製造業ウェブサイトのユーザーテストで顧客視点の改善施策を見つける方法

成果を伸ばしたい中小企業こそ、顧客視点で課題を発見していきましょう。
ウェブサイトからの問い合わせ、思ったほど増えていませんか?
「ホームページは作ったが、思うように問い合わせが増えない…」
「SEO対策はしているつもりなのに、アクセスが伸び悩んでいる…」
多くの中小製造業が、ウェブサイトを営業ツールとして活用したいと考えながらも、なかなか成果が出ずに困っています。
- 高い技術力を載せたはずなのに、何が原因で問い合わせに繋がらないのか分からない
- リニューアル後もコンバージョン率(見積依頼や資料請求など)が改善しない
- ページは多いけど、実際に顧客がどう見ているか把握していない
これらの悩みを解決できる方法のひとつがユーザーテストです。
ユーザーテストとは? 中小製造業でも気軽に実施できる顧客視点テスト
ユーザーテストとは、実際の利用者の目線でウェブサイトを検証し、課題や改善点を発見する重要な手法です。「実際に使う人(ユーザー)」に試してもらい、観察・フィードバックを得ることで、より顧客視点の改善点がわかります。
製造業こそ、このユーザーテストを導入することで「顧客視点」を取り入れ、UI改善やコンバージョン率向上に大きく踏み出せます。
コストパフォーマンスが抜群の改善手段
ユーザーテストというと、メーカーが行う製品テストを想像する方がいるかも知れませんが、ここでいうユーザーテストはホームページの利便性・操作性をテストするモノです。
企業側の担当者だけで見ると盲点が出やすい点が、ユーザーテストを通じて「顧客の本当の声」「UIにおける不便さ」などを収集できるという利点があります。
しかも専門知識がなくてもある程度の遂行ができるため、予算や人材が限られている企業にこそお勧めです。
製造業ウェブサイトにユーザーテストが必要な4つの理由
理由1:顧客視点で課題を発見し、「本当に困っているポイント」が見える
製造業のウェブサイトは、どうしても企業側の見せたい情報が中心になりがち。
しかし顧客は、別の視点や意外な場所でつまずいているかもしれません。
- 例:「専門用語が当たり前のように並ぶ技術紹介ページで、実際は素人が理解できず離脱」
- 例:「問い合わせフォームが最下部に隠れていて気づかれない」
ユーザーテストを行えば、顧客がどこで混乱し、何を理解しづらいと思っているかがリアルに分かります。
たとえば、社内の別部署の人やウェブに詳しくない顧客に見てもらったり、オンライン上のユーザーテストサービスを利用するなど、低コストで客観的な意見を得られます。
【具体事例】
「○○精密」では、社内の営業チームと顧客モニターにトップページから問い合わせフォームまでの操作を観察。
その結果、「技術紹介ページが難しすぎて理解できない」という大きな課題を発見。ページを分かりやすく再構成したところ、資料請求が2倍に増加しました。
理由2:ウェブサイト改善点が明確になり、成果向上につながる
課題が把握できれば、あとは具体的にどう直すかを検討できます。
- 専門用語に補足説明を付ける
- メニュー配置を変え、問い合わせフォームを見やすい位置に
- 古い事例を最新に更新し、納期短縮やコスト削減効果を強調
こうしたUI改善・コンテンツ改善が進めば、コンバージョン率や問い合わせ数の向上が期待できます。
【具体事例】
「△△工業」ではユーザーテストを経て事例紹介ページの導線を明確化(トップから2クリックで到達)。結果、半年後の問い合わせ数が1.8倍にアップし、実際の受注も増えたといいます。
理由3:顧客理解が深まり、マーケティング全体に役立つ
ユーザーテストで得られるのは、単に「ボタンが見づらい」「文字が小さい」などUI改善だけではありません。
- 顧客がどの情報を重要視しているのか(納期、価格、精度、事例など)
- どんなキーワードや内容に反応するのか
これらを把握すれば、営業や製品開発、コンテンツ戦略にも活用できます。BtoB製造業の場合、特にペルソナ設計やカスタマージャーニー(参考:ペルソナとカスタマージャーニー)との連携が有効です。
理由4:UI改善で使いやすさが上がり、コンバージョン率が上昇
UI(User Interface)が洗練されれば、ユーザーが迷わず情報を得られ、ストレスなく問い合わせできるようになります。
- 大きすぎたバナーを小さくし、重要情報を目立たせる
- フォームの項目数を減らす or ステップを減らす
- PCだけでなく、スマホ画面でも操作しやすいデザインを意識
費用対効果
「ユーザーテストなんかに手間かけるより、広告費を使った方が…」と感じた方もいるかも知れません。
たしかに、一人でも多くの人にホームページを見せたい!と認知拡大に課題感を感じている方には向いていないかも知れません。
しかし、広告に予算を割くなら一度ユーザーテストをしていただければと思います。
UI改善は一度行うだけで効果が持続しますし、ホームページにたどり着いた人数からお問い合わせにたどり着く割合も高るられるため、費用対効果が高くなります。
100人行うと予算も時間もかかりますが、最初の5名は問答無用でユーザーテストをしてみましょう。
きっとホームページ担当者が今見えていない課題感が見つかることでしょう。
ユーザーテストは「顧客の声を聞く」貴重な機会
中小製造業では、展示会や直接営業などの機会が限られ、顧客がウェブをどう使うかを把握しづらいケースが多いです。
- ユーザーテストで、本当にほしい情報は何か、困惑ポイントはどこかが分かる
- その結果、ウェブサイト以外の販促資料や営業トークにも改善を活かせる
また、テスト対象者(理想はペルソナに近い業種・役職)を選定するのも重要。ITリテラシーが高い人だけだと見逃す課題もあるため、初心者〜中級者層の意見も得るのがベター。
デバイスについては、PC表示だけでなくスマホ表示もチェックし、Google Analytics等でユーザーの端末比率を見ておくと効果的です。
ユーザーテストの実施方法── 社内・顧客・オンラインツールで手軽に
ユーザーテスト実施方法の一覧と選び方
ユーザーテストを実施する方法は社内・顧客・オンラインツールの3種類があります。それぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
社内テスト | 手軽に実施できる 費用がかからない 社内の意見を収集できる | 客観性に欠ける場合がある 専門的な意見が得られない場合がある |
顧客・外部モニター | 実際の顧客の声を聞ける 客観的な意見が得られる | 協力者を探す必要がある 謝礼が必要な場合がある 詳細な行動観察は難しい |
オンラインツール | 場所や時間を選ばずに実施できる 遠方のユーザーにも参加してもらえる 客観的なデータ(操作ログ、視線追跡など)が得られる | 費用がかかる場合がある ツールの使い方を覚える必要がある ユーザーの環境によっては、テストが実施できない場合がある |
これらのメリット・デメリットにもとづき、自社にあったユーザーテストの方法を検討しましょう。
ユーザーテストの方法が選べたら、以下の手順を元にチャレンジしましょう。
1. 社内テストの手順
以下の手順に沿って社内テストを行います。最短1日で完了するのが魅力です。
- 目的設定: ウェブサイトの何を知りたいか?(例:技術紹介ページは分かりやすいか? 問い合わせフォームは見つけやすいか?)
- 対象者選定: ウェブサイト作成に直接関わっていない社員(3~5名程度)
- タスク設定: ウェブサイトで何をしてほしいか?(例:トップページから〇〇の加工事例を探す、問い合わせフォームから質問を送信する)
- 環境準備: PC、スマートフォンなど、顧客が使うデバイスを用意
- テスト実施:
- リラックスした雰囲気で、普段通りにウェブサイトを使ってもらう。
- 操作や発言を記録(録画、メモ)。
- 「考えていること」を声に出してもらう(思考発話法)。
- 質問や指示はせず、ユーザーが自力で操作できるように。(困難な場合はヒントを)
ユーザーがつまずいた箇所をボトルネットとしてとらえ、ウェブサイトの課題を特定します。
まずは5名くらい行うのがお勧めです。
2. 顧客・外部モニターへのアンケートの手順
- 目的設定: ウェブサイトの何を知りたいか?(例:全体の満足度、情報の分かりやすさ、改善点)
- 対象者選定: 既存顧客、見込み顧客、知人など(5~10名程度)
- 質問項目作成:
- ウェブサイト全体の見やすさ、使いやすさ
- 各コンテンツ(技術紹介、事例紹介など)の分かりやすさ
- 欲しい情報が見つかったか
- ウェブサイトの改善点
- その他、目的に合わせた質問
- アンケート実施: Googleフォームなどのツールでアンケートを作成、対象者に回答を依頼。
定量調査のため、分析結果を数字で出せるのが特徴です。
3. オンラインツールによるリモートテストの手順
- 目的設定: ウェブサイトの何を知りたいか?(例:特定のページへの導線は分かりやすいか? コンテンツの内容は理解しやすいか?)
- 対象者選定: ウェブサイトのターゲット顧客に近い属性のユーザー(5~10名程度)
- タスク設定: ウェブサイトで何をしてほしいか?
- ツール選定: UserTesting.com、UIscopeなど
- 環境準備: PC、スマートフォンなど
- テスト実施: ツールを使い、ユーザーにウェブサイトを使ってもらう。操作や発言を記録。
ツールの分析機能を使い、課題を特定します。
ユーザーテストを行う時に知っておくと便利なこと
- 少人数でもOK: 大規模なテストは不要。数人でも、主要な問題点の8割以上を発見できると言われています。
- 記録が重要: ユーザーの行動や発言を記録(録画、メモなど)し、後で分析できるようにしましょう。
- ペルソナに近い人を対象にする
- 対象者のITリテラシーに注意
- 改善ポイントは重要度と緊急度で順位付けをします。
- デバイスはユーザーがよく使っているデバイスにしましょう。製造業の場合はパソコンユーザーが6割を超えるケースが多いです。(※Googleアナリティクスで確認してみることをお勧めします)
まとめ:ユーザーテストで製造業ウェブサイトを成果アップへ導こう
ウェブサイトを作ったばかりの方も、すでに運用しているが問い合わせ・成果が伸び悩む方も、「ユーザーテスト」を実施することで顧客視点を取り入れ、具体的な改善点を導き出すことができます。

まずは3〜5名程度に、あなたのウェブサイトを実際に見てもらい、感じた疑問や使いづらい部分を率直に聞いてみましょう。意外な改善点が山ほど見つかるはずです。疑問・相談があればぜひお問い合わせください。ユーザーテストを通じて、製造業ウェブサイトを「最強の営業ツール」へ進化させましょう!