ブランドは経営者の器以上にはならない

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企業の本質は、トップの価値観と人間性に宿る

新しいロゴやデザイン、キャッチコピーやウェブサイトで企業イメージを一新しようとすることがあります。
しかし、表面的な変化だけでは真の企業価値は高まりません。なぜなら、ブランドの核心は経営者自身の人間性や価値観、そして「器」の大きさに直結しているからです。

“ブランドは経営者の器以上にはならない。” – 松浦弥太郎(CCCグループ代表)

「暮しの手帖」編集長から「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」代表となった松浦は、TSUTAYAやT-Pointカードなどのブランド構築に携わりました。
彼の言葉は、ブランドが外見的なデザインではなく、経営者の哲学や価値観の表現であることを示しています。松浦のライフスタイル提案型のビジネスアプローチは、日本のカルチャービジネスのモデルとなりました。

中小企業だからこそ「経営者の器」が直接ブランドに反映される

大企業では組織の規模や複雑さから、経営者の個性がブランドに反映されるまでに時間がかかることがあります。
しかし中小企業では、経営者の価値観や判断が直接的かつ迅速にブランドに反映されるという特徴があります。これは強みでもあり、責任でもあります。

この「経営者の器」とブランドの関係を深めるために、以下の3つの視点が重要です。

  1. 自己成長への投資:経営者自身が学び、成長し、視野を広げることは、ブランドの成長につながります。新しい考え方や価値観に触れ、自らの「器」を広げる努力が、結果的にブランドの可能性を広げます。
  2. 一貫した価値観の体現:ブランドメッセージと経営者の言動に矛盾があれば、顧客は敏感に感じ取ります。自らが掲げる価値観を日々の判断や行動で体現することが、信頼性の高いブランドを築く基盤となります。
  3. 経営理念の共有と浸透:経営者の価値観や哲学を社内で共有し、全社員がそれを理解し実践できるような仕組みづくりが大切です。経営者一人の力ではなく、組織全体で「器」を広げていく姿勢が重要です。

「経営者の器」を広げることこそがブランド構築の本質

松浦弥太郎の言葉が示すように、ブランドの価値は経営者の内面から湧き出るものです。TSUTAYAのような成功ブランドも、単なるマーケティング戦略からではなく、「ライフスタイルの提案」という松浦の哲学から生まれました。

この観点からマーケティングを見直すと、外向きの発信以上に内向きの問いかけが重要になります。「どんな広告をするか」より先に「私たちは何者で、何を大切にしているのか」を問い続けることが、ブランド構築の真髄です。

中小企業の集客においても、経営者の人間性や価値観、そして「器」の大きさが直接的に影響します。高額な広告よりも、経営者自身の成長や学びへの投資が、結果的に人を引き寄せるブランド力となって表れるのです。

今日から、ブランドを高めるために外部へのアピールを考える前に、まず自分自身の「器」を広げる取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

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