タッチポイント理論とは?私たちの生活と深く関わるマーケティング


こんにちは、企業の商品やサービスを世の中に広めるお仕事をしている井水です。
今日は「タッチポイント理論」について、わかりやすく紹介します。
まずは「タッチポイント理論」の前に、「タッチポイント」について紹介します。
タッチポイントとは、ブランドと私達の接点のこと
タッチポイントとは、消費者(お客さん)が企業の商品やサービス、ブランドに接するあらゆる「接点」のことです。
具体的には次のような場面がタッチポイントになります。
- テレビやYouTubeの広告を見たとき
- SNSで友達がシェアした情報を見たとき
- お店で商品を実際に見たり、手に取ったりしたとき
- インターネットで商品の口コミやレビューを読んだとき
- 企業のウェブサイトを訪れたり、メールを受け取ったりしたとき
これらの接点(タッチポイント)を大切にし、良い印象を持ってもらえるよう工夫することで、お客さんが商品やブランドを好きになったり、買いたくなるきっかけを作ることができます。
タッチポイント理論ってなに?
「タッチポイント理論」とは、商品やサービスと消費者(私たち)が触れ合うすべての場面を大切にして、良い体験を届けることで、その商品が好きになったり、買ってもらえるようになるマーケティングの考え方です。
簡単に言えば、私たちが何かを買おうと思うまでの「きっかけ」を上手に作る方法です。
なぜタッチポイント理論が大事なの?
人が何かを買おうと決めるときは、一度だけではなく、何度も目や耳に触れることで、徐々にその商品やブランドを好きになっていきます。これは心理学の世界でも知られている「単純接触効果(ザイオンス効果)」という仕組みによります。
タッチポイント理論では、さまざまな場面で消費者との良い関係を築いていくことで、ブランドへの信頼や好感度を高めることができます。
タッチポイント理論を使っているのはどんな人たち?
タッチポイント理論を活用しているのは、商品やサービスを世の中に広めたい企業の担当者です。
企業の中でも「マーケティング」という部門にいることが多いです。
例えば、ゲーム会社はテレビCMやYouTubeの広告、SNSや店頭イベントなど、色々な接点で新しいゲームの情報を私たちに届けます。
どこでゲームを知ってもらい、どのように好きになってもらうかを考えることで、多くの人に買ってもらえるようにしています。
タッチポイント理論と私たちの生活の関係
実は私たちの周りには、タッチポイント理論がたくさん使われています。例えば好きなアニメやマンガ、服や文房具などを買うとき、次のような経験はありませんか?
- 友達から聞いて興味を持つ
- YouTubeやSNSでさらに情報を得る
- お店で実際に見たり触ったりして購入を決める
こうしたさまざまな接点を通じて、私たちは無意識のうちに商品を好きになり、買いたい気持ちになっています。
タッチポイントの例
最新映画をみるという行動を細かく振り返ってみると
映画を知る(認知)→映画が気になる(興味)→調べる(検索)→映画をみる(利用)→映画を広める
という行動に分けられ、それぞれにタッチポイントがあることがわかります。
タッチポイントは広告だけでなく、友だちとの話や看板、YouTubeで流れてくる広告などもあります。
① 太郎さんの場合
- 知る(認知):学校で友だちが最新映画の話題を話しているのを聞いて初めて知る。
- 気になる(興味):友だちから「すごく面白そうだよ!」と詳しく教えてもらい、興味を持つ。
- 調べる(検索):家に帰ってYouTubeで映画の予告編を見る。
- 見る(利用):週末に家族と一緒に映画館に見に行く。
- 広める(共有):翌日、学校で友だちに感想を話して勧める。
② 次郎さんの場合
- 知る(認知):テレビのCMを見て映画を知る。
- 気になる(興味):クラスで映画の話題になり、多くの友だちが興味を持っていることを知り、気になる。
- 見る(利用):友だち数人と映画館で一緒に見る。
- 広める(共有):映画を見終わった後、SNSで感想を投稿し、さらに別の友だちにも話題を広げる。
③ 三郎さんの場合
- 知る(認知):友だちがSNSで映画について投稿しているのを見る。
- 気になる(興味):投稿を見て学校で友だちに話を聞き、「面白そうだ」と感じる。
- 調べる(検索):Googleで映画の評価や口コミをチェック。
- 見る(利用):家でオンライン配信サービスを使って視聴する。
- 広める(共有):友だちとLINEで映画の感想をシェアする。
④ 史郎さんの場合
- 知る(認知):街で映画のポスターを見て知る。
- 気になる(興味):翌日学校で友だちが「あの映画ポスター見た?めっちゃ面白そう!」と話しているのを聞いて興味が高まる。
- 調べる(検索):YouTubeで予告編やレビュー動画を検索。
- 見る(利用):休日に友だちと映画館で鑑賞。
- 広める(共有):学校で他の友だちに映画の面白さを教えてあげる。
⑤ 五郎さんの場合
