顧客に「今買うべき理由」を伝えるためのマーケティング理論5選

自社の商品・サービスをお客様に「なぜ今買うべきか?」を伝えるのは難しいものです。
そこでこの記事では、国内外の著名なマーケターやコピーライターが提唱した理論や手法をわかりやすく紹介します。具体的な方法論や適した業種・サービスも解説しますので、自社に最適なものを見つけましょう。
1. アレックス・オスターワルダーのバリュープロポジションキャンバス
バリュープロポジションとは
バリュープロポジションとは、つまり、「なぜ顧客は、競合ではなく、あなたから商品やサービスを買うべきなのか?」の答えにあたる部分です。
バリュープロポジションは、単なる機能紹介ではありません。顧客が真に求めている価値、つまりベネフィットを明確に示すことが重要です。
(例)
- 顧客の課題を解決する (例: 時間を節約できる、コストを削減できる)
- 顧客の願望を満たす (例: ステータスを得られる、美しくなれる)
- 競合にはない独自の強み (例: 特許技術、圧倒的な品質、優れた顧客体験)
顧客プロファイルでターゲット顧客を深く理解し、価値マップで顧客が重視する価値を把握することで、顧客の心に響くバリュープロポジションを作成することを提唱しています。
ひとたび強力なバリュープロポジションができれば、顧客を惹きつけ、競合との差別化を図り、持続的なビジネス成長につながります。
提唱者 | アレックス・オスターワルダー(Alex Osterwalder) |
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特徴 | 顧客の課題と利益を整理し、提供価値を明確化 |
構成要素 | 顧客プロファイル(Jobs, Pains, Gains)、価値マップ(Products, Pain Relievers, Gain Creators) |
著書 | 『バリュープロポジション・デザイン』 |
特記事項 | あらゆる業種、特に新商品開発やサービス設計に適している |
2. サイモン・シネックのゴールデンサークル理論
ゴールデンサークル理論とは
ゴールデンサークル理論は、Why(なぜ)→ How(どうやって)→ What(なにを) の順で伝えるフレームワークです。
最も大事な「Why」は理念や目的を表し、感情に訴えかけ共感を呼ぶため、人を動かす力となります。
多くの企業は「What」から伝えがちですが、「Why」から伝えることで、顧客や従業員の心を掴み、強力なリーダーシップや効果的なマーケティングに繋がります。
理念を核とした共感マーケティングに不可欠な理論です。
提唱者 | サイモン・シネック(Simon Sinek) |
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特徴 | 「なぜ(WHY)」を中心に顧客の共感を生み出す |
構成要素 | WHY(理念)、HOW(方法)、WHAT(製品・サービス) |
著書 | 『WHYから始めよ!』 |
特記事項 | ブランド構築、理念を重視する企業向け |
3. ダン・ケネディの3Mの法則
3Mの法則とは
マーケティング成功の鍵を、市場(Market)、メッセージ(Message)、媒体(Media)の3要素に整理した理論。
3つのMのバランスが取れていることが、マーケティング成功の鍵となります。
特に中小企業や個人事業主など、限られた資源でマーケティングを行う場合、3Mを意識することで効率的かつ効果的なマーケティングが可能になります。
提唱者 | ダン・ケネディ(Dan Kennedy) |
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特徴 | 具体的なマーケティング戦術の構築に役立つフレームワーク |
構成要素 | Market(市場・顧客)、Message(メッセージ内容)、Media(伝達手段) |
著書 | 『究極のマーケティングプラン』 |
特記事項 | ダイレクトマーケティング、通販、広告制作向け |
4. フィリップ・コトラーのマーケティング4.0
マーケティング4.0とは
フィリップ・コトラーのマーケティング4.0は、デジタル時代におけるマーケティングの進化を捉えた概念です。従来のマーケティングから大きく変化し、顧客との繋がりや共感を重視する考え方へとシフトしています。
マーケティング4.0において、価値提案は、単に製品やサービスの機能的な利点を伝えるだけでなく、より人間中心的で、感情的な繋がりを重視したものとして再定義されています。従来の機能的な価値訴求に加え、人間中心の視点、デジタル時代の顧客行動、水平方向の繋がり、オムニチャネル体験といった要素を考慮する必要があります。
企業は、顧客の感情、共感、体験を重視し、顧客との長期的な関係構築を目指した価値提案を設計することで、デジタル時代においても競争優位性を確立し、持続的な成長を実現することができます。
提唱者 | フィリップ・コトラー(Philip Kotler) |
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特徴 | SNS時代における共感型マーケティングの提唱 |
構成要素 | 認知・検討・購入・推奨のプロセス |
著書 | 『マーケティング4.0』 |
特記事項 | ソーシャルメディアを活用したブランド形成に適している |
5. 神田昌典のPASONAの法則
PASONAの法則とは
神田氏が提唱した、顧客の購買心理に基づいたフレームワークです。
PASONAは以下の頭文字から構成されます。
- Problem(問題): 顧客の抱える問題を提起し、共感を呼び起こします。
- Agitation(煽り): 問題を放置することの不安や不利益を煽り、緊急性を高めます。
- Solution(解決策): 顧客の問題に対する解決策、つまり商品・サービスを提示します。ここで価値提案が重要になります。
- Offer(オファー): 解決策を魅力的に提示するため、特典や限定性のあるオファーを加えます。価値をさらに強調します。
- Narrow down(絞り込み): 対象者を絞り込み、より響くメッセージにします。
- Action(行動): 具体的な行動を促し、購入へと導きます。
S(解決策)で商品・サービスの価値を提示して、O(オファー)でその価値をさらに魅力的に見せる後押しをします。
提唱者 | 神田昌典 |
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特徴 | 顧客の心理を刺激し、購買意欲を高めるコピーライティング手法 |
構成要素 | Problem(問題)→Agitation(煽り)→Solution(解決策)→Narrow down(限定)→Action(行動促進) |
著書 | 『禁断のセールスコピーライティング』 |
特記事項 | LPや広告制作に効果的 |
まとめ
ここまでご紹介した5の理論・手法を活用することで、「今この商品・サービスを買うべき理由」を明確に伝えることができます。
自社の目的や業種に最も適した理論を選び、マーケティング施策に組み込んでください。各理論を適切に活用し、顧客の共感や購買意欲を高め、競合との差別化を図りましょう。

お困りの際はぜひ一度ご相談ください。専門家と一緒に作業すれば、余計な遠回りをせずに成果へ近づけるはずです。