広告はブランドイメージへの貢献
一回の販促ではなく、時間をかけて築く信頼の積み重ね
目の前の売上を上げたい焦りから、「今すぐ購入」「期間限定」「特別割引」といった短期的な販促メッセージに頼りがちです。
しかし、真に価値あるブランドは、一瞬の衝動的な購入ではなく、長い時間をかけて構築された信頼と期待から生まれるものです。
“Every advertisement should be thought of as a contribution to the complex symbol which is the brand image.”（すべての広告は、ブランドイメージという複雑なシンボルへの貢献として考えるべきだ。） – David Ogilvy（広告の父・オグルヴィ&メイザー創業者）
「広告の父」と呼ばれるオグルヴィは、広告の短期的な販売促進効果よりも長期的なブランド構築の重要性を説きました。
彼のRolls-Royceの広告は「時速60マイルでの最大の音は電気時計のティックという音だけ」というヘッドラインは広告界隈では非常に有名です。
オグルヴィのブランド重視のアプローチは、一貫したトーンとボイスを通じて長期的なブランド構築を行う手法として今も多くの広告代理店に影響を与えています。
中小企業こそ「一貫性」あるブランドイメージが力になる
大企業のような大規模マーケティング予算がなくても、中小企業は一貫したブランドイメージ構築によって強みを発揮できます。
むしろ、中小企業だからこそ、経営者の価値観やビジョンを直接的に広告やコミュニケーションに反映させやすいという利点があります。
オグルヴィの教えを実践するためには、以下の3つのポイントを意識します。
- 広告はブランドの「約束」である：どんな小さな広告や投稿も、あなたのブランドが何を提供し、どんな価値観を持っているかを示す「約束」です。その約束が実際の顧客体験と一致しているか常に確認しましょう。
- 一貫したトーンとボイスを維持する：フレンドリーでカジュアルなのか、洗練されて上品なのか、情熱的で挑戦的なのか—あなたのブランドにふさわしい「話し方」を決め、あらゆるコミュニケーションで一貫させましょう。
- 長期的な視点でメッセージを設計する：「今日だけの特別割引」ではなく「なぜあなたの製品やサービスが存在するのか」というストーリーを伝えることで、一時的ではない持続的な関心を集めましょう。
「積み木」のように積み上げるブランドイメージ
オグルヴィが「複雑なシンボル」と表現するように、ブランドイメージは単一の広告やキャンペーンではなく、顧客との多様な接点を通じて少しずつ構築されていきます。それはまるで積み木のように、一つひとつの広告やコミュニケーションが積み重なって初めて全体像が見えてくるものです。
だからこそ、SNSの投稿一つ、メールマガジン一通、小さなチラシ一枚に至るまで、「これは私たちのブランドにふさわしいか」「長期的なブランドイメージに貢献するか」という視点で吟味することが重要です。
集客においても、短期的な販促よりもブランドの一貫性と信頼性を高める戦略が効果的です。例えば、一時的な割引よりも「なぜそれをするのか」というストーリーを語ることで、価格だけでは動かない熱心なファンを獲得できます。
今日から、あなたの広告やコミュニケーションを「ブランドイメージという複雑なシンボルへの貢献」として見直してみてはいかがでしょうか。