実践的SNSクチコミリアクション運用ガイドライン


お客様にクチコミを書いてもらった場合、どのようにリアクションをすればいいでしょうか。



クチコミに返信をしたほうがいいのは当然ですが、大事なのは返信の仕方です。せっかくクチコミを書いていただいたお客様との距離が縮むようなクチコミリアクションを目指しましょう。
クチコミのリアクションはなぜ大事?
このガイドラインは、SNS上のクチコミへの対応品質を均一化し、ブランド価値向上と顧客エンゲージメント強化を実現するためのものです。表面的な対応ではなく、ユーザーの心に届く深いコミュニケーションを目指します。
クチコミリアクションの重要性
適切なリアクションは以下の効果をもたらします:
- 顧客ロイヤルティの向上:継続的な関係構築により、ブランドファンを育成
- 波及効果の創出:他のユーザーの投稿意欲を刺激し、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を増加
- ブランドイメージの強化:誠実で顧客思考の企業という印象を形成
- 貴重なインサイト獲得:生の声から得られる市場洞察を商品・サービス改善に活用
表面的・形式的な対応は以下のリスクをもたらします:
- 顧客の失望:「聞かれていない」「大切にされていない」という不満
- 投稿意欲の低下:今後の投稿・エンゲージメントの減少
- 否定的影響の拡散:他ユーザーへの波及的なマイナス効果
- 機会損失:貴重な顧客インサイトを見逃す可能性
クチコミの監視とリアクションの優先順位
クチコミがされたかどうかを監視した後は、優先順位に基づき、リアクションを行います。
クチコミの監視
- 監視ツールの設定:ツールを使用したハッシュタグ・メンション監視
- 投稿の分類:
- ポジティブ投稿(満足・推奨)
- ニュートラル投稿(情報共有・質問)
- ネガティブ投稿(不満・改善要望)
- 緊急対応案件(誤情報・炎上リスク)
リアクションの優先順位
- 緊急対応案件:即時対応(発見後30分以内)
- ネガティブな投稿・クレーム:優先対応(2時間以内)
- 質問・問い合わせ:標準対応(4時間以内、遅くとも当日中)
- ポジティブな投稿:通常対応(24時間以内)
投稿タイプ別対応ガイドライン
商品使用レビュー
使用シーンや感想を投稿するケース
対応の基本方針
- 感謝の表明と具体的な使用方法への言及
- 着眼点の称賛(写真の美しさ、レビューの詳細さなど)
- 商品知識を活かした補足情報の提供
- 次の使用シーンや組み合わせの提案
返信例
〇〇様、素敵なお写真と詳細なご感想をありがとうございます!
特に「△△の使い方」について詳しくご紹介いただき、
これから購入を検討される方にとって、とても参考になる情報です。
実は△△は、〇〇様がご紹介くださった使い方以外にも、
××としても活用いただけますので、もしよろしければお試しください。
〇〇様のようなこだわりのレビューは、私たちスタッフの励みになります。
今後も製品の改良に活かしてまいりますので、
引き続きご愛用いただければ幸いです。
店舗・サービス体験レビュー
来店や利用体験を投稿するケース
対応の基本方針
- スタッフへのフィードバック共有を明示
- 具体的なサービス改善への活用方法を伝える
- 体験の細部への言及と共感
- 次回来店の提案と期待感の醸成
返信例
〇〇様、ご来店と素敵な投稿をありがとうございます!
「△△スタッフの親身な対応」へのお言葉、当該スタッフと
店舗スタッフ全員で拝見し、大変喜んでおります。
〇〇様に快適なお時間をお過ごしいただけたこと、
スタッフ一同大変嬉しく思います。
お写真からも店内の雰囲気が伝わり、これから来店を
検討されているお客様にとって貴重な情報となります。
次回ご来店の際には、季節の新メニューもご用意しておりますので、
ぜひまたお気軽にお立ち寄りください。スタッフ一同心よりお待ちしております。
質問・疑問の投稿
使い方や商品選びの相談を投稿するケース
対応の基本方針
- 質問への迅速・正確な情報提供
- 情報源や根拠の明示
- 参考になる追加情報やリンクの提示
- 解決後のフォローアップ提案
返信例
〇〇様、ご質問ありがとうございます。
「△△商品と××商品の違い」についてですが、
主な違いは以下の3点となります。
- 成分:△△には◇◇が含まれており、××には■■が配合されています
- 効果:△△は☆☆に効果的、××は★★に特化しています
- 使用感:△△はさっぱり、××はしっとりとした使用感です
詳しい商品情報は公式サイト(URL)でもご確認いただけます。
もし追加でご不明点がございましたら、DMでもお気軽にお問い合わせください。
〇〇様のお肌質に合った商品選びをサポートいたします。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)
創造的な使い方や活用法を投稿するケース
対応の基本方針
- 創造性への称賛と感謝
- 新たな視点への気づきの共有
- 公式での紹介可能性の打診(許諾取得)
- コミュニティ共有の提案
返信例
〇〇様、このような創造的な使い方のご紹介をありがとうございます!
