マーケティングにおける「ヒーローズジャーニー」とは?
「ストーリーテリングをマーケティングに活かしたいけど、どのように活かせばいいのかわからない。」
「そもそもどんなストーリーを作れば効果的なの?」
こんな悩みを抱えていませんか?
マーケティングにおいて効果的なストーリーを作りたいなら、ぜひ「ヒーローズジャーニー」という型があるのをご存知でしょうか?
ヒーローズジャーニーとは?
「ヒーローズジャーニー」(英: Hero’s Journey)は、神話学者のジョセフ・キャンベルが提唱した物語構造の理論で、世界中の神話や物語に共通する普遍的なパターンを指します。
ヒーローズジャーニーは通常、以下のような段階で構成されています:
- 日常世界(Ordinary World) – 主人公の通常の生活が描かれる
- 冒険への召喚(Call to Adventure) – 主人公が冒険や変化への誘いを受ける
- 召喚の拒絶(Refusal of the Call) – 最初は恐れや不安から冒険を躊躇する
- 導師との出会い(Meeting with the Mentor) – 主人公が助言者や導き手と出会う
- 第一の関門の突破(Crossing the Threshold) – 主人公が冒険の世界へと踏み出す
- 試練、協力者、敵対者(Tests, Allies, Enemies) – 主人公が様々な試練に直面し、味方や敵と出会う
- 洞窟への接近(Approach to the Inmost Cave) – 最大の試練への準備
- 最大の試練(The Ordeal) – 主人公が最も困難な挑戦に立ち向かう
- 報酬(Reward) – 試練を乗り越えた主人公が報酬を得る
- 帰還の道(The Road Back) – 主人公が元の世界への帰路につく
- 復活(Resurrection) – 最後の試練を経て主人公が変容する
- エリクサーを持っての帰還(Return with the Elixir) – 成長した主人公が知恵や力を持って日常に戻る
日本昔話の『桃太郎』とヒーローズジャーニーの型
日常世界(Ordinary World)
桃から生まれ、おじいさん・おばあさんと平和に暮らす桃太郎。
冒険への召命(Call to Adventure)
鬼が村を襲い、村人を苦しめているという話を聞き、「自分が退治に行こう」と決意する。
冒険の拒否(Refusal of the Call)
桃太郎の場合、明確な拒否の描写はありませんが、物語によっては親(おじいさん、おばあさん)が心配して止めようとする場合があります。
賢者との出会い(Meeting the Mentor)
おじいさん、おばあさんが桃太郎にきびだんごを与え、冒険に送り出します。きびだんごは冒険を助ける特別なアイテムです。
冒険への旅立ち(Crossing the Threshold)
村を出て、鬼ヶ島に向かう旅を始める。
試練、仲間、敵(Tests, Allies, Enemies)
道中でイヌ、サル、キジを仲間に加え、それぞれがきびだんごを通じて味方になります。
最も危険な場所への接近(Approach to the Inmost Cave)
鬼ヶ島にたどり着き、戦いの準備を整える。
最大の試練(The Ordeal)
鬼と戦いを繰り広げる。桃太郎と仲間はそれぞれの能力を活かして強敵に挑みます。
報酬(Reward)
鬼を倒し、宝物を手に入れる。村の平和を取り戻すという大きな成果を得る。
帰路(The Road Back)
鬼ヶ島から故郷に帰る道のり。
復活(Resurrection)
村に戻り、英雄としての新たな立場を獲得。平和が訪れ、桃太郎自身も冒険を経て一回り成長しています。
帰還と変容(Return with the Elixir)
鬼退治の経験と宝物を村にもたらし、村全体が豊かになる。桃太郎自身も精神的・社会的に成長を遂げています。
マーケティングにおけるヒーローズジャーニー
マーケティングにおいても、このヒーローズジャーニーを活用することで、魅力的で共感を生むストーリーを展開できます。アン・ハンドレーが提唱する「顧客を物語の主人公にせよ」という考え方は、まさにヒーローズジャーニーをマーケティングに応用したものです。
実世界 | ストーリー内の位置づけ |
---|---|
顧客 | ヒーロー(主人公) |
ブランド・企業 | ガイド、またはメンター |
製品・サービス | 特別アイテム |
顧客の課題や問題 | 試練や敵 |
この型を使うことで企業は、「私たちはこんなに素晴らしい」と自社を主役にするのではなく、「あなた(顧客)が直面している課題を解決し、目標を達成するお手伝いをします」という共感を生むメッセージを伝えることができます。
例えば、ダイエット製品を売る場合、製品自体の特徴を強調するのではなく、顧客自身の健康や理想の体型を目指す旅に焦点を当て、その中での支援者としてブランドを位置づける方法が効果的です。
他のストーリー展開との比較
ヒーローズジャーニーにもストーリー展開があありますので、紹介します。
ストーリー展開 | 内容の特徴 |
---|---|
ヒーローズジャーニー | 試練を乗り越えて英雄へ成長 |
悲劇の旅 | 破滅や衰退で終わる |
アンチヒーローズジャーニー | 道徳的曖昧さ・ダークヒーロー |
没落の旅 | 高い地位から転落する |
癒しの旅 | 内面のトラウマを癒し再生 |
拒否の旅 | 使命や冒険を避け続ける |
それぞれのストーリー展開は、異なる目的やターゲット層に応じて使い分けることもできますが、顧客との共感や信頼関係を深めるためには、ヒーローズジャーニーが特に効果的です。
まとめ
コンテンツを生み出していく上で、「ストーリー」は顧客の心を動かす強力な武器です。
その中でもヒーローズジャーニーの型を活用することで、より顧客の共感を呼び、深い関係性を築くことができます。
もしストーリー作りに迷ったら、ぜひヒーローズジャーニーを参考にしてみてください。
また、弊社ではコンテンツマーケティンのサポートも行っています。
ストーリー作成に困ったら、ぜひお気軽にご相談ください。
