」について、マーケティング責任者と運用担当者それぞれの視点から解説します。

「遊び心」がBtoBマーケティングにもたらす価値

まず、「遊び心」という言葉について確認しましょう。
ここでいう遊び心とは、単に「面白おかしく」することではなく、「受け手の感情に響き、記憶に残る工夫」を意味します。

BtoBマーケティングにおいて適切に遊び心を取り入れることで、以下のような効果が期待できます。

  1. 記憶に残りやすくなる
    予想外の発見や新鮮な視点は、情報の記憶定着率を高めます
  2. 差別化につながる
    似通ったコンテンツが溢れる中、独自の個性は強力な差別化要因となります
  3. 共有されやすくなる
    感情に訴えかけるコンテンツは、社内外で共有される可能性が高まります
  4. 人間味が生まれる
    適度な遊び心は、企業を「親しみやすい存在」として印象づけます

次に、「遊び心」をどのように取り入れるべきか、それぞれの立場から見ていきましょう。

目次

マーケティング責任者の役割:戦略的な「遊び心」の方針

ブランド戦略との一貫性を担保する

遊び心のあるコンテンツが効果を発揮するためには、企業のブランド戦略全体との一貫性が不可欠です。

  • 自社のブランドアイデンティティと親和性の高い「遊び心」の方向性を定義する
  • どの程度の遊び心が許容されるかを明確にし、「やらないこと」も明確にする

長期的なブランド構築を見据えた上で、「この企業らしい遊び心」を定義することが重要です。

失敗を恐れない文化を醸成する

新しいアプローチには常にリスクが伴います。
マーケティング責任者は、チームが安心して創造性を発揮できる環境づくりを行いましょう。

  • 小さく試し、成功したら拡大する方式を社内に広める
  • コンテンツの効果を多面的に評価する指標を設定する

創造性と実験精神を尊重する文化があってこそ、魅力的な「遊び心」が生まれます。

内外のステークホルダーとの調整

特に保守的な業界や中堅以上の企業では、新しいアプローチにより内部抵抗が生じることがあります。
マーケティング責任者は、組織全体の理解と協力を得るための橋渡し役を担いましょう。

  • 営業部門や経営陣に「遊び心」の戦略的意義を説明する
  • 成功事例(自社または他社)を集め、具体的な効果を示す
  • 段階的なアプローチで、少しずつ組織の受容度を高めていく

社内の理解と支持を得ることで、継続的かつ一貫した「遊び心」のあるコンテンツ展開が可能になります。

マーケティング運用者の役割:「遊び心」を最大限に活かす

ペルソナの設定

遊び心のあるコンテンツが受け入れられるかどうかは、ターゲットとなる顧客がそれを受け入れるかどうかにかかっています。

  • 事前にペルソナを設定して、ペルソナの好みを抑える。
  • 専門性を損なわない範囲でのクリエイティブな表現方法を模索する
  • リリース前にペルソナにテストを行い、調整をする

ペルソナを絞って、複数テストを行うことで、どんなものが受け入れられるのかが見えてきます。

多様なコンテンツフォーマットの実験

遊び心を取り入れる方法は、コンテンツのタイプによって大きく異なります。
様々なフォーマットで実験してみましょう。

  • ビジュアル面での工夫(イラスト、インフォグラフィック、動画など)
  • ストーリーテリングの活用(ケーススタディを物語形式で語るなど)
  • インタラクティブ要素の導入(クイズ、診断ツール、シミュレーターなど)
  • ユーモアの適切な活用(業界特有の「あるある」ネタなど)

フォーマットの多様化は、異なる学習スタイルや情報収集方法を持つ顧客へのリーチを広げることにもつながります。

出口戦略と効果検証

「遊び心」で注目を浴びて終わりではなく、出口戦略も行い、その効果検証も行いましょう。

  • 遊び心のあるコンテンツからどのような出口を通ったら理想的なのかを設計・実装する
  • 出口設計通りにユーザーが動いたかを効果検証する
  • 顧客からの直接的なフィードバックを収集する(コメント、アンケート、インタビューなど)

