<質問>
会社のWebサイトを任されて半年になります。
前任者に言われたとおり、毎週更新しているのですが、集客がうまくいっていません。
知り合いに相談したところ、ペルソナを決めたほうが良いと言われました。
ターゲットは決まっているのですが、ペルソナを決める必要があるのでしょうか。
<回答>
毎週更新しているのは良いことですね。
では、その内容はどんな方に届けているのか、顔が浮かびますか?
それを読んだ人がどんな気持ちになるのか、そしてどのように集客に至るのかイメージできますか?
このような考え方は、訴求力を上げWebサイトの目的を達成していく上で有効です。この考え方の鍵を握るのが「ペルソナ」です。
Webサイトのミッション
Webサイトには、何かしらの目的があるはずです。集客、ブランドの認知、新商品の購買やセミナーの申し込みなど、どんな業界でも目的を持っているかと思います。全ての目的において必要なことが、「読み手にメッセージを伝えること」です。
ターゲットとペルソナの違い
では、ターゲットとペルソナはどのように違うのでしょうか。
ターゲットは、人物を区分で分けるのに対して、ペルソナは人物像を描きます。
ターゲットの例
・渋谷で働くファッション好きなF1層(20歳~34歳の女性)
ペルソナの例
「山本綾さん24歳。渋谷の美容サロンで働くセラピスト。年収320万年。都内に両親(48歳)と住み、彼氏はいない。サロンの仕事は好きだが、平日夜や休日も働くことが多く、ノルマも厳しい。洋服を買ってオシャレするのが好きだが、着ていく機会がない。同級生の中にはサラリーマンで成績を出している人や、結婚して安定する人もちらほら出てきた。自分の将来に漠然とした不安を感じている。」
ペルソナを決めれば、訴求力が上がる
ペルソナを決めると、どんな人物像なのかがより具体的に見えてきたのではないでしょうか。また、どんなことを伝えれば相手がどんな気持ちになるのかも想像しやすくなったのではないでしょうか。
ペルソナを設定することで、メッセージの作り方や伝え方に創意工夫が生まれてくるわけです。
ラブレターから、創意工夫を考える
ここでラブレターの例を出したいと思います。ラブレターは1対1のメッセージです。
そんな時、多くの人が、どうやったら自分の気持ちが相手に伝わるかを考え抜きます。
また、その際、その女性との出会いや年齢・職業・脈があるのかないのか・・・その相手のことを考えるでしょう。
そして、相手をよく知った上で、便箋選びや内容を決めていくのではないでしょうか。
受け取った相手も、自分のことを考えて書かれたラブレターなら、心に刺さりやすいことでしょう。
相手を知れば、相手の現状やニーズが見えてくる
相手を知れば、その人の気持ちが動きやすいポイントが見えてきます。またアプローチの仕方も直接的なほうが良いのか、間接的なほうが良いのかが異なります。
相手の好みを知れば、デザイン選びが変わる
相手がメッセージを受け取る上で、『自分のために書かれたもの』だと認識して読み始めるようにする準備をすることは重要です。手紙の場合は、デザイン選びも重要です。
相手の環境を知れば、手紙の渡し方が変わる
相手のことを考えたら、手紙を渡すベストタイミングも見えてきます。また何と言って手紙を渡すか、少し大げさに言えば、どのように演出するかで、手紙を受け取った時の気持ちが変わってくるでしょう。
自分をよく見せたいけど、節度をわきまえる
手紙を書いていると、もっと自分をよく見せたほうがいいのではないかと欲張りな気持ちになるかもしれません。しかし、大切なのはメッセージを伝えて相手の気持ちを振り向かせることです。相手を意識すれば、適度に節度を保つことができるでしょう。
Webサイトに言い換えると・・・
ここまでラブレターの話をしましたが、これらは全てWebサイトに言い換えることが出来ます。
Webサイトでも読み手にメッセージを伝えるには、ときに様々な創意工夫が必要です。
その読み手が、いつどのようにWebサイトに訪れ、どんな気持ちで見るのか。それを考えてこそ、Webサイトに掲載すべき内容が明確になり、より読み手の心を動かすことができます。
ペルソナを決めるメリット5つ
訴求力が高くなる
ペルソナを描くことで、読み手の人物像を具体化することができます。企業が伝えたいメッセージを考えるのではなく、人物像に伝わりやすいメッセージの形を逆算して考えることで、訴求力の高いメッセージを作り出すことができます。
ペルソナを描けば、相手の現状やニーズが見えてくる
ペルソナがどんな情報や商品をすでに知っていて、どんな情報を伝えれば商品やサービスを利用したくなるのかを考えることができます。また、あなたの商品・サービスを使う真の価値が見えてくる場合もあります。それがわかることで、伝えるべきメッセージをブラッシュアップすることができます。
ペルソナに合わせたデザインや世界観を作れる
ペルソナが『自分のために書かれたもの』と認識しやすいデザインや世界観を表現することが重要です。必ずしも、企業のイメージを優先することが有効とは限りませ。最も大切なことは読み手にメッセージを伝えることです。
ペルソナに合わせたアクセス流入を検討できる
ペルソナの一日の行動の中で、いつどのようにWebサイトを見てもらうかを考えましょう。それによって、最適なアクセス流入(検索エンジン・広告・ブログマーケティング・SNSなど)が見えてきます。それを決めて初めて最適なSEOや広告運用等、Webサイトの露出についての戦略的に検討することができます。
よくばりな宣伝を節制できる
読み手にとって、押し付けがましい宣伝は逆効果です。しかしWEB運用の現場では、様々な原因で宣伝を求められる場合があります。ペルソナにメッセージを伝えることを最優先すれば、情報の取捨選択も論理的に行うことが可能です。
1対多数 よりも、1対1のメッセージ
相手にメッセージを伝えることは、容易ではありません。
しかし、1対多数ではなく、1対1のメッセージにすることで、より伝えやすくなります。
先の「ターゲット」と「ペルソナ」の例を思い出してください。
ターゲット、つまり、『渋谷で働くファッション好きなF1層』に向けて書く手紙は、どうしても漠然とした内容になってしまいがちです。
一方で、『山本綾さん』に向けて書く手紙は、本人の好みを踏まえて手紙を書くことが出来るので、より心に刺さりやすい手紙を書けるようになります。
WEB運営に迷ったときこそ、ペルソナの眼を借りて、Webサイトを見直してみてはいかがでしょうか。