特定電子メール法とは? 企業のメール配信をどう変えたのかを学生にもわかりやすく解説

みなさんは、広告やお知らせのメールを勝手に送りつけられて困ったことはありませんか。
そうした「迷惑メール」を規制するために、日本には「特定電子メール法」という法律があります。

企業が大量に送りつける広告メールを厳しくルール化し、受信者を守ろうとしているのです。

特定電子メール法とは

特定電子メール法は、2002年に日本でできた法律で、主に広告や宣伝を目的としたメールが勝手に送りつけられないようにするためのものです。具体的には、次のようなメールを規制します。

• 無差別に大量送信される広告メール
• 詐欺やフィッシングなど、悪い目的で送られるメール

この法律では、企業がメールを送る前に「送りたいのですが、いいですか」といった形で相手の同意を得る（オプトイン規制）ことなどを定めています。
違反すると罰金や業務停止命令などの処分を受ける可能性があります。

特定電子メール法の主なルール

主なルールは次の3つです。

オプトイン規制
メールを送る前に相手の同意を取らなければいけません。勝手にメールを送ってはいけません。

送信者情報の表示義務
どの会社（人）が送っているのか分かるように、会社名や連絡先をメール内に書くことが必要です。
また、メールアドレスや名前を偽装して送る行為などは禁止されています。

送信拒否（オプトアウト）の通知
「もうこのようなメールを受信したくない」と思ったら受信者はいつでもメールを拒否できるように、メールの中に解除方法を案内する必要があります。

特定電子メール法は企業にとってどんなメリットがある？

では、次に特定電子メール法は企業にとってどんなメリットがあるかを３つ紹介します。

ブランドイメージの保護
迷惑メールを乱発する企業だと思われると、イメージが悪くなります。特定電子メール法を守れば、健全な企業だと安心してもらえます。

顧客満足度の向上
不要なメールが届かないようにすれば、受信者は「この企業は不要なものを送らないから信頼できる」と感じるでしょう。

健全なメールマーケティング
むやみに大量メールを送りつけるよりも、同意を得た人へピンポイントで送るほうが、メールが読まれやすくなり、効果が高いです。

特定電子メール法は企業にとってどんなデメリットがある？

次は、逆に、次に特定電子メール法は企業にとってどんなデメリットがあるかを3つ紹介します。

マーケティング活動の制約
勝手にメールを送れないので、新しく知ってもらうためのきっかけ作りがやや難しくなる場合があります。

管理コストが増える
「誰が送信に同意しているのか」「送信拒否した人は誰か」など、データをしっかり管理しなければなりません。

システムの改修が必要
同意を確認したり、送信拒否をすぐ反映したりできる仕組みを整えるために、システムを変える必要がある場合があります。

特定電子メール法で生まれる問題を、企業はどう乗り越える？

企業からすると、「勝手に送れない」となると広告メールを送りにくくなるのは事実です。
しかし、「同意を得た人だけに送る」という仕組みをしっかり作っている企業は、より効果的な宣伝を行っています。たとえば、次のような方法があります。

オプトインを上手に使う

SNSやホームページ、イベントなどで「メール配信に登録しませんか」と誘導して、同意してくれた人にだけメールを送ります。そのほうが読まれる率が高く、興味を持った人への効果も大きいです。

メール以外のチャネルを活用

SNS投稿やブログ、動画配信など、メール以外の方法でユーザーとつながる機会を増やすのも手段の一つです。

顧客データの活用

一度同意を得た人には、興味のある情報を送るように工夫します。
たとえば、趣味や過去の購買履歴に合う提案をすれば、メールを開いてもらいやすくなります。

まとめ

特定電子メール法とは、勝手に広告メールを送りつけられないようにするための法律です。

企業はメールを送る前に相手の同意を取り、どの会社が送っているかをメールに書き、送られたくない人にはすぐ送らないようにするなどのルールを守る必要があります。