製造業ウェブサイトのアクセス解析入門ガイド


売上を最大化するために「見える化」するための基礎知識がわかります。
御社のウェブサイト、売上に貢献していますか?
「ホームページはあるけれど、名刺代わりで放置している…」
「技術力には自信があるのに、ウェブサイトからの問い合わせが少ない…」
もしそう感じるなら、今こそアクセス解析を導入し、ウェブサイトを売上に直結する営業ツールへと進化させる絶好の機会です。
特に製造業(中小企業や受託製造業)では、ウェブサイトが「技術力を見える化」し、新規顧客を獲得するうえで大きな武器になります。
ただし、ただ作って置いておくだけでは十分に機能しません。
ここで鍵となるのが「アクセス解析」です。
アクセス解析を使い、具体的な指標(KPI)でサイトの状況を「見える化」すれば、どこを改善すれば問い合わせ数や売上が増えるのかが明確になります。
この記事では、そのために必要な基本の数式と、Google Analytics 4(GA4)を活用した分析&改善のポイントを解説します。
売上を分解する!製造業ウェブサイトのKPIツリー
まずは、ウェブサイトが売上にどう繋がるかを数式で整理しましょう。
いきなり「売上」という大きな数字を見るのではなく、要素に分解するのがポイントです。
売上 = アクセス数 × お問い合わせ率 × 受注率 × 平均受注単価
ここで各要素をざっと説明すると――
- アクセス数:
ウェブサイトへの訪問者数です。- 多ければ多いほど、見込み客がサイト内容を知る機会が増える
- ただし「数が多いだけ」で質が低ければ成果は出にくい
- お問い合わせ率(コンバージョン率):
アクセスした人のうち、問い合わせや資料請求をする人の割合。- 例えば「100人訪れて2人が問い合わせ=2%のコンバージョン率」
- お問い合わせ数 = アクセス数 × お問い合わせ率
- 受注率:
その問い合わせから、実際に受注に繋がる割合。
製品・価格・営業トーク・顧客ニーズへのマッチ度が影響 - 平均受注単価:
1件あたりの平均受注額。- 例えば「1件あたり100万円」「10件で1000万円の売上」
製造業のウェブサイトでコントロールしやすいのは主に「アクセス数」と「お問い合わせ率」の部分です。
「アクセス数 × お問い合わせ率 = お問い合わせ数」
をいかに増やすかが、大きなカギ。ここを高めれば、営業が頑張る(受注率UP段階での商談件数も増えるため、最終的な売上が伸びやすくなります。
さて、このKPIツリーを頭に入れたうえで、実際にどこが足りていないのかを分析するのがアクセス解析の本領です。次のセクションから具体的に見ていきましょう。
アクセス数を増やす!── 製造業向けSEO対策の基本
アクセス解析を見て「そもそもアクセス数が少ない…」と判明したら、まずは母数を増やす策が必要です。
ここで重要なのがSEO対策。
ただし「闇雲に人を集める」のではなく、見込み客となり得るユーザーを呼び込むことが肝心です。
まずは自社の強みと顧客の検索意図を擦り合わせ、キーワードを選定します。
- ロングテールキーワード: 「〇〇(材質) + 〇〇(加工技術) + 〇〇(用途/業界)」など地域キーワード: 「〇〇加工 名古屋」「△△製作所 関西」など
これによって「今すぐ客」が検索しそうなニッチ分野を的確に狙えます。
ここで、「ロングテールキーワードでアクセスを稼ぐ!製造業のSEO戦略」もぜひ参考にしてください。
次に、キーワードを記事タイトルや見出し、本文に自然な形で盛り込みます。
- 専門用語だけでなく、初心者にも伝わる言い回しを忘れずに具体的数値(±0.003mm、最短3日など)を盛り込み信頼度UP
これについては「製造業ウェブサイトのためのSEOライティング入門」 も参照すると良いでしょう。
- セッション数・ユーザー数: ウェブサイト全体のアクセスボリューム
- 参照元/メディア: どのサイトや検索エンジン、SNSから来ているか
- ランディングページ: 最初に着地したページ
- 検索クエリ: ユーザーが使った検索キーワード(Google Search Consoleと合わせて分析)
- アクセス数が少ない → ロングテールキーワードを狙ったコンテンツ増強、ウェブ広告も検討
- 特定キーワードの順位が低い → ページをリライトし、内部リンクを増やす、被リンク獲得を図る
- 検索クエリとのミスマッチ → 実際の検索意図に合うコンテンツへ修正
こうした対策を行い、アクセス数(母数)を地道に引き上げていけば、問い合わせの絶対数も自然に増えやすくなります。
お問い合わせ率を高める!── 5つのポイント
アクセス数を増やすだけでは、問い合わせ率(コンバージョン率)が低ければ成果につながりません。
そこで、顧客視点から「問い合わせしたくなる仕組み」を作る5つの方法を紹介します。
1. 分かりやすい情報設計
まずは、顧客が本当に求めている情報を見やすく整理しましょう。
- ナビゲーションを簡潔にし、迷子にならない設計
- 「〇〇加工が得意な理由」「事例とお客様の声」をトップから2クリック以内で見られるように
なぜ大事?
