アクセス解析にセグメントを活用した分析事例集~次の一手を探せる分析へ~

「Google Analyticsを開いて眺めてはいるけど、結局『ふーん』で終わってしまう…」
「セグメントが大事だって聞くけど、どう使えばいいのか分からない…」
「レポートの数字が改善に繋がらない…」

ウェブサイトのアクセス解析を担当されている方なら、一度はこんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか?

実は、多くの人が同じ壁にぶつかっています。
その原因は、ツールの使い方を知らないからではなく、データを「どう問いかけ、どう切り分けて、どう次の行動に繋げるか」という分析の経験が不足していることが多いです。

アクセス解析は、サイトの健康状態を知る「健康診断」で終わらせていませんか?
課題を発見し、改善策という「治療方針」を決め、実行に移すための意思決定のツールです。そして、そのカギを握るのがセグメントです。

この記事では、セグメント分析の基本的な流れを確認した上で、具体的な分析事例を紹介します。
皆さんの「分析の引き出し」を増やし、経験不足を補う一助となれば幸いです。

目次

分析の基本フローは、「仮説→セグメント→検証→意思決定」

なぜセグメントが重要なのでしょうか?
ウェブサイト全体の平均的な数値だけを見ていても、具体的な課題や改善の糸口は見えてきません。
特定のユーザーグループに何が起きているのかを深掘りすることで、初めて有効な打ち手が見えてきます。

基本的な分析の流れはシンプルです。

STEP
仮説を立てる

「〇〇なユーザーは、△△という理由で、□□な行動をとっている(または、とっていない)のではないか?」という仮説(問い)を立てます。

STEP
セグメントでデータを切り分ける

仮説を検証するために、アクセス解析ツールで関連するセグメント(ユーザーグループ)を選択し、データを絞り込みます。

STEP
分析・検証する

セグメントされたデータで、仮説に関連する指標(数値や行動フロー)を確認し、仮説が正しそうか(あるいは間違っていそうか)を判断します。

STEP
意思決定・アクション

検証結果に基づき、「何を改善するか」「何を実行するか」を決定し、行動に移します。この「仮説→セグメント→検証→意思決定」のサイクルを回すことが、アクセス解析を単なる数値の報告から、ビジネス成果に繋がる活動へと昇華させるのです。

ウェブ解析でよく使われるセグメント軸

では、具体的にどのようなセグメント(切り口)があるのでしょうか?
ここではウェブサイト分析でよく使われる代表的なセグメント軸整理してみましょう。
これらは、あなたの仮説を検証するための「道具箱」です。

ユーザー属性軸

セグメント軸主な用途・分析視点
新規 / リピーター初訪問か再訪問かの比較、行動パターンの違い分析
デバイスデバイス毎のUI/UX評価、表示最適化の検討
エリア / 地域地域別傾向の把握、エリアターゲティング効果測定
年齢 / 性別 / 興味関心特定デモグラ・興味層の行動特性分析 (※Googleシグナル等)

集客軸

セグメント軸主な用途・分析視点
流入チャネル / 参照元チャネル毎の貢献度評価、集客戦略の最適化
キャンペーン特定広告キャンペーンの効果測定、ROI評価
キーワード(限定的) 流入キーワードからのユーザーニーズ推測

行動軸

セグメント軸主な用途・分析視点
ランディングページサイト入口となるページの評価、改善点の特定
閲覧ページ / コンテンツ人気・不人気コンテンツの把握、導線分析
訪問回数 / 頻度ユーザーのロイヤルティ、関与度のレベル把握
コンバージョン(CV)有無CVユーザーと非CVユーザーの行動差異分析
カート投入有無購入意欲の高いユーザー層の特定、離脱要因分析 (EC)
特定イベントの実行特定アクション(動画視聴、DL等)の効果測定、関与度分析

EC特有軸

セグメント軸主な用途・分析視点
購入者 / 非購入者購入に至る要因、あるいは障壁となっている要因の分析
購入製品カテゴリー / SKU商品軸での売れ筋分析、クロスセル・アップセル検討
(RFM分析)優良顧客セグメントの特定、CRM施策への活用 (※外部連携等)

これらの軸を単独で使ったり、複数組み合わせたりすることで、様々な角度からユーザー行動を分析できます。

セグメントを活用した分析事例集

では、実際にサイト分析でセグメントを切って分析するときの事例を紹介します。
※ウェブサイトは中小企業の製造業を想定しています。

CASE 1:主力製品ページのスマホ離脱率が高い?