「△△商品を◇◇として活用する」というアイデア、
私たちも思いつかなかった素晴らしい発想です。
この素敵なアイデア、当社の公式アカウントでもぜひ他のユーザーの方々に
ご紹介させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?
(ご希望であれば、DMにてご相談させてください)
また、#【ブランドハッシュタグ】コミュニティでは、〇〇様のような
クリエイティブな方々がアイデアを共有しています。
ぜひチェックしてみてください!
リアクションの3つの基本原則
一人ひとりのユーザーを大切にする対応を
ユーザー名を正確に呼ぶ
- アカウント名ではなく、プロフィールに記載された本名(ハンドルネーム)を使用
- 敬称(様/さん)を適切に付ける
投稿内容の具体的な部分に言及する
- 写真の特定の要素(「赤いドレスがとても映えていますね」など)
- コメントの特定フレーズの引用
- ハッシュタグやメンションへの言及
投稿の質を称える
- 写真の構図や明るさ、色調などの美しさ
- 説明の丁寧さ、わかりやすさ
- レビューの詳細さ、客観性
クチコミの価値と貢献を伝える対応を
実践ポイント
- クチコミが「誰に」役立つかを明示する
- 企業:「私たちの商品開発チームに共有します」
- スタッフ:「接客スタッフの研修に活用します」
- 他のユーザー:「同じ悩みを持つ方の参考になります」
- 社会:「サステナビリティへの取り組み強化に役立ちます」
- 「どのように」役立つかを具体的に伝える
- 商品改良:「次回製品の〇〇改良に反映します」
- サービス改善:「△△手順の見直しを行います」
- 情報提供:「購入を検討されている方の判断材料になります」
- マーケティング:「お客様の声を基にした広告づくりに活かします」
関係性をこれからも続けましょう
- 次の行動を促す声かけ
- 次回の来店/購入の提案:「次回は〇〇も是非お試しください」
- 別製品の紹介:「△△との組み合わせも人気です」
- 新商品情報:「来月発売の××もお楽しみに」
- コミュニティへの招待
- 公式ハッシュタグの案内:「#〇〇で投稿いただけると嬉しいです」
- ユーザーコミュニティの紹介:「△△コミュニティでは同じ趣味の方々と繋がれます」
- イベント情報:「〇月〇日のファンミーティングもぜひご参加ください」
- 長期的な関係構築の提案
- フォロー促進:「今後も情報発信してまいりますので、ぜひフォローをお願いします」
- メンバーシップ案内:「〇〇会員になると、さらに特別な情報をお届けしています」
- フィードバックの継続依頼:「今後も率直なご意見をお聞かせください」
ブランドトーンの設定方法
ブランドパーソナリティに合わせたトーン
企業・商品の個性を反映した表現スタイル
主要トーンの特徴と使い分け
- フレンドリー型
- 特徴:親しみやすく、カジュアルな表現
- 適した業種:カフェ、カジュアルファッション、ライフスタイル商品
- 表現例:「いつもありがとう!」「素敵な写真ですね✨」
- プロフェッショナル型
- 特徴:信頼感のある、専門的な表現
- 適した業種:金融、医療、B2Bサービス
- 表現例:「ご投稿ありがとうございます。」「正確な情報をご提供いたします。」
- 高級感型
- 特徴:洗練された、丁寧な表現
- 適した業種:ラグジュアリーブランド、高級ホテル、プレミアムサービス
- 表現例:「貴重なお声をお寄せいただき、誠にありがとうございます。」
- 若者向け型
- 特徴:トレンドを取り入れた、活気ある表現
- 適した業種:アパレル、コスメ、エンターテイメント
- 表現例:「いいね!めっちゃ素敵です🔥」「最高の組み合わせ👍」
ブランド別表現辞典
一貫したコミュニケーションのためのガイドライン
表現の統一基準
- 使用推奨単語・フレーズ集
- 商品・サービスの呼称統一(「商品」か「製品」か、など)
- ブランド固有の表現(「〇〇ならでは」「△△スタイル」など)
- 季節・キャンペーン別のキーワード
- 避けるべき表現一覧
- 業界用語・専門用語(一般のお客様向けの場合)
- 誤解を招く可能性のある表現
- 競合に関する直接的言及
- ネガティブな表現(「問題」→「課題」など言い換え例)
- 絵文字・スタンプの活用ガイドライン
- 使用可能な絵文字リスト(ブランドイメージに合うもの)
- 頻度の目安(文章量に対して○個程度)
- 避けるべき絵文字(誤解を招く可能性のあるもの)
業界別コミュニケーション特性
業種の特性を活かした効果的なコミュニケーション
業界別ポイント
- 美容業界
- ビフォーアフターの重視
- 専門用語の適切な説明を添える
- 効果の根拠を明確に
- 個人差への配慮を示す
- 飲食業界
- 食材・調理法へのこだわりを伝える
- 季節感を大切に
- 五感に訴える表現
- 料理人の想いを共有
- アパレル業界
- コーディネート提案
- 素材感の言語化
- トレンドとの関連性
- 着用シーンの拡張提案
ネガティブレビューへの対応
批判的な声に対しては、より建設的な対応をすることで、お客様がお持ちの問題・課題を解決に導きます。
CARP原則の4ステップで対処すると、お客様に寄り添い建設的な提案が可能です
- C: Compassion(共感)
- 顧客の感情を認め、理解を示す
- 例:「ご不便をおかけし、お気持ちはよく理解できます」
- A: Accountability(責任)
- 問題の責任所在を明確にする
- 例:「このような事態となり、当社の対応が不十分でした」
- R: Resolution(解決)
- 具体的な解決策を提示する
- 例:「以下の方法で解決させていただきます:1. 〇〇 2. △△」
- P: Prevention(防止)
- 再発防止策を伝える
- 例:「今後このようなことがないよう、〇〇の仕組みを改善いたします」
上司や他部署などに関与を依頼するケースとは?