- 製造業サイトは専門性が高く、コンテンツも多岐にわたりがち
- ユーザーが迷ったり、欲しい情報にすぐアクセスできなかったりすると離脱してしまう
2. 顧客視点のコンテンツ
情報設計だけでなく、中身も企業目線ではなく顧客目線へ。
- 「技術力を自慢するだけ」の文章ではなく、具体的な課題解決例・メリットを明記
- 専門用語ばかりでなく、必要に応じて解説やイラストを加える
- お客様の声を掲載し、他社事例をわかりやすく
なぜ大事?
- 「分かった!これならウチの課題を解決できそう」と思わせることで、問い合わせのハードルが下がる
- BtoBでも、担当者個人の理解と納得が「問い合わせするかどうか」を左右する
3. 魅力的な写真・動画
文字だけだと伝わりにくい製造現場の雰囲気や高精度加工の実態を、写真・動画でアピールします。
- 加工工程や設備稼働の映像: 「こんな最新設備があるのか」と驚きを与える
- 製品の拡大写真: 「こんな細部までキレイに仕上がっている!」と品質を伝える
- 社員の表情や社内の様子: 「ここなら安心して頼めそう」と信頼感アップ
なぜ大事?
- 製造業の強み(品質、精度、対応力)は視覚的に示すのが効果的
- 詳しくない人でも「実際の姿」を見て納得しやすい
4. 明確なCTA(行動喚起)
せっかく情報を読んで興味を持っても、もし「問い合わせボタン」が分かりづらいと躊躇されます。
- 色・位置・大きさで目立たせる
- 文言は「お問い合わせ」「見積もり依頼」など具体的に
- 各ページ下部、サイドバーなど複数箇所に設置する
なぜ大事?
- ウェブサイトは人が誘導するわけではないので、顧客が「どう行動すればいいか」迷わない仕掛けが必須
- たった一文の「今すぐクリック!」で問い合わせ率が数倍になるケースもある
5. 問い合わせフォームの最適化
最後のハードルは問い合わせフォーム。
ここで離脱されると非常にもったいないので、ユーザーテストなどで最適化しましょう。
- 入力項目を最小限に絞る
- 必須項目を明確にする
- エラー表示を分かりやすく
- 送信完了後のサンクスページで「返信は●日以内」など案内
なぜ大事?
- BtoB問い合わせでは、複雑な項目を要求しがちだが、面倒くさがられて離脱が増える
- スムーズに送信できるフローこそ、製造業の誠実&丁寧な姿勢を演出
GA4でチェックすべき指標(問い合わせ率向上編)
- コンバージョン率: サイト全体/各ページの問い合わせ率
- 直帰率/離脱率: ページを開いてすぐ離脱される箇所は要改善
- 平均ページ滞在時間: 記事をしっかり読んでもらえているか
- フォーム送信数: 日次/週次で推移を追い、改善効果を検証
GA4の基本操作 ── レポートの見方
ここまで「アクセス数」と「問い合わせ率」の2大要素を高めるためのヒントを見てきました。
最後に、その効果測定を行うためのGA4基本操作をざっくり押さえましょう。<br> (詳細設定方法は別の記事で触れるとして、ここでは最小限に留めます。)
- リアルタイムレポート: 今、何人が訪問しているか、どのページを見ているかを即時確認
- レポートスナップショット: ユーザー数やセッション数、コンバージョンなど全体概況を把握
- エンゲージメント: ページビューやイベント数、エンゲージメント率を確認
- コンバージョン設定: 「お問い合わせフォーム送信」をコンバージョンに設定し、達成件数を自動計測
- 探索(Explore)機能: カスタムレポートやパス分析で、ユーザー行動を深堀り分析
これらを定期的に確認し、「問い合わせが増えているか?アクセス数は伸びているか?」をチェックしましょう。数字が悪ければ素早く改善アクションを考え、よければそのノウハウをさらに強化する――というサイクルが回せるようになります。
まとめ:アクセス解析と改善で、ウェブサイトを「売れる仕組み」に
最後にもう一度、製造業ウェブサイトの「売上方程式」を思い出してみましょう。
売上 = アクセス数 × お問い合わせ率 × 受注率 × 平均受注単価
アクセス解析(GA4)を使うと、どのページから何人来て、何人が問い合わせに至ったかが具体的に分かり、PDCAを回しやすくなります。結果的に「アクセス数 × お問い合わせ率」の向上が実現できれば、商談数も増え、最終的な受注・売上に繋がるサイクルが回りやすくなるのです。
一方で、改善は一度やれば終わりではなく、継続的にアクセス解析を見ながら調整することが大切。そこが、ウェブサイトを放置してきた企業との大きな差になるでしょう。



まずはアクセス数・お問い合わせ率・受注率・平均受注単価がどれくらいあるといいかを思い描いてみましょう。
それができたら、Google Analytics 4を開いて、現状の数字を確認してみましょう。
製造業ウェブサイトは、正しくアクセス解析を行い、データに基づき改善していくことで、強力な売れる仕組みとなります。今日からでも、少しずつスタートしてみましょう!
お困りの際はぜひ一度ご相談ください。専門家と一緒に作業すれば、余計な遠回りをせずに成果へ近づけるはずです。