ブランドとは約束である～佐藤可士和の名言に学ぶ、ブランドの本質
顧客との信頼関係は、日々の一貫した行動から生まれる
ビジネスを長く続けるほど、様々な誘惑や課題に直面します。コストを削減したい、新しいトレンドに乗りたい、競合に対抗したい—そんな時、自社の原点や顧客との約束を忘れてしまうことはありませんか。しかし、長期的な成功を収めている企業に共通するのは、時代や環境が変わっても「核となる約束」を守り続ける姿勢です。
“ブランドとは約束である。その約束を守り続けることがブランディングだ。” – 佐藤可士和（クリエイティブディレクター）
ユニクロ、楽天、セブン-イレブンなど日本を代表するブランドの視覚的アイデンティティを手掛けた佐藤可士和は、一貫性の重要性を説いています。彼の手法は美的センスだけでなく、企業の本質を捉えた戦略的デザインに基づいています。佐藤は「ブランドは企業の意思表示である」と考え、単なるロゴではなく企業哲学を表現するデザインを追求しています。
中小企業だからこそ、「約束」の力を活かせる
規模が大きくない中小企業だからこそ、顧客との約束を守り続けることができます。大企業では部門間の調整や複雑な承認プロセスが必要ですが、中小企業は経営者の意思がダイレクトに反映できるという強みがあります。
ブランドを「約束」として捉えるとき、以下の3つの視点が重要です。
- 自社の本質的な約束を明確にする：あなたのビジネスが顧客に対して果たす根本的な約束は何でしょうか。品質、サービス、価格、スピード、安心感—どの要素を最も重視するのかを明確にしましょう。すべてを約束するのではなく、本当に守れる核心的な価値を見極めることが大切です。
- 約束を視覚化・言語化する：明確になった約束を、ロゴ、キャッチフレーズ、社内の行動指針などの形で表現しましょう。佐藤可士和が手掛けたブランドデザインが効果的なのは、企業の本質を捉えた視覚言語だからです。
- 日々の行動で約束を実践する：最も重要なのは、約束を言葉だけでなく、日々の業務やサービスの中で実践することです。接客、製品開発、アフターサービス、クレーム対応—すべての場面で一貫した約束の履行が求められます。
「約束」の継続がブランドの力となる
佐藤可士和の言葉が示すように、ブランディングは一度のキャンペーンや華やかな広告ではなく、日々の約束の積み重ねです。例えば、セブン-イレブンの「いつでも、どこでも、品質の高い商品を提供する」という約束は、毎日の品揃えや品質管理、立地戦略などを通じて実現されています。
この観点から見ると、マーケティングの役割も変わってきます。一時的な販売促進ではなく、「私たちはこの約束を守ります」という姿勢を一貫して伝え続けることがマーケティングの本質です。
中小企業の集客においても、「約束と実践の一貫性」は強力な武器となります。大企業のような広告予算がなくても、顧客との約束を誠実に守り続けることで、信頼という最も価値ある資産を築くことができます。そして、その信頼こそが、リピート購入や口コミを生み出す源泉となります。
