ファネル分析とは?初心者でもわかる基本概念と数値で見る改善ポイントの考え方

「ファネル分析」という言葉を聞いたことがあっても、「具体的に何をするの?」「なぜ必要なの?」と感じている方も多いかもしれません。
この記事では、ファネルの基本的な考え方と、どんな場面で使えるのか、どこに注目して分析・改善すればよいのかを、初心者の方にもわかりやすく解説します。
ファネルとは?ユーザーの行動を段階的に捉える考え方
ファネルとは、「漏斗(ろうと)」のように、ユーザーが興味・関心を持ち、徐々に行動を進めていく流れを段階で表す考え方です。
例えば、100人がサイトを訪れても、次のページに進むのは60人、さらにその先でアクションを起こすのは10人といったように、ユーザーは段階ごとに減っていきます。この流れがまさに「ファネル」です。

ウェブサイトやマーケティングの役割は、このファネルの中で、1人でも多くのユーザーを「次のステップ」に進ませることです。
ファネル分析の例
ファネル分析は、顧客やユーザーの行動プロセスを段階的に可視化し、各ステップでの離脱率を明確に把握できる点が優れています。これにより、目標達成までのボトルネックや改善すべきポイントを特定しやすく、具体的なアクションにつなげやすいのが特徴です。
- ECサイトの購入ファネル:訪問 → 商品閲覧 → カート追加 → 決済 → 購入完了
- オウンドメディアのリード獲得ファネル:記事閲覧 → CTAクリック → フォーム入力 → 資料ダウンロード
- 採用サイトの応募ファネル:トップページ → 募集要項閲覧 → 応募フォーム → 送信完了
1. ECサイトの購入ファネル分析の例
| ファネルの段階 | ユーザー数 | 遷移率 | 
|---|---|---|
| 訪問 | 1,000 | – | 
| 商品詳細閲覧 | 600 | 60% | 
| カート追加 | 150 | 25% | 
| 購入 | 15 | 10% | 
この例では、「カート追加 → 購入」の遷移率が10%と特に低く、送料や決済手段など、購入直前のハードルが影響している可能性があります。決済フェーズを見直すことが改善につながるでしょう。
※遷移率=前のステップに対する割合
※離脱率=次のステップに進まなかった割合
※あくまで一例であり、実際のファネル数値は業種や導線設計により大きく異なります
2. オウンドメディアのリード獲得ファネル分析の例
| ファネルの段階 | ユーザー数 | 遷移率 | 
|---|---|---|
| 記事閲覧 | 8,000 | – | 
| CTAクリック | 160 | 2% | 
| フォーム開始 | 80 | 50% | 
| 資料ダウンロード | 60 | 75% | 
記事ページでは、CTAクリックの遷移率が2%と低いため、CTAボタンの位置や文言、デザインに工夫を加えることで、クリック率の改善が期待できます。
(例)『ダウンロード資料はこちら』→『3分でわかる導入事例をダウンロードする(無料)』
3. 採用サイトの応募ファネルの例
| ファネルの段階 | ユーザー数 | 遷移率 | 
|---|---|---|
| 採用トップ | 2,000 | – | 
| 募集要項閲覧 | 1,200 | 60% | 
| 応募フォーム入力開始 | 120 | 20% | 
| 応募完了 | 90 | 75% | 
採用ファネルでは、「募集要項閲覧 → 応募フォーム開始」の遷移率が10%と課題が見られます。
応募フォームの見直しやそもそものフォームの位置などが改善のポイントになります。
ファネル分析で見るべきこと
ファネル分析では、単に「何人が成果に至ったか」だけではなく、「どの段階で、何人が、なぜ離れていったか」に注目することが大切です。以下の4つの視点で整理すると分かりやすくなります。
- 現状把握:ステップごとのユーザー数や割合を数値で把握する
- 離脱ポイント:ファネルから多くのユーザーが離れてしまっている箇所
- ボトルネック:ファネル全体の流れを妨げている原因となる箇所
- 課題点・弱点:改善により成果への貢献度が高まりそうなステップ
特に、どのステップで落ち込みが大きいか(離脱率が高いか)を見ることで、優先的に改善すべきポイントが見えてきます。
改善の優先順位を決めるポイント
ファネルの改善は「すべてやる」よりも、「成果に直結しやすいところ」から着手するのが効率的です。改善の優先度を考えるうえで、次の2つの観点を持ちましょう。
- インパクト(改善したときの影響の大きさ)
 例:フォーム送信率が大きく改善されると、直接的にコンバージョン数が増える
- 改善のしやすさ(施策の実行コスト)
 例:ページのテキスト改善はすぐに実行できるが、システム改修は時間がかかる
この2つのバランスを見ながら「今すぐやるべき改善」を選ぶのが、現実的で成果につながるアプローチです。
ファネル分析に関するよくある質問
- ファネル分析はどのようなツールで行うのが一般的ですか?
- 
一般的にはGoogleアナリティクス4(GA4)や、ヒートマップツール(例:UserHeat、Microsoft Clarity)、BIツール(例:Looker Studio)などを使って行います。サイトの構成や目的に応じてツールを選定するのが重要です。 
- ファネルは何段階に分ければいいの?
- 
一律の正解はありませんが、3〜5段階程度が多く、ユーザーの主な行動ステップ(例:訪問 → サービス理解 → CTAクリック → フォーム入力 → 完了)で設計します。段階が細かすぎると分析が複雑になりすぎるので注意しましょう。 
- コンバージョン率が低いのはどの段階が悪いのか、どう判断するの?
- 
各ステップの遷移率を見て、特に急激に落ち込んでいる箇所がボトルネックの可能性があります。前後のステップの割合差に注目してみましょう。 
- そもそもどんな数字を見ればよいのか分かりません…
- 
ステップごとの「ユーザー数」「遷移率」「直帰率」「離脱率」などを追いかけましょう。GA4では「探索レポート」のファネル機能を使えば、設定したイベントごとに可視化できます。 
- 数字を見ても、どんな改善をすればよいか分かりません
- 
数字は「仮説を立てるヒント」として捉えましょう。たとえば、CTAのクリック率が低ければ「文言を変える」「目立たせる」「位置を上に持ってくる」など複数の施策を試す価値があります。ABテストも有効です。 
- BtoBサイトでもファネル分析は使えますか?
- 
もちろん使えます。BtoBの場合は、訪問 → 導入事例閲覧 → 資料請求 → 商談化などのファネル設計が有効です。行動から意欲の高い見込み客を見極めるために役立ちます。 
- ファネル分析の結果は、どのくらいの頻度で見直すべきですか?
- 
月次やキャンペーン終了時など、施策単位で定期的に見直しましょう。数値のトレンド(上昇 or 下降)を見て、改善のタイミングを判断します。 
まとめ
ファネルは、ユーザーの行動を段階的に捉えるための基本的な考え方です。ファネル分析によって、成果に至るまでの流れを見える化し、改善ポイントを見極めることができます。
「今どこで止まっているのか?」「どこから先に進んでいないのか?」を知ることで、データに基づいたサイト分析の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
 ウェブマーケター
ウェブマーケターお困りの際はお気軽にお問い合わせください。専門家と一緒に作業すれば、余計な遠回りをせずに成果へ近づけるはずです。


