歯山 太郎(理事長)
最近、新しく駅前に大きい歯科医院ができてさ…。広告も派手だし、うちとの差別化をどう図ればいいか悩んでるんだよ。
歯谷 歯奈子(院長)
そういう時こそ歯科医院 競合分析をしっかり行うべきですよ。自院と競合他院のサービス内容やマーケティング戦略を調べて、自院の立ち位置を再確認しないと、集患戦略が的外れになりがちです。
井水 朋子(コンサル)
たしかに、クリニックの強み・弱みを客観的に見るには、競合と比較するのが一番分かりやすいですね。
さらに7P分析を使って差別化を明確にできますよ
- 競合分析がなぜ重要か → 集患や経営で成功するための必須ステップ
- 競合の選び方(オンライン・オフライン視点)
- 7P分析というマーケティングフレームワークを歯科医院に当てはめ → 自院の差別化戦略を導く具体的方法
まずは競合をどう選ぶか、そして7P分析の各要素を深掘りしながら実践したいな。
他院と差別化する上で、競合分析が重要な理由
競合医院の動向を知る
価格設定、診療メニュー、広告戦略など → 自院がどう対抗・差別化できるかイメージしやすい
自院の強み・弱みを客観視
「他院には専門医がいないのにウチには口腔外科医が2人」「価格はやや高い」など具体的に認識
患者目線でのポジショニング
患者さんが「駅前のA医院に行くか、少し遠いがB医院に行くか…」と比べる時、何が決め手になるかを把握
歯科医院の競合分析は、単にライバルをリサーチするだけじゃなく、自院のポジショニングを明確化する作業でもあるんです。
競合歯科医院の選定方法
どの歯科医院を競合に選定するかは大事な問題です。
同じ商圏にあり、患者様から比較される歯科医院を選びます。
オンライン視点で探す
- Web検索上位:ターゲットキーワード(例:駅名+歯科、矯正 歯科+地域名)で常に上位表示される医院
- MEO(ローカルSEO):Googleマップのトップ表示される医院
- SNSやWeb広告を積極的に使って集患している医院
オフライン視点で探す
- 地域イベントやチラシでよく見かける、評判の医院
- 口コミで「○○歯科が良かった」と話題になる医院
- 近隣・診療科目が似通う:たとえばインプラントや矯正に力を入れる医院
私たちもオンライン集患と地域密着両方やってるから、どちらもも競合になるのね。
ターゲット層とか診療メニューが重複してるかも判断材料になるね。
例えば小児歯科を強化してる医院なら、同じファミリー層狙いの医院が競合になってくるかな。
歯科医院の差別化を明確にする!7P分析とは?
「マーケティングといえば4P」という方もいますが、歯科医院はモノ売りではなく医療サービスなので、あまり当てはまりません。
そこで、歯科医院は7Pを軸に競合分析していくことがお勧めです。
7Pとは?