着目点
主力製品AのページはPCからの購入は多いが、スマホからのアクセスも多い割に購入が少ない。

仮説
もしかしてスマホだと製品仕様が見づらくて離脱しているのでは?

セグメント: デバイス(モバイル vs PC)× 対象ページ(製品Aページ)

分析データ (製品Aページへのセッション数:5,000)

製品Aページセッション数直帰率仕様確認後のカート追加率ページからのCVR
PC2,00040%10%3.0%
モバイル3,00075%2%0.5%
サイト平均(参考)50%4%1.0%

データの考察
モバイル経由のアクセスが多い(3,000セッション)にも関わらず、直帰率が75%とPC(40%)やサイト平均(50%)と比較して異常に高く、カート追加率(2%)、CVR(0.5%)も極端に低かった。
仮説通り、モバイルユーザーが製品仕様を確認する段階で離脱している可能性が高い。

次の打ち手
製品Aページの仕様表部分のモバイル表示を緊急に改善する(UI/UXの見直し、重要情報の絞り込み、表示形式の変更など)


CASE 2:技術解説ブログからの購入が少ない?

着目点
SEO対策で技術的な解説ブログ記事を増やし、アクセスは増えた。しかし、そこからの製品購入(コンバージョン)に繋がっていない気がする。

仮説
記事内容に満足して離脱している?

セグメント: 流入チャネル(自然検索)× ランディングページの種類(ブログ vs 製品ページ vs その他)

分析データ (自然検索からのセッション数:40,000)

セグメント (自然検索ランディング)セッション数回遊率
(2P以上閲覧)
平均滞在時間セッションCVR
ブログ記事15,00060%00:03:100.1%
製品ページ20,00045%00:01:451.5%
その他ページ5,00030%00:01:000.5%
自然検索平均(参考)40,00048%00:02:050.8%

データの考察
ブログ記事への流入は多い(15,000)うえ、回遊率(60%)や滞在時間(3分10秒)も悪くない。しかし、CVRが0.1%と他のページタイプや平均(0.8%)と比較して異常に低い。コンテンツへの関心は高いが、購入行動に移れていない。

次の打ち手
ブログ記事内に、関連する製品ページへの明確な導線(CTAボタン、内部リンク)を設置・強化する。記事テーマに合った製品のレコメンド表示などを検討する。


CASE 3:特定エリアからのアクセスで直帰率が高い?

着目点
最近、〇〇県からのアクセスが増えたが、なぜか製品ページの直帰率が高い。

仮説
もしかして送料や納期が分かりにくい、あるいは地域特有のニーズと製品が合っていない?

セグメント: エリア(〇〇県 vs その他)× ランディングページ(製品ページ群)

分析データ (製品ページ群へのランディングセッション数:40,000)

セグメント (製品ページLP)セッション数直帰率平均滞在時間セッションCVR
〇〇県4,00080%00:00:450.4%
その他のエリア36,00055%00:01:501.2%
製品ページLP平均(参考)40,00058%00:01:401.1%

データの考察
〇〇県からの製品ページへのアクセス(4,000)に対し、直帰率が80%と他のエリア(55%)や平均(58%)と比べて異常に高く、滞在時間(45秒)も短い。CVR(0.4%)も低い。ページ内容を十分に見る前に離脱しており、送料や納期など、地域特有の懸念事項が原因である可能性が高い。

次の打ち手
〇〇県ユーザー向けに、送料・配送目安を製品ページやカート周辺でより早期に、分かりやすく表示する。あるいは、〇〇県の競合状況(価格、納期など)を調査し、競争力を見直す。


CASE 4:リピーターなのにカート放棄が多い?