- 知る(認知):クラスの友だちが映画について話しているのを聞く。
- 気になる(興味):休み時間にその友だちから映画の内容を聞き、詳しく知りたくなる。
- 調べる(検索):スマホで公式サイトやInstagramで映画情報を調べる。
- 見る(利用):家族と一緒に映画館に行って視聴。
- 広める(共有):映画の感想を学校で友だちに話し、さらにクラス中で話題になる。
このようにタッチメディアでどのようなものがありえるかをシミュレーションします。
その上で、お客さんはどのように自分たちの映画と接点をもち、どのように見てもらうかを考えます。
タッチポイントをまとめた、カスタマージャーニー
太郎さん、次郎さん、三郎さん、史郎さん、五郎さんの5人の他にも色んなタッチポイントが考えられます。
このタッチポイントをごちゃっとまとめて、フェーズごとにしてみると、お客さんがどのような行動をしているのかがなんとなく想像できます。
フェーズ | ユーザー行動 | タッチメディア |
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知る(認知) | ・学校で友だちが話題にする ・テレビCMを見る ・街中のポスターを見る ・SNSで友だちの投稿を見る | ・テレビ ・ポスター ・学校での会話 ・Instagram、X(旧Twitter) |
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気になる(興味) | ・友だちと映画の話をする ・休み時間に映画の詳しい内容を聞く ・SNSの投稿で興味を持つ | ・学校での会話 ・LINEでのチャット ・Instagram、X(旧Twitter) |
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調べる(検索) | ・YouTubeで予告編を見る ・映画のレビューをGoogleで調べる ・公式サイトやInstagramで情報収集 | ・YouTube ・Google検索 ・映画公式サイト |
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見る(利用) | ・映画館で鑑賞する ・オンライン配信で視聴する | ・映画館 ・NetflixやAmazonプライムなどのオンライン配信 |
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広める(共有) | ・学校で友だちに映画の感想を伝える ・SNSやLINEで感想をシェアする ・クラスで話題にする | ・学校での会話 ・Instagram、X(旧Twitter) ・LINE |
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これらにもとづき、それぞれの接点となるメディアでどのようなメッセージを発信すれのかを考えます。
メディアごとの発信内容を決めます
メディアごとに誰にどのようなことを伝えれば、次に進んでもらえるかを考えます。
メディア | どんな情報発信をすればいい? |
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テレビ(CM) | ・映画のワクワクするシーンや音楽を使い、注目してもらう |
ポスター(街や映画館) | ・目立つ写真や楽しい言葉を使い、「面白そう」と思わせる |
学校(友だちとの会話) | ・思わず人に話したくなるような仕掛けがあると、話題にされやすい。 |
InstagramやX(SNS) | ・シェアしたくなるおもしろい画像や、映画の撮影現場の様子を投稿して、親しみや好感を持たせる |
YouTube(予告動画) | ・映画の見どころを短い動画で伝え、「見たい!」という気持ちを高める |
Google(検索結果) | ・映画の口コミやレビューを分かりやすく表示し、不安や疑問を解消する ・近所の映画館をわかりやすくする |
公式サイト | ・映画のあらすじやキャラクターをわかりやすく紹介し、上映館やチケット情報も伝える |
映画館 | ・楽しく快適に映画を観られる環境を作り、実際に映画を観た体験を良いものにする |
LINEトーク(友だちとの会話) | ・LINEで友だちに送りたくなるような仕掛けがあると、LINEトークで話題にしてもらいやすい。 ・友だち同士で映画をおすすめしたり、感想を気軽に言い合えるよう促す |
まとめ:タッチポイント理論が教えてくれること
タッチポイント理論は、お客さんが商品やサービスに出会い、興味を持ち、購入するまでのプロセスを理解するための大切な考え方です。
企業はそれぞれのメディア(テレビ、SNS、ポスター、学校の会話など)をうまく使って、お客さんに良い印象や興味を持ってもらえるよう工夫しています。



企業のマーケティング担当者がどのようなことをしているかを知っていただければ幸いです。やり方がわからないなど、お困りの際はお気軽にお問い合わせください。