態度変容とは

態度変容とは
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態度変容は、マーケティングや心理学において非常に重要な概念です。わかりやすく、そして詳しく解説いたします。

目次

態度変容とは?

簡単に言うと、ある対象に対する個人の評価や感情、行動傾向が変わること を指します。この「対象」は、人、物、事柄、アイデア、ブランド、政策など、非常に多岐にわたります。

もう少し詳しく説明すると、態度は以下の3つの要素から構成されると考えられています。

  1. 認知 (Cognition): 対象に関する知識、信念、考え方。 例:「〇〇ブランドは高品質だ」「△△政策は経済に悪影響を与えるだろう」といった認識。
  2. 感情 (Affect): 対象に対する感情、好き嫌い、快・不快の感情。 例:「〇〇ブランドが好きだ」「△△政策には反対だ」といった感情的な評価。
  3. 行動 (Behavior): 対象に対する行動意図、行動傾向。 例:「〇〇ブランドの商品を買いたい」「△△政策に賛成票を投じよう」といった行動の意図や傾向。

態度変容の具体例

  • 広告による態度変容:
    • 新製品のCMを見て、「面白そう」「試してみたい」と思うようになる (肯定的変化、感情要素・行動要素の変化)。
    • 競合製品のネガティブな広告を見て、今まで使っていたブランドへの評価が下がる (否定的変化、感情要素・認知要素の変化)。
    • 環境問題に関するCMを見て、エコフレンドリーな製品を選ぶようになる (肯定的変化、認知要素・行動要素の変化)。
  • 口コミによる態度変容:
    • 友人から「〇〇カフェのケーキが美味しい」と聞いて、行ってみようと思う (肯定的変化、行動要素の変化)。
    • ネットのレビューで「△△ホテルのサービスが悪い」という書き込みを見て、予約をやめる (否定的変化、行動要素の変化)。
  • 体験による態度変容:
    • 試食販売で美味しいと感じて、その食品を購入する (肯定的変化、行動要素の変化)。
    • 店舗で店員の丁寧な接客を受けて、そのブランドが好きになる (肯定的変化、感情要素の変化)。
    • 製品を使って期待外れだったため、二度と買わないと思う (否定的変化、感情要素・行動要素の変化)。

このように、態度変容 とは、これらの認知、感情、行動 のいずれか、または複数が変化することを意味します。

態度変容のプロセス~どのように変わるのか~

態度変容は、多くの場合、外部からの 説得コミュニケーション経験 を通じて起こります。 人が何らかの情報に触れたり、新しい体験をしたりすることで、既存の態度が変化していくのです。

態度変容のプロセスは、様々な心理学的理論で説明されていますが、代表的なものとしては、先ほども触れた 精緻化見込みモデル(ELM) があります。ELMモデルでは、態度変容は大きく 中心ルート周辺ルート の2つの経路で起こると考えられています。

  • 中心ルート: メッセージの内容を深く吟味し、論理的に納得することで態度変容が起こる経路。持続的で強固な態度変容につながりやすい。
  • 周辺ルート: メッセージの内容を深く考えず、魅力的な情報源や感情的な訴求などの周辺的な手がかりに基づいて態度変容が起こる経路。一時的で変化しやすい態度変容につながりやすい。

どちらのルートで態度変容が起こるかは、受信者の 関与度情報処理能力 などによって異なります。

(関連記事)マーケティング担当者が知っておきたい精緻化見込みモデルとは

態度変容の種類

態度変容は、変化の方向や度合いによって、さらに細かく分類できます。

  • 変化の方向:
    • 肯定的変化 (態度が好意的になる方向への変化): 例:製品に対する評価が否定的から肯定的になる、ある政策に反対から賛成になる。
    • 否定的変化 (態度が否定的になる方向への変化): 例:以前は好きだったブランドに嫌悪感を抱くようになる、支持していた政治家を批判するようになる。
    • 無変化 (態度が変化しない): 説得を受けても態度が変化しない場合や、元に戻ってしまう場合も含む。
  • 変化の度合い (強度):
    • 弱い変化: 態度がわずかに変化する程度。一時的な変化であることも多い。
    • 強い変化: 態度が大きく、根本的に変化する場合。持続的な変化であることが多い。
    • 潜在的変化 (潜在的な態度、内面的態度): 表面的な態度は変わらなくても、潜在意識レベルで態度が変化している場合。行動に影響を与えることがある。
    • 顕在的変化 (顕在的な態度、外面的態度): 言葉や行動で明確に態度変化が表れている場合。

マーケティングにおける態度変容の重要性

マーケティングにおいて、態度変容は非常に重要な目標となります。なぜなら、消費者の態度 は、購買行動 に大きな影響を与えるからです。

企業は、広告、広報、販売促進活動などを通じて、消費者の態度を自社製品やブランドに対して 好意的 な方向に変容させようとします。

  • ブランド認知度向上: ブランドを知らない人に、ブランド名やロゴ、製品カテゴリーなどを認知してもらう。(認知要素の変化)
  • ブランドイメージ向上: ブランドに対してネガティブなイメージを持っている人に、ポジティブなイメージを持ってもらう。(感情要素の変化)
  • 購買意向向上: 製品購入を検討していない人に、購入したいと思ってもらう。(行動要素の変化)
  • 競合ブランドからの乗り換え: 競合ブランドを愛用している人に、自社ブランドに乗り換えてもらう。(行動要素、感情要素、認知要素の複合的な変化)
  • ロイヤルティ向上: 既存顧客の満足度を高め、ブランドへの愛着を深めてもらう。(感情要素、行動要素の変化)

まとめ

態度変容は、私たちの日常的な意思決定や行動に深く関わっています。マーケティング担当者は、態度変容のメカニズムを理解し、様々な手法を駆使して、消費者の態度を意図した方向に変えようと試みます。

態度変容は一筋縄ではいかない複雑な現象ですが、その基本的な概念とプロセスを理解することで、より効果的なマーケティング戦略やコミュニケーション戦略を立案し、実行するための基礎を築くことができるでしょう。

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お困りの際はぜひ一度ご相談ください。専門家と一緒に作業すれば、余計な遠回りをせずに成果へ近づけるはずです。

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