着目点
何度もサイトに来てくれているリピーターが、カートに商品を入れたのに購入せずに離脱するケースが目立つ。

仮説
ログインや決済プロセスが面倒なのか?

セグメント: ユーザータイプ(リピーター vs 新規)× EC行動ファネル

分析データ (サイト全体セッション数:100,000)

セグメントセッション数カート追加率チェックアウト開始率 (カート追加者中)購入完了率 (チェックアウト開始者中)セッションCVR
新規ユーザー90,0003.5%70%50%0.88%
リピーター10,0008.0%60%40%1.92%
サイト平均100,0004.0%68%48%1.00%

データの考察
リピーターはカート追加率(8.0%)や最終的なCVR(1.92%)は新規より高い。しかし、カート追加後のチェックアウト開始率(60%)と、開始後の購入完了率(40%)が新規ユーザー(70%, 50%)より低い。これは異常値であり、購入意欲は高いのに、チェックアウトプロセス(ログイン、情報入力、決済など)で何らかの障壁があり、離脱している可能性を示唆する。

次の打ち手
リピーター向けのチェックアウトプロセスを見直す。ログインの簡略化(ソーシャルログイン等)、過去情報の自動入力、決済方法の追加などを検討・実装する。


CASE 5:どのチャネル経由のユーザーが優良顧客になりやすい?

問題提起
様々なチャネルから集客しているが、将来的にリピート購入してくれる「優良顧客」になりやすいのは、どのチャネル経由のユーザーなのか知りたい。

セグメント: 初回訪問時の流入チャネル × その後のリピート購入率

分析データ新規ユーザー数:90,000)

セグメント (初回流入チャネル)新規ユーザー数初回購入CVR6ヶ月以内リピート購入率
自然検索 (一般キーワード)35,0001.0%15%
自然検索 (指名キーワード)5,0005.0%30%
有料検索 (広告)25,0000.8%10%
リファラル (業界専門サイトX)5,0002.0%40%
SNS (広告含む)15,0000.5%5%
その他5,0000.7%8%

データの考察
業界専門サイトXからの流入は、新規ユーザー数は多くない(5,000)が、初回CVR(2.0%)も比較的高く、6ヶ月以内のリピート率が40%と突出して高い(異常値)。このチャネル経由のユーザーはLTVが高い優良顧客になる可能性が高い。一方、有料検索やSNSはリピート率が低い傾向。

次の打ち手
業界専門サイトXとの関係強化(広告出稿、タイアップ記事など)や、同様の質の高いリファラル流入を増やす施策を検討。リピート率の低い有料検索やSNSは、ターゲティングやクリエイティブを見直し、LTV向上を目指す。

あなたのサイトで「問い」を立ててみよう

いかがでしたでしょうか?LOOKBOOKを参考に、「自分のサイトだったらどうだろう?」と少しイメージが湧いてきたかもしれません。

大切なのは、最初から完璧な分析を目指さないことです。

まずは、あなたが日頃感じている「ちょっとした疑問」や「気になること」を仮説として書き出してみてください。
そして、それを検証できそうなセグメントを選び、実際にデータを覗いてみる。
その小さな一歩が、経験値を積み上げ、データに基づいた意思決定への道を開きます。

このセグメントを使った分析例が、皆さんのサイト分析を一歩進め、具体的なアクションに繋げるための「羅針盤」となれば嬉しいです。

プロの視点で、サイト分析を支援します

「セグメントの切り方が分からない」
「仮説をどう立てればいいか迷う」
「分析結果から、具体的な改善策に落とし込むのが難しい」

もし、自社だけで分析を進めることに難しさを感じているなら、私たちにご相談ください。
弊社では、経験豊富なウェブアナリストが、貴社のビジネス目標達成に向けて、アクセスデータに基づいた課題発見から具体的な改善提案までを一貫してサポートする「ウェブサイト分析サービス」を提供しています。

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