マーケティングにおける「ヒーローズジャーニー」とは?

「ストーリーテリングをマーケティングに活かしたいけど、どのように活かせばいいのかわからない。」
「そもそもどんなストーリーを作れば効果的なの?」

こんな悩みを抱えていませんか?

マーケティングにおいて効果的なストーリーを作りたいなら、ぜひ「ヒーローズジャーニー」という型があるのをご存知でしょうか?

目次

ヒーローズジャーニーとは?

「ヒーローズジャーニー」(英: Hero’s Journey)は、神話学者のジョセフ・キャンベルが提唱した物語構造の理論で、世界中の神話や物語に共通する普遍的なパターンを指します。

ヒーローズジャーニーは通常、以下のような段階で構成されています:

  1. 日常世界(Ordinary World) – 主人公の通常の生活が描かれる
  2. 冒険への召喚(Call to Adventure) – 主人公が冒険や変化への誘いを受ける
  3. 召喚の拒絶(Refusal of the Call) – 最初は恐れや不安から冒険を躊躇する
  4. 導師との出会い(Meeting with the Mentor) – 主人公が助言者や導き手と出会う
  5. 第一の関門の突破(Crossing the Threshold) – 主人公が冒険の世界へと踏み出す
  6. 試練、協力者、敵対者(Tests, Allies, Enemies) – 主人公が様々な試練に直面し、味方や敵と出会う
  7. 洞窟への接近(Approach to the Inmost Cave) – 最大の試練への準備
  8. 最大の試練(The Ordeal) – 主人公が最も困難な挑戦に立ち向かう
  9. 報酬(Reward) – 試練を乗り越えた主人公が報酬を得る
  10. 帰還の道(The Road Back) – 主人公が元の世界への帰路につく
  11. 復活(Resurrection) – 最後の試練を経て主人公が変容する
  12. エリクサーを持っての帰還(Return with the Elixir) – 成長した主人公が知恵や力を持って日常に戻る

日本昔話の『桃太郎』とヒーローズジャーニーの型

日常世界(Ordinary World)

桃から生まれ、おじいさん・おばあさんと平和に暮らす桃太郎。

冒険への召命(Call to Adventure)

鬼が村を襲い、村人を苦しめているという話を聞き、「自分が退治に行こう」と決意する。

冒険の拒否(Refusal of the Call)

桃太郎の場合、明確な拒否の描写はありませんが、物語によっては親(おじいさん、おばあさん)が心配して止めようとする場合があります。

賢者との出会い(Meeting the Mentor)

おじいさん、おばあさんが桃太郎にきびだんごを与え、冒険に送り出します。きびだんごは冒険を助ける特別なアイテムです。

冒険への旅立ち(Crossing the Threshold)

村を出て、鬼ヶ島に向かう旅を始める。

試練、仲間、敵(Tests, Allies, Enemies)

道中でイヌ、サル、キジを仲間に加え、それぞれがきびだんごを通じて味方になります。

最も危険な場所への接近(Approach to the Inmost Cave)

鬼ヶ島にたどり着き、戦いの準備を整える。

最大の試練(The Ordeal)

鬼と戦いを繰り広げる。桃太郎と仲間はそれぞれの能力を活かして強敵に挑みます。

報酬(Reward)

鬼を倒し、宝物を手に入れる。村の平和を取り戻すという大きな成果を得る。

帰路(The Road Back)

鬼ヶ島から故郷に帰る道のり。

復活(Resurrection)

村に戻り、英雄としての新たな立場を獲得。平和が訪れ、桃太郎自身も冒険を経て一回り成長しています。

帰還と変容(Return with the Elixir)

鬼退治の経験と宝物を村にもたらし、村全体が豊かになる。桃太郎自身も精神的・社会的に成長を遂げています。

マーケティングにおけるヒーローズジャーニー

マーケティングにおいても、このヒーローズジャーニーを活用することで、魅力的で共感を生むストーリーを展開できます。アン・ハンドレーが提唱する「顧客を物語の主人公にせよ」という考え方は、まさにヒーローズジャーニーをマーケティングに応用したものです。

実世界ストーリー内の位置づけ
顧客ヒーロー(主人公)
ブランド・企業ガイド、またはメンター
製品・サービス特別アイテム
顧客の課題や問題試練や敵

この型を使うことで企業は、「私たちはこんなに素晴らしい」と自社を主役にするのではなく、「あなた(顧客)が直面している課題を解決し、目標を達成するお手伝いをします」という共感を生むメッセージを伝えることができます。

例えば、ダイエット製品を売る場合、製品自体の特徴を強調するのではなく、顧客自身の健康や理想の体型を目指す旅に焦点を当て、その中での支援者としてブランドを位置づける方法が効果的です。

他のストーリー展開との比較

ヒーローズジャーニーにもストーリー展開があありますので、紹介します。

ストーリー展開内容の特徴
ヒーローズジャーニー試練を乗り越えて英雄へ成長
悲劇の旅破滅や衰退で終わる
アンチヒーローズジャーニー道徳的曖昧さ・ダークヒーロー
没落の旅高い地位から転落する
癒しの旅内面のトラウマを癒し再生
拒否の旅使命や冒険を避け続ける

それぞれのストーリー展開は、異なる目的やターゲット層に応じて使い分けることもできますが、顧客との共感や信頼関係を深めるためには、ヒーローズジャーニーが特に効果的です。

まとめ

コンテンツを生み出していく上で、「ストーリー」は顧客の心を動かす強力な武器です。
その中でもヒーローズジャーニーの型を活用することで、より顧客の共感を呼び、深い関係性を築くことができます。

もしストーリー作りに迷ったら、ぜひヒーローズジャーニーを参考にしてみてください。

また、弊社ではコンテンツマーケティンのサポートも行っています。
ストーリー作成に困ったら、ぜひお気軽にご相談ください。

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