即時対応が必要なケース
- 法的問題を含む投稿
- 個人情報漏洩リスク
- 健康被害の申告
- 炎上の兆候がある投稿
- 補償・返金に関する要望
非公開対応への切り替え判断
- 個人情報の詳細確認が必要
- 複雑な経緯の聞き取り
- 例:「詳細を確認させていただきたく、DMにてご連絡させていただいてもよろしいでしょうか」
状況別テンプレート集
新規顧客からの初投稿
〇〇様、初めての投稿をありがとうございます!
当ブランドを選んでいただき、心より感謝いたします。
「△△が想像以上に良かった」というコメント、大変嬉しく思います。
今後も〇〇様にご満足いただけるよう努めてまいります。
次回は××もぜひお試しください!
リピーターからの投稿
いつもご愛顧いただきありがとうございます!
今回で3回目のご投稿、私たちスタッフの大きな励みになっています。
前回と比べて「△△が改善された」というご指摘、
開発チームにも共有させていただきます。
〇〇様のような熱心なファンのお声が、
私たちの商品を進化させる原動力です。
インフルエンサーからの投稿
〇〇様、素敵な投稿をありがとうございます!
洗練された写真と丁寧なレビュー、多くのフォロワーの方々にとって
大変参考になる情報だと思います。
特に「△△の使い方」についての解説が分かりやすく、
私たちも大変勉強になりました。
もしよろしければ、コラボレーションの可能性についても
ぜひDMにてご相談させていただけますと幸いです。
プラットフォーム別の対応方法
各SNSプラットフォームには固有の特徴があり、それぞれに最適な対応方法が異なります。
Instagramでは、視覚的なコンテンツが中心となるため、投稿への直接コメントは公開性を活かして他のユーザーにも見えるように活用し、より詳細なやり取りや個人的な内容はDMに誘導するといった使い分けが効果的です。
また、ユーザーのストーリー投稿をリポストすることで、ユーザー投稿を称える体験を提供できます。
効果的なハッシュタグ戦略を立て、適切なタグを使い分けることで、新規ユーザーへのリーチを拡大することも重要です。
Xでは、文字数制限があるため、簡潔で明確なメッセージが求められます。
特に問い合わせには迅速な対応が重要で、ユーザーの期待に応えることが必須です。
引用リポストを活用することで、元の投稿を参照しながら丁寧な返答ができ、他のユーザーにも文脈が伝わりやすくなります。
Facebookでは、比較的長文のコメントも許容されるため、丁寧で詳細な対応が可能です。グループやページを通じたコミュニティ意識の醸成に役立つプラットフォームであり、メンバー同士の絆を深める工夫が効果的です。また、比較的シニア層の利用者も多いため、専門用語を避け、わかりやすい表現を心がける配慮が必要です。
実施におけるよくある質問
- 複数のスタッフで対応する場合、トーンの統一はどうすべき?
-
基本的なテンプレートを共有しつつ、各担当者の署名(例:「担当:山田」)を付けることで、人間味を残しながら一貫性を保てます。
- 炎上の兆候を感じた場合、どう対応すべき?
-
個人の判断で対応せず、すぐに上長と広報担当に報告。事実確認を行いながら、公式見解を準備します。
- 競合他社への言及がある投稿にはどう対応する?
-
競合を直接批判せず、自社製品の強みを客観的に伝えます。「〇〇というご意見をいただき参考になります。当社製品は△△という特徴があります
SNSのクチコミを書いてもらったときのリアクションについて紹介してまいりました。
SNSのクチコミは公開の場に書かれているからこそ、リアクションの仕方で会社の文化や雰囲気などがよく伝わります。



最初は不慣れなのでこのようなガイドラインを見ながらチャレンジしてくださいね。お困りの際はぜひ一度ご相談ください。専門家と一緒に作業すれば、余計な遠回りをせずに成果へ近づけるはずです。