社員と会社を守るために|社内写真・動画をウェブで公開する前の法的チェックリスト
社員の働く姿や社内の雰囲気が伝わる写真・動画は、コーポレートサイトや採用ページにおいて重要なコンテンツです。
一方で、撮影や掲載の方法を誤ると、法的なトラブルや社員との信頼関係の損失にもつながりかねません。
社員の肖像や個人情報をどう扱うかは、企業のコンプライアンス姿勢が問われるテーマでもあります。
この記事では、社員と会社の両方を守るために、撮影・公開の前に押さえておきたい法的なポイントと実践手順を整理します。
写真・動画の公開がもたらすリスクとは
社内の撮影とはいえど、人が映る写真を撮る場合は、法的リスクが存在します。
リスクの種類 | 内容 |
---|---|
肖像権の侵害 | 本人の許可なく写真や動画を公開すると、肖像権の侵害になるおそれがあります。 |
プライバシーの侵害 | デスク上の資料やモニターに個人情報や顧客情報が映り込む可能性があります。 |
著作権の侵害 | 社内の掲示物やポスター、パソコン画面などにある第三者の著作物が写り込む場合は注意が必要です。 |
リスクを回避し信頼を守るためのチェックリスト
社内で撮影が発生した場合は、以下4点を守りましょう。
やるべきこと | ポイント |
---|---|
本人の同意を得る | 撮影と掲載の両方に同意が必要です。口頭ではなくメールや同意書で記録に残すのが安心です。 |
使用目的・媒体を明示する | コーポレートサイトだけでなく、SNSや印刷物にも使う可能性があるなら事前に伝えましょう。 |
写り込みの配慮 | 書類や画面、ホワイトボードなど、情報が写り込む背景は事前に整理しておきます。 |
外部公開することの周知 | 撮影対象以外の社員にも、事前に社内告知しておきましょう。 |

実務での進め方|企業としてどう対応すべきか
1. 社内での同意取得のすすめ方
- 撮影日時と目的を記載したメールを全体へ送信
- 撮影対象者には個別に「掲載の同意」を確認(フォーム回答やメール返信で記録)
2. 同意内容に含めるべき要素
- 使用目的(例:自社サイト、採用パンフレット、SNSなど)
- 使用媒体と公開範囲
- 使用期間(例:2年間など)
- 掲載取り下げの要望があった場合の対応方針

よくある質問(FAQ)
Q1. 従業員に写真撮影とウェブ掲載を会社として強制できないの?
A1. 業務としてお願いすることはできますが、本人の同意なく撮影や公開を強制することはできません。
特に社外への公開は、個人の肖像権やプライバシーに関わるため、事前の合意が不可欠です。
Q2. 全員から書面の同意を取るのは現実的じゃないのですが…
A2. 撮影対象者に限定して、簡易な同意フォームやメール返信で了承を得る方法が一般的です。
また、同意を得た人のみを写す・匿名性の高い撮影(後ろ姿、手元だけ)を工夫することも可能です。
Q3. 社内の風景なら問題ないのでは?
A3. オフィス自体には権利はありませんが、写り込んだ人物や資料には権利が発生します。
公開前に第三者が写っていないか、個人情報が映っていないかの確認は必要です。
まとめ|“公開前チェック”で、社員と会社を守ってみては?
社員の写真や社内の雰囲気を伝えることは、企業の魅力を高める効果的な手段です。
ただし、それを社員にとっても誇れるコンテンツにするには、信頼に足る配慮が必要です。
リスクを知らずに掲載してしまえば、社員との信頼関係や企業ブランドに傷がつくことも。
公開前にひと呼吸置いて、“これは安心して出せるか”という目線でチェックする習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか?