製造業ウェブサイト、問い合わせを増やす!購買プロセス別コンテンツ戦略

もう迷わない!BtoB製造業の顧客理解とウェブサイト改善とは?
製造業の顧客は、ウェブサイトを見てすぐに発注しない!?
BtoB製造業で取り扱う製品・サービスは、高額かつ導入リスクが高いため、発注までに複数のステップを踏むことが一般的です。
技術や購買、経営層など、社内の複数の関係者による承認が必要になるケースも多く、慎重に情報収集・比較検討を進めます。
「問い合わせは来るものの、そこから成約までが長く、気づいたら他社に決まっていた…」といったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
しかし、ある条件下では、初見からの問い合わせや検討が一気に進む場合もあります。
ウェブサイトが果たす役割は、こうした「複数段階にわたる購買プロセス」に合わせて、適切な情報を提供し、潜在顧客を最終的な発注・契約へと導くことです。本記事を読めば、以下のポイントが明確になります。
- BtoB製造業の購買プロセスの特徴
- 各段階で関わるペルソナ(担当者、技術者、経営層など)の関心事
- 購買プロセス×ペルソナに合わせたウェブコンテンツ戦略の立案方法
「御社のウェブサイトは、顧客の購買プロセス各段階で最適な情報を提供できていますか?」「顧客が安心して問い合わせできるようになっていますか?」―― ぜひチェックしてみてください。
なぜ長い? BtoB製造業の購買プロセスの特徴
まずは一般的に製造業が発注先の検討から取引開始までが長い理由について探ってみましょう。
特徴1:複数関係者の関与
製造業のBtoB取引においては、技術担当者、購買担当者、品質管理担当者、経営層など、複数の関係者が意思決定に関わります。たとえば、
- 技術者は「特殊技術の有無」「課題解決の実績」などを重視
- 購買担当者は「価格感」「納期」「取引条件」などを重視
- 経営層は「企業の信用度」「投資対効果」「長期的なパートナーシップ」などを重視
それぞれが求める情報が異なるため、ウェブサイトにも多面的なコンテンツが必要です。
全員の合意形成に時間がかかることが、購買プロセスの長期化につながります。
特徴2:情報収集・比較検討の重視
製品・サービスが高額であるほど、顧客は十分に情報収集を行い、複数社を比較検討しようとします。
- ウェブ検索、展示会、業界誌など、様々なチャネルを活用
- 技術紹介や事例紹介、価格や納期情報を細かくチェック
- 競合他社との比較を徹底的に行う
ウェブサイトには、技術資料や事例紹介、FAQ、ダウンロード資料などを用意し、「この会社なら信頼できそう」と思わせる情報を揃えることが求められます。
特徴3:段階的な意思決定
製造業の購買は、一気に最終発注へ進むことは稀です。
- 情報収集
- 資料請求・問い合わせ
- 技術相談・試作依頼
- 見積もり・社内稟議
- 発注
といった複数のステップを経るのが一般的です。
各段階で顧客の疑問や不安を解消し、次のステップへ進んでもらうために、ウェブサイトで提供する情報やCTA(資料請求、問い合わせボタンなど)を整備することが欠かせません。
特徴4:長期的な取引関係
一度取引が始まると、継続的に追加発注やアフターサポートが発生するケースが多いのもBtoB製造業の特徴です。
- 製品・サービスの品質だけでなく、サポート体制や担当者の対応力、企業としての信頼感が重要
- 製品導入後のトラブル対応やメンテナンスなど、「導入・評価」後も長期にわたる取引になる
したがって、企業としての理念や沿革、ISO認証・受賞歴、品質管理体制の紹介など、「長く付き合える会社である」という信頼感をウェブサイトで伝える必要があります。
購買プロセスが短くなるケースとは?~初見で問い合わせも~
原則として、BtoB製造業では、ウェブサイト初見での発注は難しいですが、次の条件がある場合、購買プロセスが短くなり、初見までとはいかずとも、比較的少ない接触回数で発注が実現します。
・緊急性の高い課題:
既存サプライヤーのトラブル、特急納期の案件など、顧客が緊急性の高い課題を抱えている場合。
・ニッチな技術・サービス:
他社にはない独自の技術やサービスを提供しており、競合が非常に少ない、または全くいない場合。
・顧客ニーズとの完全一致:
ウェブサイトの情報が、顧客のニーズと完全に一致し、「この会社しかない」と確信できる場合。
・圧倒的な強み:
価格、納期、品質、技術力、対応力など、いずれかの点で競合他社を圧倒的に上回っており、ウェブサイトでその強みを明確にアピールできている場合。
・比較検討段階での問合せ:
情報収集の初期段階
このような取引を増やしていくことで
初見での問い合わせを増やす5つのポイント
初見での問い合わせを増やす5つのポイント
自社の強みを明確に打ち出す(技術力・対応力・実績など)
BtoB製造業におけるウェブサイトで最も重要なのは、自社が「何が得意か」を一目で分かるように示します。
専門性の高い技術力や短納期対応の実績、豊富な導入事例など、自社の強みを具体的なデータや事例を交えて打ち出し、「この会社なら安心できそう」と思わせることが、初見での問い合わせへつながります。
顧客の課題解決に焦点を当てる(「〇〇でお困りではありませんか?」)
多くの企業は「技術的な課題を解決したい」「生産コストを下げたい」など、何らかの困りごとを抱えてサイトを訪れます。
したがって、自社の優れた技術をただ羅列するのではなく、「御社は〇〇でお悩みではありませんか?」と問いかける形で顧客の課題を明確にし、それをどう解決できるのかを提示することで、興味を引きつけることができます。
信頼性を高める(会社概要・事例紹介・お客様の声など)
初めて訪れるユーザーにとっては、「本当に信頼できる会社かどうか」が重要な判断基準です。
ウェブサイト上に企業の沿革やビジョン、ISO認証や受賞歴などを分かりやすく掲載しましょう。
あわせて、「どのような課題をどのように解決したか」を示す事例紹介や、お客様の声を充実させることで、具体的な信頼感を高めることができます。
問い合わせへのハードルを下げる(「お気軽にお問い合わせください」「無料相談」など)
顧客が行動を起こす際のハードルを極力低くすることも大切です。
まずは問い合わせフォームや無料相談の案内を目立つ場所に配置し、明確かつシンプルな手順で問い合わせが完了するようにしましょう。
「お気軽にお問い合わせください」「無料相談はこちら」など、親しみやすく、行動を促すメッセージを添えるだけでも、初見ユーザーの問い合わせ件数が増加することが期待できます。
SEO対策を徹底する
いくら魅力的なウェブサイトを作っても、顧客の目に触れなければ問い合わせは発生しません。
製品や技術に関連するキーワードの調査、見出しタグ(H1, H2など)やメタディスクリプションの最適化、内部リンク構造の整備など、検索エンジンで上位表示されるための施策を欠かさず実行しましょう。
適切なSEO対策により、情報収集段階のユーザーを効果的に集客できます。
BtoB製造業の典型的な購買プロセス ── 5つの段階
ここでは、典型的な購買プロセスを5つの段階に分け、それぞれで顧客が求める情報と、ウェブサイトで提供すべき内容を整理します。
購買プロセス | 顧客の心理状態・行動 | ウェブサイトの役割 | 提供すべき情報の例 |
---|---|---|---|
課題認識 | 「◯◯の加工で精度が出ない」「短納期に対応してほしい」「新素材を扱える会社を探している」など、自社の課題を認識して解決策を模索し始める | 顧客の課題に気づかせ、共感を呼ぶ。自社の技術・サービスが課題解決に適していることを示唆 | – 技術ブログ(業界のトレンドや解決策のヒント) – 課題解決事例 – お客様の声(「◯◯に困っていた」などの見出し) |
情報収集 | インターネット検索、展示会、業界誌、既存取引先からの紹介などを通じて情報を収集。特にウェブサイトを重要な情報源とし、候補企業の技術力や実績をチェック | 自社の強みを具体的に示し、競合他社との差別化を図る。顧客に「ここなら相談したい」と思わせる | – 製品・サービス紹介ページ – 技術紹介ページ – 事例紹介ページ – FAQ – カタログ・資料ダウンロード – 会社概要 |
比較検討 | 複数の企業・製品・サービスを比較し、「この会社なら課題を解決してくれる」と納得できるかを吟味する。価格・納期・品質・企業の信頼度など総合的に評価 | 自社の強みを具体的にアピールし、競合他社との差を明確にする。疑問点を解消し、信頼感を高める。問い合わせ・資料請求へ誘導 | – 競合比較表 – 技術レポート(詳細データ) – 導入事例・成功事例(数値データ) – FAQ(より詳しい内容) – お客様の声(詳細版) – 価格表・納期例 |
選定 | 営業担当者との面談や技術相談、見積もり依頼、社内稟議などを経て最終的な発注先を決定。経営層や幹部のOKが必要 | ウェブサイトが提供してきた情報を補完し、不安点をクリアにする。意思決定を後押しする | – 詳細見積もりや個別提案書(PDFなど) – 契約条件やサポート体制の案内 – 会社概要(認証・受賞歴) – 経営層向けメッセージ(企業理念やビジョン) |
導入・評価 | 製品やサービスを導入し、実際に使用して評価。トラブルがなく継続発注や追加依頼が発生すれば、長期取引に発展 | 導入後のサポートやフォローアップで顧客満足度を高め、リピート購入や追加依頼につなげる | – サポートマニュアル – FAQ(導入後の運用) – 問い合わせフォーム – 実績レポートや導入後の事例 – 新製品情報・キャンペーン情報 |
購買プロセスとペルソナの関係
上記の購買プロセスでは、段階によって関わるペルソナ(担当者、技術者、経営層など)が異なります。それぞれが重視する情報を提供できるよう、ペルソナを明確に設定することが大切です。
- 技術担当者(例:30代)
- 重視するポイント: 特殊技術の有無、問題解決の実績、技術的なデータ
- 欲しい情報: 詳細な技術資料、スペックシート、精度検証レポート
- キーワード例: 「○○加工 実例」「新素材 3D加工 サンプル」
- 購買担当者(例:40代)
- 重視するポイント: 価格、納期、実績、取引条件、会社の信頼度
- 欲しい情報: 事例紹介、価格表、FAQ、ダウンロード資料(カタログなど)
- キーワード例: 「○○加工 価格」「納期 短縮 製造業」
- 経営層・社長(例:50代)
- 重視するポイント: 導入リスク、コスト試算、企業の将来性、認証・受賞歴、サポート体制
- 欲しい情報: 企業理念・代表メッセージ、認証・受賞歴、導入事例(ROIや経営課題の解決が分かるもの)
- キーワード例: (部下からURLを渡されるケースが多く、検索自体は少なめ)
たとえば、同じ会社の中でも技術担当と経営層では見たい情報が大きく異なります。ウェブサイトを設計する際には、「どの段階で、どのペルソナがサイトを訪れ、何を知りたいと思うか」を明確に想定し、それぞれに合わせたコンテンツ・導線を用意しましょう。
まとめ:顧客の購買プロセスを理解し、ウェブ戦略を最適化しよう!
BtoB製造業の購買プロセスでは、1人の担当者だけで決まることは少なく、複数のペルソナが登場します。
しかも、そのプロセスは長期にわたることが一般的です。
- 各段階(課題認識~導入・評価)で、誰が何を知りたいかを把握する
- ペルソナに合わせて必要な情報を提供できるコンテンツを用意する
- 次のステップへの行動を促すCTAを設置し、段階的に不安を解消する
これらを意識するだけで、ウェブサイトからの問い合わせ件数や受注率は大きく変わります。
御社のウェブサイトが、すべてのペルソナにとって魅力的な情報源となれば、商談の質も高まり、最終的な受注にもつながりやすくなるでしょう。
まずは自社の購買プロセスを可視化してみませんか?
- 自社の顧客がどのようなフローで発注を決めているのか、ホワイトボードなどを使ってチームで整理してみましょう。
- そして、各段階における顧客の不安や疑問を洗い出し、ウェブサイトで提供すべきコンテンツをリストアップしてみてください。
それだけでも、「どの情報が足りていないのか」「問い合わせを後押しする仕掛けが不足しているか」が明確になるはずです。

さらに詳しく知りたい方へ:
BtoB製造業のウェブマーケティングやペルソナ設計について、より具体的なアドバイスをお求めの方は、お気軽にご相談ください。専門家と一緒に取り組むことで、余計な遠回りをせずに成果へ近づける可能性が高まります。