BtoBウェブマーケティングの新常識:非常識な目標設定を決め、逆算する

BtoBウェブマーケティングの世界では、「前年比110%」や「業界平均を少し上回る」程度の目標設定が一般的です。
しかし、本当の変革を起こすためには、このような「常識的」な目標設定ではなく、あえて「非常識」と思えるほどの高い目標を設定し、そこから逆算して行動することが必要です。

本記事では、私がコンサルタントとしてクライアント企業のマーケティングに変革をもたらすために提案している「非常識と思える目標から逆算する」という考え方と、マーケティング責任者と運用担当者それぞれが取るべき具体的なアクションについて解説します。
「非常識な目標設定」が変革には不可欠な理由
「非常識」という言葉にネガティブな印象を持つかもしれませんが、ここでの「非常識」とは単なる無謀さではなく、「常識の枠を超えた、挑戦的かつ戦略的な目標設定」を意味します。
多くの企業が陥りがちな思考パターンは以下の通りです。
- 横並び思考: 「業界平均より少し良ければOK」という発想
- 前例主義: 「去年よりちょっと良ければOK」という発想
- リスク回避: 「失敗しない範囲で」という発想
これらの思考パターンは無難で受け入れられやすいものの、長期的な視点でみると市場での差別化を困難にしてしまい、企業の成長に限界を作りかねません。
そこで、真の変革を起こすためには、あえて「非常識」と思えるような高い目標を設定することが重要になります。
次に、この「非常識な目標設定」において、マーケティング責任者が担うべき役割について見ていきましょう。
マーケティング責任者の役割:変革を起こす目標設定
3年後のマーケット変化を見据えた先進的な戦略立案
- テクノロジーや社会のトレンドから、自社のターゲット顧客の3年後の課題を予測する
- 「将来の顧客が求めるであろう価値」を先取りしたコンテンツ戦略を立案する
- 市場の変化に適応できる柔軟なインフラとチーム体制を整える
将来予測は必ずしも的中するわけではありません。
それでも「変化する可能性が高い要素」と「変化しにくい本質的な要素」を区別し、後者にリソースを集中させることで、持続可能な競争優位性を構築できます。
業界平均を大きく上回るKGI目標の設定(2倍~10倍)
過去の実績や業界標準から大きく飛躍した目標を設定することで、チームの思考の枠組みを変え、革新的なアプローチを引き出すことができます。
- 年間リード獲得数:業界平均の3倍
- 顧客生涯価値(LTV):現状の2倍
- 見込み客獲得コスト(CAC):現状の半分
重要なのは、単に高い数字を掲げるだけでなく、その目標がなぜ重要か、達成できた場合にどのような未来が待っているのかを明確にすることです。
KGIからKPIへのブレイクダウン(KPIツリーの構築)
高い目標を達成するには、それを測定可能な指標に分解する必要があります。
以下はKPIツリーの具体例です。
KGI:年間売上3倍(3億円→9億円) | ||
---|---|---|
レベル1 KPI | レベル2 KPI | 具体的な数値目標 |
新規顧客獲得数増加 | ウェブサイト訪問者数 | 月間10,000→50,000 |
訪問者→リード転換率 | 2%→5% | |
リード→商談転換率 | 5%→15% | |
商談→成約率 | 20%→35% | |
既存顧客LTV向上 | 平均契約期間 | 1年→3年 |
クロスセル率 | 15%→40% | |
解約率 | 15%→5% | |
平均単価向上 | 上位プラン選択率 | 20%→50% |
オプション追加率 | 30%→60% |
このようにKPIツリーを構築することで、どの指標を改善すればKGIの達成に最も寄与するかが明確になります。
競合が取り組んでいないマーケティング手法への挑戦
以下の表は、マーケティング手法の選定に関する考え方を整理したものです。
アプローチ | メリット | デメリット | 適した場面 |
---|---|---|---|
同業他社の成功事例を模倣 | 実績があり成功確率が高い | 差別化が難しく、後追いになる | 基盤構築段階 リソース限定時 |
異業種の成功事例を応用 | 新鮮で差別化しやすい | 応用に工夫が必要 | 成長段階 差別化を図りたい時 |
誰も試していない新手法 | 成功すれば大きな差別化に | 失敗リスクが高い | 先行者利益を狙いたい時 実験的予算がある時 |
単に「誰もやっていないから」という理由だけで新手法に飛びつくのではなく、「なぜ競合がやっていないのか」を深堀りすることで、見えてくるものがあります。
マーケティング運用者の役割:変革をカタチにしていく
目標達成のためのアクションプラン
- 設定されたKPIに対して、具体的な指標と数値目標を明確にする
- 責任者とのすり合わせを行い、現実的かつ挑戦的な目標設定を確認する
- 各KPIを達成するための具体的なタスクと期限を設定する
実行
- 計画したアクションを迅速かつ確実に実行に移す
- 小規模な実験を素早く繰り返し、成功した手法を拡大する
- チーム内での役割分担と責任の明確化により、実行の質を高める
分析と改善提案
- データに基づく冷静な分析を行い、成功要因と失敗要因を特定する
- 想定通りの結果が出なかった場合でも、「失敗」ではなく「学び」として捉える
- 分析結果をもとに、次のアクションプランの改善提案を行う
チームとして”非常識”な目標達成をするために
必達目標と挑戦目標
非常識な高い目標を設定する際は、「必達目標」と「挑戦目標」を明確に区別しましょう。
- 必達目標:前年比150%
- 挑戦目標:前年比300%
この区別により、チームは安心して挑戦しながらも、最低限の成果は確保できます。
定期的な振り返りと柔軟な軌道修正
- 月次・四半期ごとの進捗確認を徹底する
- 想定と現実のギャップを早期に発見し、方針の微調整を行う
- 環境変化に応じて、KPIやアクションプランを柔軟に見直す
まとめ:非常識な目標から始める逆算思考が変革をもたらす
「非常識と思える目標から逆算する」という考え方は、単なる目標設定テクニックではなく、組織の思考様式そのものを変革する力を持っています。
マーケティング責任者には、「常識の壁」を取り払い、真に挑戦的な目標を設定する勇気が求められます。
一方、マーケティング運用者には、その高い目標を現実のアクションに落とし込み、創造的なソリューションを生み出す実行力が不可欠です。
両者が密に連携して、「どうすればできるか」を考え続けることが重要です。
この記事がどこかの企業のマーケティング活動に変革をもたらし、次のステージへの飛躍のきっかけとなれば幸いです。



この記事は、ウェブコンサルタントの井水朋子による連載「BtoBウェブマーケティングの新常識」の一部です。
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