- 製品・サービス(Product)
- 価格(Price)
- プロモーション(Promotion)
- 立地(Place)
- プロセス(Process)
- 物的証拠(Physical Evidence)
- 人(People)
これなら網羅的に競合との比較ができそうですね。
要素 | 競合A | 競合B | 自院 |
---|---|---|---|
製品・サービス Product | |||
価格 Price | |||
プロモーション Promotion | |||
立地 Place | |||
プロセス Process | |||
物的証拠 Physical Evidence | |||
人 People |
歯科医院の7P分析を詳細解説
1) Product(製品/サービス)=カウンセリングから治療まで
- 診療メニュー、使用機器、専門性、特徴
- 具体的分析ポイント
- 競合医院の診療科目(矯正、小児、口腔外科、予防歯科など)
- 自費診療(インプラント、ホワイトニング)の強み・弱み
- 使用機器(CTスキャンの有無、レーザー治療の導入状況)
- 事例:
- 競合Aは「レーザー治療あり」、競合Bは「小児専門医在籍」、自院は「口腔外科2名」→ “短時間抜歯が得意”と差別化
2) Price(価格)=初診、治療費用、自費診療の費用など
- 治療費、割引、保険・自費比率
- 分析ポイント
- ホワイトニング1回○円、インプラント○円など自費メニューの価格帯比較
- 割引・キャンペーン(初回検診無料、矯正○%オフなど)
- 事例:
- 競合Aは“価格安め”で集患→ 自院は高めでも保証やアフターケア充実など“付加価値”打ち出し
3) Promotion(プロモーション)=広告やウェブでどのような接点があるか
- 広告媒体、Webサイト、SNS、地域イベント
- 分析ポイント
- SEO対策、MEO、SNS広告、チラシの配布範囲
- キャンペーンの頻度・内容
- 事例:
- 競合Bがリスティング広告で駅名+歯科のキーワードを独占→ 自院は地元商店街コラボイベントでPR、SNSで症例を発信
4) Place(場所)=どんな商圏か、実際に通うとしたらどのように通うのか
- 立地、アクセス、駐車場、院内導線
- 分析ポイント
- 駅からの徒歩分数、周辺商業施設や企業の有無、駐車スペース
- 院内の動線(患者さんが移動しやすいか)
- 事例:
- 競合Cは駅徒歩1分だが駐車場なし→ 自院は駅徒歩5分だけど駐車場完備→ ファミリーや車通勤者向けにアピール
5) Process(プロセス)=予約から治療完了まですべてのプロセス
- 受付対応、予約システム、診療フロー、アフターフォロー
- 分析ポイント
- ネット予約の有無、受付の待ち時間、会計スピード、再診案内の仕組み
- 事例:
- 競合Aはネット予約対応&LINEフォロー→ 患者満足度高い。自院は電話予約のみ→ 改善余地大
6) Physical Evidence(物的証拠)=ブランドイメージを信じるための根拠
- 院内の雰囲気、清潔感、設備、スタッフの制服、パンフレット
- 分析ポイント
- 待合室や診療室の清潔感、レイアウト、ブランドカラーなど
- 事例:
- 競合Bはおしゃれな内装、ユニフォームも統一感→ 自院はやや古め。改装検討で“清潔&落ち着き”をコンセプトに
7) People(人)=医院ブランドにかかわるすべての人
- 医師・スタッフの専門性、スキル、接遇、口コミ評価
- 分析ポイント
- 有名学会認定医、スタッフの多言語対応や資格の有無、顧客レビューでの評価
- 事例:
- 競合Cは若い医師が多く実績少なめ→ 自院は院長が20年以上の経験。PR次第で競争優位に
なるほど…。たとえば専門医の数やスタッフの資格、ネット予約の有無まで、全部7つの項目で見て比較するわけね。
患者さんにとって「自院を選ぶべき理由」がどこかを明確にするわけだね。
情報収集と成功事例 ~どうデータを集め、差別化戦略を立てるか
1) 情報収集方法
- Webリサーチ
- 競合HP、SNS、口コミサイト、Googleマップレビュー
- 現地訪問・覆面来院
- 実際の受付対応、院内設備確認
- 患者アンケート
- 「他の歯科と比べて当院の良い点・弱い点は?」など比較要素を引き出す
2) 具体的な競合分析表(イメージ)
要素 | 競合A(駅前チェーン) | 競合B(専門クリニック) | 自院(歯山医院) |
---|---|---|---|
製品・サービス(Product) | 一般歯科、小児歯科、審美歯科、口腔外科と幅広い。 保険診療が多め。自費診療は少ない。 | 矯正&審美特化。最新機器あり | 一般歯科、口腔外科、審美歯科、小児歯科 |