データに裏付けられた「効果のある遊び心」を見極め、その知見を次のコンテンツ制作に活かしましょう。

「遊び心」を取り入れる具体的な手法

BtoBマーケティングに「遊び心」を取り入れる方法はアイデア次第で無数にありますが、中でもよくあるパターんを紹介します。

インフルエンサーや社外とのコラボレーション

業界の著名人や影響力のある専門家とのコラボレーションは、専門性と遊び心を両立させる絶好の機会です。

またキャラクターや地元の著名人とコラボレーションすることで、親近感を醸成することも可能です。

  • 業界インフルエンサーとの対談や座談会を企画し、硬軟織り交ぜた内容にする
  • 異業種の専門家を招き、新しい視点でのコンテンツを共同制作する
  • SNSや地元で影響力のある人物と期間限定のプロジェクトを立ち上げる

社外の視点を取り入れることで、自社だけでは生まれなかった「遊び心」のあるアイデアが生まれやすくなります。
また、コラボレーション相手のファン層へのリーチも期待できます。

社長をネタにした親しみやすいブランディング

多くの企業にとって、社長は企業の顔であり、ブランドの象徴です。
堅いイメージの企業でも、社長を適切に「キャラクター化」することで、企業全体の親しみやすさを高められます。

  • 社長自身の個性や趣味を活かしたコンテンツの展開
  • 社長による技術解説や業界展望の独自視点での発信
  • 社長のちょっとした失敗談や挫折経験を交えたストーリーテリング
  • 社内外のイベントでの社長の意外な一面の紹介

このアプローチは特に、創業者社長や技術者出身の社長がいる企業において、強力なブランディング効果を発揮します。社長の人間味ある姿を通じて、企業全体の温かみや信頼感を伝えることができるのです。

オリジナルキャラクター

抽象的な概念や複雑な技術を親しみやすく伝えるために、オリジナルキャラクターの活用も効果的です。

キャラクターを通じた情報発信は、難解なテーマでも親しみやすく伝えることができ、長期的なコンテンツシリーズの展開にも適しています。まんがや動画とも親和性も高いです。

ブランディングの観点からも、独自のキャラクターは強力な資産となります。
適切に設計されたキャラクターは、企業の価値観や個性を象徴的に表現し、競合との明確な差別化要素となるのです。

ギャグやユーモア

BtoBでも、巧みに配置されたユーモアは強力な効果を発揮します。
ただし、「笑い」自体が目的ではなく、メッセージの印象を強める手段であることを忘れないようにしましょう。

  • 業界特有の「あるある」を面白く取り上げる
  • 複雑な概念を分かりやすい例え話(時にはあえて突飛な例え)で説明する
  • プレゼンテーションの要所に軽妙なジョークを入れる

このような適切なユーモアの活用は、企業ブランディングにおいて「親しみやすさ」と「知的誠実さ」を両立させるための重要な要素となります。
特に、複雑な製品やサービスを提供する企業にとって、ユーモアは難解な情報を消化しやすくする「調味料」の役割を果たします。

まとめ:「遊び心」はブランディングの重要な要素になりつつある

情報過多の時代において、受け手の心に届くコンテンツを作るためには、何らかの形で「遊び心」—すなわち、感情に働きかけ、記憶に残る工夫—が不可欠になりつつあります。

特に企業ブランディングの観点からは、「遊び心」は単なる表現技法ではなく、企業の個性や価値観を伝える重要な手段となります。
適切に設計された「遊び心」は、企業文化の反映であり、競合との明確な差別化ポイントになり得るからです。

ウェブマーケター

この記事は、ウェブコンサルタントの井水朋子による連載「BtoBウェブマーケティングの新常識」の一部です。戦略立案から実行サポートまで、伴走型のコンサルティングを提供しています。
お困りの際はお気軽にお問い合わせください。専門家と一緒に作業すれば、余計な遠回りをせずに成果へ近づけるはずです。

このページをシェアする
  • URLをコピーしました!
目次