WEB解析 Advent Calendar 2014 の参加記事です。
<質問>
現在、BtoBビジネスをしていて、今後は大手との契約を獲得していきたいと考えています。しかし、直接営業アプローチしても相手にされません。小さな会社がWEB経由で大手企業から契約を獲得することは可能でしょうか?
<回答>
結論から言うと可能です。
しかしWEBだけでBtoBの契約が完結することはほとんどありません。
その為、WEBをフックにして契約を勝ち取るための分析テクニックと事例を紹介したいと思います。
グーグルアナリティクスで、自社サイトを閲覧している組織名を知る方法
まず、グーグルアナリティクスを使って、どんな企業が自社のWEBサイトを閲覧しているのか知る方法を紹介します。
それには「ネットワークドメイン」という項目を使います。
1.「集客>チャネル」を選択
2.ディメンションで、「その他>ユーザの環境>ネットワークドメイン」を選択
3.アドバンスフィルタで「co.jp」のドメインに絞り込みます。
大手企業は独自のネットワークドメインを持っている事が多いため、この絞り込みでどんな企業が自社のサイトに訪れているのか判るというわけです。
ドメイン名を見ただけで、どこの企業が判別がつかない場合は、ドメインの前に「http://ドメイン」で検索してみるか、「whois」といったドメイン名登録情報検索サービスを使って企業名を割り出すことも可能です。
特定の企業が自社のどんな商品(コンテンツ)に興味を持っているか知る方法
WEBサイトに数多くの商品や提供サービスを掲載している場合、自社のどんな商品・サービス(コンテンツ)に興味を持たれているか調べることができます。
これには様々な確認方法があります。
セグメントを使った分析方法
1.新規セグメントを作ります。レポート(どのページでも良い)上にあります、下記のセグメントをクリックします。
2.「新しいセグメント」をクリックします。
3.セグメントの設定画面が開かれるので、必要事項を入力します。
セグメント名は自由です。わかりやすい名前にしましょう。ここでは「組織分析(企業ドメイン)」としています。
次に「条件」をクリックして、フィルタで「ネットワークドメイン」を選びます。大手企業なので「co.jp」でフィルタをかけて最後に保存をクリック。
これで大手企業だけの行動を把握するセグメントが完成しました。
様々な項目でこのセグメントを使うこと、大企業だけのデータに絞り込んで見ることが出来ます。
また「3.」のco.jpでフィルタをかける部分を特定のネットワークドメインにすることで一企業だけのデータにセグメントすることも可能です。
*共有:グーグルアナリティクスレポート「企業セグメント(co.jp)」
特定の企業がどのページを見ているのかを調べる方法
1.「行動>サイトコンテンツ>すべてのページ」を選択
2.「セカンダリディメンション>ユーザー>ネットワークドメイン」を選択
3.アドバンスフィルタで「co.jp」ドメインを抽出。
このレポートより、どの企業が、どのページを、どのくらい(滞在時間・ページビュー等)閲覧したのかが判ります。
組織分析レポートを活用して、営業アプローチする方法
前項により、どの企業が自社のどんなサービスに興味をもったのかが推測することが可能です。
しかし、それがわかっただけでは、自社の売上や契約には結びつきません。
ウェブ担当者がこういった情報を知ってサイト改善を行ったとしても、大手企業がいち中小企業に直接問い合わせをしてきて商談を申し込むなんて事はかなり稀です。
残念ながらデータはデータでしか無いのです。
そこで重要になってくるのが情報の共有です。
ウェブ担当者が自社内の営業担当や社長に情報共有することで、リアルでのアプローチが可能になります。
もしかしたら、先日営業担当が何かのイベントで名刺交換した相手かもしれません。そうすると直接アプローチが可能になりますね。
全く接点がない大手企業へは飛び込み営業では見向きもされないかもしれません。しかし相手の興味を持っている内容がわかっていればその部分に特化した資料を送付して後で電話からフォローするなんて方法を取れば取り合ってくれるかもしれません。
こういった対策はウェブ担当者がアクセス解析を眺めているだけではなかなか出てきません。
組織分析データは、社内の各担当者と共有することで大きな武器へと変わるのです。
WEBサイトの組織分析を活用して、大手企業の契約を勝ち取った会社のお話
販促物でお手伝いさせていただいた、ある会社の事例です。
「WEBサイトを見てくれていた某大手メーカーとの契約が決まったよ!」
先日こんな声が飛んできました。
この会社は、社員数十人の製造業で、売上には波があり、大手メーカーとの直接契約を取るにはどうすればよいかずっと悩んでいました。
WEBサイトを運営していましたが、地方の小企業に大手企業から問い合わせが入るわけでもなく・・・・
そこで、今回の組織分析を活用して、どんな企業がサイトを見ているかを分析することになりました。
すると・・・・、見ているではないですか!!数々の大手企業が。
さらに、大手企業の流入キーワードを調べたところ、あるメーカーが調べていたキーワードが自社の強みとマッチしていて脈があるのではないか?!という事が判明しました。
しかし、次に立ちふさがった問題はアプローチする方法がない事。
そのメーカーは直接営業を受けず、商社を活用して紹介を得る手法を取り入れていました。
そこでこの会社がとった打開策は
「東京の展示会に出展しよう!」ということでした。
国内外多くのメーカーが集まる展示会に出展すれば接点を持てる!と考えたのです。
数千社・もしくは数万社も人が集まる大きな展示会は、大企業の方も多く訪れますが、その分競争は激しい。
そんなにうまくいくはずないのでは、と半信半疑でした。
そこで、WEB解析により大企業が注目していたキーワードを、ブースのポスターやパネルに使いました。
すると、実際にWEBサイトを見てくれていたあの大手メーカーがブースにやって来たのです。
そこからは何に興味を示しているのかわかっていたので、契約に至るまでの話は早かったようです。もちろん初めから大きな契約を結べたわけではないですが、今後大きな契約に変わる可能性はあるということでした。
本件はひとつの成功事例にすぎませんが、組織分析を使えばBtoBビジネスの小さな会社でも新たな可能性が広がると事を改めて認識させてくれました。