価格(Price) | 比較的安め。矯正ローン充実 | 高額(矯正50万~)保証あり | 自費診療が多くなる予定 |
プロモーション(Promotion) | リスティング広告、TV CMも実施 | SNS投稿頻繁、Webキャンペーン多い | 未定(これからOPEN) |
立地(Place) | 駅徒歩1分。駐車場なし | 駅徒歩3分。商業施設内、提携Pあり | 駅徒歩5分。駐車場5台 |
プロセス(Process) | 電話予約、待ち時間は長い | 完全予約制、ほぼ待ち0分 | ネット予約を検討中 |
物的証拠(Physical Evidence) | 診療チェアが多いが顕微鏡設備などは置いていない。 内装モダン、ユニフォーム統一 | おしゃれな院内、空気清浄設備、待合室がおしゃれ。 矯正や審美系の設備が充実。 | 検査設備、顕微鏡、説明に使用するモニター、カウンセリングルームなどに力を入れている。 |
人(People) | 若手医師多め、スタッフ接遇はふつう | 専門医在籍、スタッフ満足度高そう | 専門医・認定医が多く、歯科衛生士も優秀な人を確保できた |
こうやって比較すると、自院のカラーがわかるね。
うちは今まで自費診療でも機能性を患者さんに伝えて納得のいくカウンセリングをやってきたけど、それをそのまま生かせばよさそうだね。
3) 成功事例:7P分析で専門性をアピール→ 集患UP
- 背景:地方駅前にチェーン系歯科が進出→ 患者流出を危惧
- 7P分析→ 自院は「インプラント専門医2名、人件費高め、広告弱い」等を把握
- 施策:
- Price… やや高いが5年保証をPR
- Promotion… Webサイトをリニューアル、SNSでインプラント症例公開
- People… スタッフのカウンセリング力を強化
- 結果:
- 半年でインプラント患者が1.5倍に増加
- 地域で“専門性の高い医院”としてブランディング成功
歯科医院の7P分析!各要素を徹底活用して差別化戦略を確立
競合分析結果をどう活用する?
- 強みを伸ばす策
- “専門医がいる” → 症例実績をWebやSNSで発信、口コミ誘発
- “価格競合力ある” → 広告での割引キャンペーン実施
- 弱みを改善する策
- “ネット予約なし” → 予約システム導入
- “設備が古い” → 改装や機器更新を検討
- 差別化の訴求
- “土日診療OK&口腔外科専門”でビジネスパーソン・難症例に対応
- “ファミリー向け小児歯科”と“駐車場完備”をセットでアピール
最近の歯科業界は動きが早く、競合が新しい対策をしてきたり、新たに競合が参入してきたりするケースもあります。定期的にチェックしながら、自社の強みを磨き続けたいものですね。
まとめ:歯科医院の7P分析で“差別化戦略”を明確にし、競合に勝つ
本記事の要点
- 競合分析の重要性
- 自院の立ち位置、差別化ポイントを見出すための必須ステップ
- 競合の選び方(オンライン・オフライン)
- Web上で上位表示医院、SNS活発、地域イベントでよく見かける医院など
- 7P分析で歯科医院のサービスを総合評価
- Product / Price / Promotion / Place / Process / Physical Evidence / People
- 各要素の具体的分析ポイント・事例を深掘り
- 分析結果の活用法
- 強みを伸ばす or 弱みを改善→ 差別化戦略へ
- 実例:専門医アピールや価格割引、プロモーション改善で集患UP
よし、まず競合医院をリストアップして7Pで比較しよう!
それだけで差別化の方向がハッキリしそうだね。
開院までやることいっぱいだけど、確かにこれで勝てる対策を見極めやすいですね。
自院の強みを最大限活かして、集患成功を目指しましょう!
競合分析する方のための「次の一手」
- 競合リスト作成
- オンライン:検索上位、SNS広告、MEO上位
- オフライン:地域イベント常連、チラシ・口コミで評判
- 7P分析用の情報収集
- HP/SNS(料金、診療メニュー、スタッフ情報)
- 覆面来院、口コミサイト、患者アンケート
- 7P比較表の作成
- 競合A/B/C vs. 自院 → それぞれの強み・弱みを整理
- 差別化戦略の策定・実行
- 強みを強化、弱みを補う → PDCAで継続改善
関連リンク
・歯科医院の現状分析はこちら
・自院の強み・弱みを把握!歯科医院のSWOT分析はこちら
・患者ニーズ&競合を知る!歯科医院の3C分析はこちら
・歯科医院のユーザーインタビューで本音を深掘り
・歯科医院の患者アンケートで定量データを収集